コンサドーレ戦術解析5(今年のフォーメーション2)

JFLは中休み。我らがコンサドーレ札幌は、14勝1敗の成績の首位で折り返しとなりました。2位のチームには、2ゲーム半ほどの勝ち点差をつけています。

シーズン前に書いた「コンサドーレ戦術解析1~4」。ご好評(???)に応えてその続編を四回に分けて書いてみましょう。今年のコンサドーレの戦い方は?、なぜ前半戦は強かったのか?、ホントに後半戦もこのままの調子でいけるのか?、など、勝手気ままな意見を書いてみたいと思います。

相変わらず、自分自身のサッカー経験と、一年半のコンサとのつきあいと、思い込みだけで書いていますから事実と違う箇所がでてくるかも知れませんが、そこんとこは愛敬なんで勘弁して下さい。まず、1回目は、今年のコンサドーレの戦術解説です。シーズン前にも書きましたが、今度のは15試合を見てさらに詳しくなったコンサドーレの戦術解説です。

なお、本文記載中の人名は全て敬称略です(戦術解析5~8)。選手の名前は全て呼び捨てなので、ご了承ください。


今年のフォーメーション

今年のコンサドーレは『3-5-2』というシステムです。昨年の『4-4-2』というシステムから変更し、シーズン前のナビスコカップで結果を出したため、今年のコンサドーレの戦術を説明するのにキーワードのように繰り返しでてくる言葉でもあります。『3-5-2』システム自体については、シーズン前の解説のときに説明したので今回は説明しません。
右に、今年のJFLでのポジションの一例をあげます。JFL前半戦の終盤によく先発になったメンバーをあげています。ナビスコの時と若干メンバーが違いますが、ほとんど一緒です。

  • ゴールキーパー(GK):ディド
  • ディフェンダー(DF):ペレイラ、渡辺、中吉
  • ミッドフィルダー(MF):マラドーナ、後藤義、村田、田渕、太田
  • フォワード(FW):バルデス、山橋

といったところでしょうか。これを、さらに細かく分類すると(控えの選手も入れて分類すると)、

  • ゴールキーパー(GK):ディド、森
  • センターバック(CB):渡辺、中吉、冨樫
  • リベロ:ペレイラ
  • 攻撃的ミッドフィルダー(MF):マラドーナ、鳥居塚、後藤義、吉成
  • サイドのミッドフィルダー(ウィングバックともいいます):村田、田渕、浅沼、黄川田
  • 守備的MF(ボランチともいいます):太田、朝倉
  • フォワード(FW):バルデス、山橋、吉原、新村

となります。以上のメンバーが先発メンバークラスと言っていいでしょう。

GKは、ディドが不動の守護神としてゴールマウスを守ります。控えGKには、森が常に入っていましたが、出場機会はありませんでした。

DFは、リベロの位置のペレイラ。CBの渡辺が、不動。もう一つのCBのポジションを冨樫、中吉が争うという感じでした。これに続く選手として、古川や土田がいます。

MFは、両サイドのウイングバック(なんでMFなのにバックって言うの?というのは聞かないで)の位置に村田、田渕。ボランチに太田。攻撃的MFに入るマラドーナ、後藤。の五人が不動の先発メンバー。そして、後半になってマラドーナの代わりに入るスーパーサブの鳥居塚。この六人が、MFのポジションをがっちり握っていると言っていいでしょう。攻撃的MFの位置には、マラドーナと後藤が入りますが、マラドーナの方がより攻撃的な位置にはいります。太田の位置には朝倉が、村田の位置には黄川田が、田渕の位置には浅沼が控え組みとしています。そして忘れてならないのが、吉成。外国人枠ででられないものの、外国人枠が一つ空くと必ずメンバーに名前を連ねます。その時は、彼は攻撃的MFの位置に入ります。

FWは、バルデスが不動。もう一つの枠を、山橋、吉原が争うという感じです。新村は開幕した頃は先発でしたが、その後ケガで前半戦をほぼ棒にふりました。デンソー戦で復帰しましたが、その後は、ベンチには入れていません。バルデスの相棒の枠は、激戦区です。このポジションを、JFL前半戦では四人(山橋、吉原、新村、黄川田)が争いました。

今年のコンサドーレは、先発メンバーがほぼ固定されていると言っていいでしょう(これはこれですごいことです。長いシーズン必ずケガでのリタイアなどがあるものですから)。また、控えが入る場合は、交代する選手の部分だけが入れ替わり、その他の選手のポジションは変更無し、すなわちフォーメーション全体としてはまったく変化がない、ということを徹底しているようです。フェルナンデス監督のポリシーというか、サッカー理論なんでしょうね。

  • (1)先発メンバーは固定する。
  • (2)先発と同等の力を持つ(あるいは見劣りしない)控えの選手を、すべてのポジションに用意する。

などが、今年のコンサでは徹底しています。Bチームの練習でも、フォーメーションは3-5-2ですることが多く、各選手の入りポジションは結構決っています。(1)は、システムとしての動きが複雑になってきた現代サッカーにおいて、11人がお互いの動きを理解し、チームとしての動きができるように。(2)は、リーグ戦で勝つために(長いリーグ戦では選手がケガなどで出場できなくなるのは、大抵の場合、当たり前で、選手層の厚いチームが有利とされています)。という意図が感じられます。これらのことを頑固に監督は守っています。
また、(1)に関しては、けがをした新村が復帰したデンソー戦以降も、先発選手が仕事をしている限り、新村に出場機会は戻ってきていません。結果を出している限り(自分の仕事をしている限り)替えない。という、プロフェッショナルな意思を感じます。この考えは、チームの中に、いい意味での緊張感をもたらすことでしょう。控えの選手は、試合に出れるチャンスがあれば、そこで結果を出し続ける限り、使ってもらえるから、頑張る。先発メンバーは、ケガでもすると(あるいは、結果を出さないと)、交代させられるから、自分の体調管理には厳しくなるし、常に試合では最高の力を出し続けることになります。さらに、(2)のため、一つのポジションを二人以上で争うわけで、チーム全体のレベルアップと、選手のモチベーションの維持に役立っていると思います。

オプションのフォーメーション

今年のコンサドーレは、こんな芸当をゲーム中に見せてくれます。それは、フォーメーションを3-5-2から4-4-2へ、時と場合に応じて試合の途中で代えるというものです。CB(センターバック;中吉、渡辺)が二人いるのを、一人に減らし、リベロのペレイラと、MF(ミッドフィールダー)に入っている両ウイングバックの二人(村田、田渕)をサイドバックの位置に入れます。一人空いた選手をMFとして投入し(たいてい鳥居塚)、中盤を厚くします。まさに、オプションのシステムと言っていい、コンサドーレの4-4-2システムについて説明してみましょう。

どんな時にこれをするかというと、攻撃力をさらにアップしたいときです。守備をするDF(ディフェンダー)を三人から四人に増やしたら、攻撃力のアップにならないじゃないか、と思うかも知れません。このフォーメーションの各ポジションにおける選手の数が、4-4-2のままならその通り。でも、実際は、両サイドのDFが、上がりめに(攻撃的に)なるので、ポジションとしては、守備的MFの位置にいるといってもいいでしょう。すなわち、4-4-2は、守るときのフォーメーションで、攻めるときは、2-6-2になっていると思って結構です。攻撃的MFの数を、3-5-2の時の二人から三人に増やし、変幻自在な攻撃を仕掛けるともに、両サイドバックも、攻撃参加を行う。というのが、コンサ版4-4-2です。コンサ版4-4-2は、得点を取りに行くためのフォーメーションですから、カウンターには3-5-2の時に比べもろいです。

このようなことができるのは、両サイドのウイングバック村田と田渕の存在が大きいです。4-4-2の変更に伴って、グラウンド上で、ポジション変更のため仕事内容が変わるのは、この二人だけです(ペレイラもちょっと変わりますが)。この二人がサイドバックも、ウイングバックも器用にこなすので、このようなオプションが可能だと言っていいでしょう。システムの変更に伴い、全体の各選手のポジションが大きく変わるようだと、場合によっては、システム変更によってシステムが機能しなくなることもあります。二人とも3-5-2システム上では、MFに分類されていますが、本人たちは自分たちのことをDFというように、もともとはDF出身の選手です。従来は、4-4-2システムで、両サイドバックスの位置に入り、攻撃参加をしていたわけです。これが、今年のコンサドーレの場合、3-5-2のシステム変更に伴い、MFに分類換えされてしまったわけです。コンサドーレの場合、このシステム変更は、DF陣の真ん中にいる人間の数を増やし、守備を安定させることをまず第1に考え、これで、従来に比べ、負担の軽くなった両サイドバックに攻撃参加の機会を増やさせようというのが目的だったようです。

同じMFで、両サイドの位置にいながら、まったく正反対な性格を持つのが、川崎Fの向島などです。彼らは、もともとはFWの出身なので、ポジションとしてかなり前の方にいます(サイドバックとしてよりもウイングとしての能力を求められている)。コンサドーレの場合、このようなキャラクターを持つのは黄川田です。ですから彼が入った場合、攻撃力は高くなりますが守備面ではまだまだです。黄川田が左WBに入った場合、このような形での4-4-2への変更が出来るかどうかは不明です。

コンサドーレの三態変身モードは、まず、5-3-2、次に、3-5-2、そして選手交代を伴う4-4-2(実質は2-6-2)と、後ろの方へ行くに従ってどんどん攻撃的なフォーメーションへと変化させることが可能です。もちろん、それに伴って、失点する可能性もどんどん増えていきますが。

この変身モードが、実戦で見られたのが、川崎F戦でした。このときは、2点先制される苦しい試合展開でしたが、後半から、逆転をねらって、フェルナンデス監督は4-4-2へと換え、勝負をかけてきました。このときは、5-3-2から、4-4-2へ、そして2-6-2へという風に変わりました。川崎Fが、FWを下げ守備的なってくれたという面で、助けられたこともありますが、監督采配が勝敗を分けた一戦でした。

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