コンサドーレ戦術解析4(今シーズンの展望)(1997年版)

今季の展望

4回目のこの章では、今季の展望をしてみましょう。JFLシーズンイン前に行われたナビスコカップで、期待以上の成績を収め、最高の状態でJFL開幕を迎えることができました。攻撃力に関しては、昨年に比べ倍くらい強くなっていると思います。かなり優勝の可能性も高いでしょう。また、控え組みにも、実力のある選手が揃っており、レギュラーポジション争いも激しく、チームにはいい方向へ働いています。

攻撃力がどれくらいアップしたかは、ナビスコカップでの得点が12点も取れた(5位/20チーム中)といこうとがそれを証明していますが、新たに獲得したバルデスやマラドーナの実績にも着目してみましょう。コンサドーレの昨年JFLでの総得点は60点、チーム内得点王の川合は8得点。これに対し、バルデス(96JFL鳥栖に所属)は、一人で24得点、またマラドーナ(95JFL福岡に所属)は27得点上げています。この2人だけで51得点上げられる勘定になります。マラドーナ自身は、「今年はアシスト役に撤する、自分が得点できなくてもチームの誰かが得点してくれればいい」、と言っているように、点取り屋としては、一昨年程の活躍はできそうにありませんが、それでもチーム全体の総得点は、昨年JFL得点王のロペス(現平塚)を介して優勝をさらった本田技研浜松の83点には迫ることでしょう。今年はバルデス選手の得点王も決して夢ではありません。

選手 得点
バルデス 24(96JFL)
マラドーナ 27(95JFL)
川合 8(96JFL)
コンサ全得点 60(96JFL)


順位 チーム名 得失点
1 本田技研 83-35
2 ヴィッセル神戸 78-32
3 東京ガス 63-28
4 鳥栖フューチャーズ 67-42
5 コンサドーレ札幌 60-43
6 ブランメル仙台 67-52


コンサドーレの欠点

さて、これほどいい話の続くコンサドーレですが、穴がないわけではありません。やはり、システムが4-4-2から3-5-2に変わったということで、チーム失点がどれくらいになるか予想ができないことです。昨シーズン優勝した本田、2位の神戸は、共に、フォーメーションが4-4-2であったことを忘れてはなりません。コンサドーレが点が取れなかったのは、決してシステムの所為だけではないのです。逆に言えば、3-5-2に変更したからと言って、それだけで強くなるわけでもありません。すべては、選手の能力、チームとしての戦術、監督の手腕、などいろいろな要素が絡み合って、結果がでるものです。コンサドーレのDFに入る3人は、上背もありヘティングにも強く、その点では評価できるのですが、足がそれほど速くありません。そのため、相手チームに非常に足の速い高速テクニシャンタイプのフォワードなんかがいると、苦戦すること予想されます。

予想できないファクターとしては選手のケガが上げられます。とにかくケガはいきなりやって来るだけに怖い。ナビスコの時のコンサドーレの平均年齢は28才と高く、これに対しJチームは23~25歳。体力的な問題も含めて、シーズン全試合をベストコンディションで戦い通せるのか、という点に不安が残ります。実際、ナビスコカップではペレイラが負傷しましたし、マラドーナは90分通して出場することは少なく、途中交代することが多かったです。ただ、マラドーナの交代は、いろんな選手を試してみたいと言ったフェルナンデス監督の思わくが入っていたのかも知れませんが。今年、控えの選手のレベルも非常に高いと言われますが、それでも軸になるバルデス、マラドーナ、ペレイラ、ディドがケガなどで欠場するようなことがあると、コンサドーレにとっては厳しい状態になります。そういう意味では、シーズン開幕直前に、GKに、森(横浜F)をレンタル移籍で獲得したのは、唯一控えが不安視されていたGKの穴の埋める良いものでした。

サッカーというスポーツでは、弱いチームには弱いチームなりの戦術があります。ゴール前をきっちり固め、カウンターにかけるといった戦法も、また立派なサッカーの戦術です。かつて一世を風靡したイタリアのカテナチオ(要塞)システムというのもありますし、ばかにはできません。コンサドーレ札幌は、ナビスコで結果を出しましたが、守りを固めたチームと戦ったことがありません。横浜M、川崎V、G大阪ともに、攻めてきてくれました。そのため、相手DFの裏に空いたスペースをうまくつくことができて、得点に結びつけたのですが、こういうチームじゃない相手と戦ったときにどうなるかという点がわからないことです。また、横浜や川崎のDFは日本代表の試合に行っていましたし、ガンバのDFはそれほど評価は高くありません。そのために点が取れたのではという考え方もできます。ナビスコのコンサドーレの活躍を見たJFLチームは、きっとリーグ戦で守りを固めてくると思いますが、そういうチーム相手でも、守りをこじ開け点を決めることができるのか、この点がコンサドーレの課題でしょう。

勝ち点制の変更

96年シーズンと変わりました。これも、若干不安項目です。今年の勝ち点制度は90分で試合を決めた方が、得になるようになっています。PK戦で勝った場合はわずか1点です。負ければ何ももらえません。もしも、昨年同様、コンサドーレが点取れない病あるいは、延長大好き病にかかってしまっていたら、勝ち点が非常に低くなってしまいます。これでは、優勝などは及びつきません。

試合結果 96年JFLの勝点 97年JFLの勝点
90分で勝利 3 3
延長Vゴールで勝利 3 2
PK勝ち 3 1
負け(90分、延長) 0 0
負け(PK) 1 0


ライバルになることが予想されるチーム

今季ライバルになりそうなチームの寸評をしてみましょう。

  • 本田技研: 昨シーズンの優勝チーム。これといった補強もせず、それにもかかわらず得点王のロペスを放出。攻撃力は昨年よりは落ちることが予想される。それでも、守備は変わらず安定しているだろう。準会員申請するといううわさもあり、要注意。ディフェンディングチャンピオンとしての戦いぶりが注目される。
  • 東京ガス: 昨シーズン3位。ここのチームは選手よりも、サポーターが侮れない。東京ガスのサポーターは日本でも1位2位を争うと行ってもいいほどの熱狂的なサポーター(これは乱暴者とかそういう意味ではない)。どこで試合が行われようと、かならず駆けつけ、応援をする。東京ガスは毎年、このサポーターに後押しされ、良い成績を収めている。
  • ブランメル仙台: 昨シーズン6位。準会員として3年目の仙台は、今オフかなりの選手補強を行った。ナビスコカップではその成果があまり見られなかったが、準会員同志の試合では油断できない。
  • フロンターレ川崎:  昨シーズン9位。今年、準会員申請を済ませ、J昇格をねらう。そのため、オフには大幅な補強をおこなった。目玉は、平塚から移籍のベッチーニョ選手。ナビスコにはでなかったが、直前の練習試合では、グループAをぶっちぎりで優勝した市原に競り勝っている。今シーズン一番実力が予想できない要注意のチーム。
  • サガン鳥栖:  昨シーズン4位。昨オフの不幸な出来事で、準会員登録を抹消され、サガン鳥栖として新たな出発をしたチーム。チーム力自体は落ちていると思われるが、それでも、ナビスコカップでは勝利こそなかったが2引き分けした。コンサドーレも、守りに入られたらそれを突破できるかはわからない。
  • ヴォルティス徳島:  昨シーズン7位。例年上位に食い込んできているチームだが、二部リーグに参加しないことを表明したので、オフには選手が結構移籍した。チーム力や士気は、昨シーズンに比べ落ちているものと思われる。
  • 大分トリニティ:  昨シーズン10位。大分県のバックアップを全面的に受け、着実に実力を伸ばしてきているチーム。今オフも補強を行い、どれくらいの実力になったかどうかは不明。昨シーズンよりは力をつけていると思われる。

最後に

ここまで、読んでくれた皆さん、私の駄文につきあってくださってありがとうございました。(一体何人くらいが読んでくれたんだろうか)。

最後になりましたが、スポーツは何が起こるかわかりません。コンサドーレ札幌だって、今JFLシーズンで2位以内に入れるかどうかなんて、誰にもわからないのです。J昇格を決めるためには、下位チーム相手に取りこぼしをしない、ホームゲームは全て勝つ。これしかありません。そのためには、厚別をコンササポーターで満杯にする。私達がコンサドーレのためにできることは、これだけしかありません。