J1寸評 第1節:待ちに待ったJ1リーグ開幕!!

札幌2-1C大阪 in 長居

 待ちに待ったJリーグが始まった。今年の舞台はJ1。98年に降格して以来、念願のJ1復帰を果たしたコンサドーレ札幌は、まずは今季トップリーグ定着を目指す。振り返ってみると昨年までの5年のシーズンの中でトップリーグにいたのはたった一年。ほんとに長い2部暮らしだったことがわかる。今季の札幌は、オフの間に大幅な選手入れ替えを行わず、昨シーズンのメンバーがほとんど残り、戦術面を一層熟成させチーム力の底上げをはかることになったが、こんな年はめずらしい。毎年、シーズンの変わり目には選手の入れ替えが行われ、悲喜こもごもといった感があっただけに。
 今年も、昨シーズン同様、守備を基本にした、まずはしっかり守ってといったスタイルの戦い方となりそうだ。もちろん、攻撃力がJ2に比べて格段に高くなるJ1。押し込まれ続けるシーンも続出するだろうが、13試合一点差勝ちをおさめた昨季のように今年もそこは辛抱して我慢の戦いとなるだろう。
 開幕戦はアウェイの長居スタジアムでセレッソ大阪との対戦。昨シーズン1stステージは2位、年間でも5位の成績を収めたセレッソは、今季は優勝を目標においているチーム。開幕戦といえば、どこのチームも“今年のうちのチームの仕上がり具合は?”というのが課題になる。新戦力を補強し、先発メンバーが替わり、大きくチームが変わることが多いからだ。戦力の入れ替えがないチームにとっても、対戦チームの力量が変わるため、“今年はどれくらいの位置にいるのか?”という点は非常に気になる。コンサドーレは舞台がJ1に変わって開幕戦を迎えるだけに、自分の力がどれくらいなのかといった点は非常に気になる。こういった点は、ずーっとJ1にいて、昨年一年だけJ2にいた浦和とは事情が異なる。浦和がJ2を知らずに苦労したように、J1を知らない札幌は今年は苦労するかもしれない。そういった点からも、早く自分のレベルが知りたいものだ。サポだけでなく、現場も同様だろう。まずは、自分たちのレベルを知らないことには、その後の対策が取りようがない。J2で接戦をものにしながら優勝した自信と、J1で戦える喜び、そして未知のJ1に対する不安がごちゃまぜになったような気持ちで、開幕戦を皆迎えることになった。
 試合の方は、前日に雪が降るなどこの時期にしては寒い大阪となったが、スタジアムには札幌のサポーター約700人が駆けつけ、ゴール裏に陣取り熱気はむんむん。誰もが待ちこがれたJ1での開幕戦である。今季から始まったサッカーくじtotoでは、地元セレッソの勝利の投票率が69.63%。劣勢が予想された札幌であったが、立ち上がりをしのぐと、あとは攻めたり守ったりの互角の展開となる。そして先制点を決めたのは札幌。前半43分、今季大分から移籍のウイル選手がゴール前のこぼれ玉を反応よく押し込んだ。後半攻勢にセレッソがでるもコンサ守備陣の頑張りや、セレッソ攻撃陣の拙攻もあり、リードを保っていたが、後半32分ついにPKで追いつかれる。追い上げムードでスタジアム全体が盛り上がるセレッソに対し、文字通り踏ん張る札幌は後半44分にウイル選手のセンタリングから播戸選手がゴールにたたき込み、決勝点となる貴重な追加点をあげた。ロスタイム4分の表示がでる中、このリードを守りきり、三年ぶりのトップリーグでの勝利を開幕戦であげた。
 30試合の中のわずか1勝にすぎないが、コンサドーレにとっては本当に価値のある大事な大事な1勝である。開幕三連敗した98年のコンサドーレを例に出すまでもなく、初勝利というのは時にほんのちょっとの運がないと逃げていってしまうこともあるので、大事な勝利を開幕戦であげられたことは非常に大きい。まだ危なっかしいところもあるが、コンサドーレは今年守備のチームでいくだけに、我慢すればチャンスは必ず来る(なんとかなる)と早いうちからみんなが思えるかどうかは、シーズン全体を左右しかねないくらい重要なことだ。これが、手を替え品を替え、あれこれやっても全く歯が立たず、1勝もあげられずことごとく試合に負けてしまうようなことになると、選手もサポも思いがバラバラになり、必要以上に自信喪失、どんどん深みにはまると行った悪循環になりかねない。特に札幌はJ1での経験が少ないだけに、この点は非常に大事だ。
 さて、今節開幕戦は、札幌をはじめ、福岡、神戸など劣勢が予想されたチームが軒並み勝利をあげた。昨年1stステージの優勝、準優勝の横浜FMとC大阪、さらに2nd最後まで優勝争いに絡んだG大阪が敗れた。昨年の1stステージのような混戦を予感させる気配が見られるが、誰もが認める三強(磐田、柏、鹿島)はしっかり勝った。昨季の様に混戦Jリーグになるのか、それともあっさり序列化されてしまうのか、数節すぎればはっきりするだろう。その時、コンサドーレはどこらへんにいるだろうか。
 次節は、その三強の一角、柏を高知春野にむかえての一戦。今節は中位のチームとはそれなりにやれることがわかった札幌。次は、J1のトップチームの強さとは一体どれくらいのものか、を肌で感じる試合となりそうである。今年の舞台はトップリーグ。全ての試合が、昨シーズンでいえば浦和や大分との試合の時のようなもの。コンササポにとっては、まさに両拳をにぎりしめ、水の中で息を止めて我慢しているような気になる苦しい試合が毎節続くことになる。長く熱いシーズンが今年も始まった。

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