[第5節]in日立柏:柏レイソル戦

文/佐藤智哉

 寒い寒い。Tシャツ1枚で済んだ昼間とは打って変わって、コートを着込み、寒風に体を震わせながらの観戦となった第5節アウェーの柏戦。昼間と同じ格好で来場した私は寒さで歯がカタカタ鳴っている。

 客の入りはまあまあ。柏ゴール裏は当然ながら真っ黄色。柏名物のブリーフ隊はどうした?楽しみにしていたんだけど見当たらなかった。一方、札幌ゴール裏もいつもながらアウェーとは思えないサポーターの集結ぶり。選手入場の直前、いつもどおり「コーンサドーレ!!!」とはじめると、口の悪さでは1、2を争う柏サポーター、すかさず「ムネーオハウス(宗男ハウス)」と、やり返す。さらに「ユーキジルシ(雪印)」の追い撃ちも。札幌サポーターは大笑い。さすが優勝候補の柏レイソル。相手をよく研究している。

 会場の空気が和んだところでキックオフ。札幌は前節名古屋戦に引き続き3バック。闘将柱谷カントクもようやく4バックは諦めたらしい。試合は最初から柏ペース。面白いようにボールが回り、札幌ゴールに襲い掛かる。札幌はボールが足につかないようで、単純ミスの連発。そうこうしているうちにサンパイオにあっさり先制ゴールされてしまった。いやなムードだ。前半の半ば、柏のユ・サンチョルが左サイドを駆け上がったとき、勢いあまって札幌のサポーター前のコーナーフラッグを倒してしまう。主審に注意されしぶしぶフラッグを立て直す韓国代表。そのしぐさに札幌サポーターはまたどっと沸いた。しかし、そのユ・サンチョルがサイドからの折り返しをヘッド決めて2点目。また今日も大敗か、と思いきやその直後、2、3本のパスであれよあれよと言う間に中央突破して山瀬が2試合連続ゴール。やつはトップ下じゃなくてFW登録のほうがいいんじゃないか。ほっと一息するが、ボール支配は相変わらず圧倒的に柏。前半終了間際にはファン・ソンホン押し込まれて3点目。もう札幌の大量失点にはぜんぜん驚かなくなってしまった。

 呆然としつつハーフタイム。寒さをしのごうと会場内を歩き回る。トイレの前に行列ができているのは当然として、紙コップのコーヒーの自販機にも長蛇の列ができているのはやっぱり寒いからだ。みんな背中を丸めて順番を待っている。そんななか、他会場の結果のアナウンスが流れてどよめきがおきた。飛ぶ鳥落とす勢いのベガルタ仙台、まさかまさか鹿島に勝ってしまった。1stステージの鹿島はいつも弱いけど、ここらで仙台の鼻っ柱はくじいておいてほしかった。そういえば去年の今ごろ、我が札幌もイケイケで勝ちまくり、当時やはりどん底の鹿島に勝っちゃったよな。あのころはよかったな。いやいや昔の話はよそう。さあ後半だ。

 後半からは眠れる獅子、ロブソンが小倉に代わってFW。去年まで柏の酒井直樹が田渕に代わって右サイドに入る。柏サポーターは無反応。なんて冷たい。

 後半開始早々に大野のフリーキックで決定的な4点目。もう攻めるしかない札幌はサイドの酒井や和波を使って前半とは見違えるような波状攻撃。だが再三上げるセンタリングはことごとくはね返され制空権は完全に柏のもの。何しろ柏GK南の動きがキレキレで、やばそうなボールはみんなキャッチしてしまう。この日は柏の出来がよかったのかも知れないが札幌がゴール前に詰めても柏DFはいち早く陣形を整え、まったく隙がない。ロブソンもフィジカルは強かったがシュートは打てず、パスも出せずお手上げ状態。だから20分過ぎに山瀬(か小島かどっちかだと思う)が倒されPKをもらったときもはずしそうな気がしたのだ。キッカーは小島。これでちょっとずるいけどFW陣、今季初ゴールかと思いきや、南のドンピシャの横っ飛びで止められる。チーム状態がダメな時はPKすら入らないのか?終了間際にユ・サンチョルに代わり北島が入る。やつはいまや時間稼ぎの選手になってしまったか。結局、相手が1人少ないことすら忘れてしまうぐらいに余裕で逃げ切られ、寒い体は一度も燃えないままスタジアムを後にした。

 札幌は動きは悪くなかったが、プレスがかかってなかったね。もっとボールを取りに行けば、あそこまでゲームを支配されることはなかったろう。それと柏GK南が絶好調だったな。このくそ寒いのに彼は半袖だった。この日半袖だったのは、それがトレードマークの札幌キャプテン森下と南クンぐらいだったんじゃないか?。まあハイボールは全部取られ、PKまで止められては負けてもしょうがないな。敵ながらアッパレなやつだ。