[第2節]in愛鷹:ジャトコ戦(写真付)1

今回の観戦記は、二作とも力作ぞろい!!


『横浜の渡辺さんの観戦記』

恐るべしサッカー王国

第2戦の舞台は「サッカー王国」静岡。ここがなぜ「王国」と呼ばれるようになったのかは別の機会に有力な説をお届けするとして、観戦レポートをお送りいたします。
「王国」静岡県でも、東側(駿東地区)は県央の静岡市や清水市に比べれば「王国の統治」は緩やかとの評判。つまりサッカー熱は県央ほどではないと。現に愛鷹競技場のある沼津市の人気者は五輪水泳で金メダルに輝いた岩崎恭子ちゃん。JR沼津駅北口から乗った「あしたか球場」行きの臨時バス(臨時バスがあったのですよ!タクシー使ったみなさん!)も、乗客は筆者を含めてわずか5人。「へぇ~、こんなモンか。王国恐るるに足らず」と余裕しゃくしゃくで丘を越え谷を抜け…。しかし約20分後、終点で眼前に広がる光景に「ああ、やはりここは王国なのだ」ということを思い知らされちまいました。
そう。「思い知らされた」とか「見せ付けられた」といった表現がぴたり。会場に着いたコンササポーターの全員が、競技場と周辺の環境の素晴らしさに感嘆したことでしょう。広大な敷地に自然の地形を極力生かした形で野球場(夜間照明と電光スコアボード付き!)と多目的競技場。周囲にも青々とした自然芝が萌えるグラウンドや広場が。その上で子供たちは陽光浴びてのびのびとサッカーボールと戯れ、喚声が丘や山々にこだまします。
試合が行われる競技場もトラック併設とはいえ照明あり電光掲示板あり。バックとゴール裏は芝生席でしたが、もしここを客席に改修すれば3万人はゆうに収容できる一大スタジアムにも変貌可能。これ、すべて県営の施設。昨年竣工したばかりのホヤホヤピカピカ。
北海道と静岡では環境も歴史的背景も違い、なかなか難しいこととは思いますが、それでもコンサドーレの地元にこれだけの…いや、この8掛けくらいの施設でもあればなぁ…。ぜひ自治体などの「然るべき立場にある人」はここを始めとした先進の「地域住民がスポーツと親しめる場所」を訪れて、学ぶべきものは学んでください。そしていつの日か北海道(それも札幌に近い場所)にも…と願わずにはいられません。 戦わずして若干気勢をそがれたかもしれないコンサドーレのゴール裏。あまりの美しい環境と好天のせいかもしれません。
でも、考えたらここは新村のお膝元だし、後藤や太田もご近所じゃないの? 選手は気後れなんかしないよね?

ピンチはチャンスだ! 山橋!

笠松レポート」で書いた「1年間同じメンバーで戦えるわけはない」現実が、早くも2節に訪れました。新村(ご当地だったのに!)の負傷とバルデスの緊急帰国。 主力が欠けた試合でもっとも怖いのはチームの戦力そのものがダウンすることではありません。コンサドーレの場合、数ヶ月も起居を共にして練習してた者同士。能力や個性の差こそあれ、互いが互いを生かしあうプレーを心がければ、相手がJFLなら誰が出ても壊滅的な結果にはならないはず。紅白戦で色々な組み合わせも試したでしょうしね。
本当に怖いのはチームメイトも、監督も、ファンも、マスコミも「きょうは誰々がいないから負けても(苦戦しても)仕方ない」と、主力選手不在を「言い訳」の材料にすること。具体例を挙げると申し訳ありませんが、Jリーグにもそういうチームありますよね。「○○がW杯予選で欠場したから負けた」「△△が累積警告でいないから苦戦した」とか。主力を欠いた試合が活気に乏しいものになると、すぐに新聞や専門誌はこのように書きたて、その日スタンドに足を運んだファンも帰路「今日は××いないから負けちゃった。仕方ないね」と、当たり前のように口にしています。ひどいときには試合前から「今日は捨て、捨て」といったムードがサポーター席を包むチームもあります。
本当にそれでいいの? 手元のチケットを見てください。「今日は¥¥が欠場ですので料金2割引です」なんて書かれてありますか? 出場選手が誰であろうが料金は決まっていて、「誰が出ないから」なんて理由でディスカウントされないでしょう? つまり誰が欠場しようが誰が代役になろうが、プロの看板掲げてお客からカネ取って試合してるんですから、極力「品質」を落としちゃいけない。大看板の熟練かつ高度な技をご提供できないのなら、それに代わる「新鮮な驚きと興奮」を与えてほしいのですよ。また、ファンもそれを期待しないとね。  今日の試合ではその期待は練習生の身分で背番号28に袖を通した山橋に集まりました。特にスピードにモノをいわせた突破と、セレッソ時代に「ミスターVゴール」と呼ばれた勝負強さに。
しかし「山橋、決めてくれ!」と再三渡ってきたシュートチャンスではついにネットを揺らせず。気合が入りすぎていたのか、あせりもあったのか。ヘッドで狙うべき浮き球に足を伸ばしたり、止めて打てる余裕があったのにダイレクトを選択したり…。自分の実力以上のものを無理矢理引きだそうとしているように見えました。気持ちは伝わってきただけに何とか結果をと、ゴール裏も祈りはじめた前半35分。ハーフウェイ付近から左サイドを爆走する選手が・・・。「山橋だ!」「1人かわした!」「来るぞ!来る来る!」「来い!みんな上がってこい!」充分深い位置まで持ち込んで中へ送ると、するりと相手DF陣の間を抜けたボールはゴール正面に詰めてきた後藤の足元へ。コンサ先制! 歓喜の輪の中に道産子28番ももちろんいました。 後半やや運動量が落ちたところで黄川田と交代。その背中に「山橋コール」が。贅沢を言えばキリがないにしろ、今日の山橋の奮闘は鮮明にこの目に焼き付きました。 最後に道新のHPからの山橋のコメントを転載させていただきます。「バルデスがいないから勝てないというのでは悔しい」そうだ。その通り。これはプロの言葉であり、彼のプレーもまたプロのそれでした。

ボクたちっていったい…?

対戦相手のジャトコは今季地域リーグから昇格を果たした社員&プロ混合チーム。JFL開幕直前まで選手補強に動いていたせいか、スタメンの何人かはJFLの公式ガイドに名前も載っていない始末。
スタッフも予算も限られた中とはいえサッカースクールを開設するなど、地元にしっかりと足を付け、地道なステップアップを目指すジャトコ。好感の持てるチームという印象を受けました。
そんな彼らにとっても重要な地元初戦。先週の水戸と同様に積極的なプレー。コンサドーレが先週の反省を生かし、特に両サイドのケアを早めに遂行したため容易に決定機は得られませんでしたが、地元のファン(縁故関係含む?←また言ってるよ・笑)の前で充分胸を張れる試合をしたと思います。点を取られて以降も守りに入ることなく、ラインを上げて勝負を挑んできました(コンサドーレは後半相当オフサイド食らいました)。
そんな中で前半20分過ぎ(まだ0-0)だったでしょうか。相手GKの沖田がゴール前でコンサ選手(後藤だったと記憶していますが、あやふやですみません)が激突。双方昏倒。特に沖田のダメージは深く、担架でゴール裏に出され試合は一時中断。目の前で見ていた我々は「沖田大丈夫かぁ!」「オキタ!オキタ!」と勇敢な戦士にエール。その甲斐あってか沖田はおもむろに立ち上がりGKの位置へ向かいます。ここでまた嵐のような(人数は少ないが)拍手とともに沖田コール。彼も手を挙げてそれに応えます(いい光景やなぁ…)。しかしその後すぐゴール裏は「お前から1点取ったるぞー!」「ガンガン攻めてやるぞー!」と豹変。「立ち上がったら情けはいらねぇよ」と言うボクたちって、いいサポーターでしょうか(笑)。

吉成&ウーゴ ラテンのリズムにドッキドキ!

デリー不在でチャンスを得たもう1人が吉成。後半早々に投入され左ハーフの位置へ入りました。この時のシステム変更は他のHPやマスコミでも取り上げられたでしょうから詳報しません。ただ、ゴール裏からは「すげぇ!そんなこともできるチームになったんだぁ」と驚嘆の声が上がっていました。
吉成に戻ります。すぐにCKを担当したり後述のコータの2点目にからんだり、まずまずの出来だったように思えます。しかし特筆したいのは彼とウーゴが左サイドで奏でたラテンのリズム。ウーゴ交代までの約20分の「演奏時間」でしたが、予測がつかないボール回しでジャトコの守備ラインを撹乱。ええモン見せてもらいました。 欧州(特にドイツや英国系)の選手は、組織で守り組織で攻めるサッカーが身に染みているため、ボールを持ったらできるだけ時間をかけないプレーを選択するようで、これが概ね世界的な流れになりつつあるようです。
一方で南米のラテン系選手はひと味違います。時間をかけようがかけまいが、とにかく相手の虚を突くプレーを選択する傾向があります。足元にボールを置いてじりじりとじらし、そこから横にちょんと出したり、ヒールで後ろにやって「もうボール手放したのかな?」と思わせておいて突然振り向いて逆サイドへロングパス出したり、あるいはDFの頭上をヒョイと越えるロブを上げたり。早い話がラモスのプレーがまさにコレ。
おカタい味方選手なら「なにやってンだ!楽しんでないでこっちに回せ!」と思うでしょうが、観客として見ていて選手そのものの動きが面白いのはやっぱりラテン系。今後も毎試合出場というわけにはいかないでしょう。でも吉成のリズムと左足からのクセのありそうなキックはドッキドキもの。故郷リマでの「例の事件」も片付いたことですし(関係ないか!)、ぜひアナタも「吉成体験」を!

いいぞコータ! サポーター冥利につきるぜぇ!

先週の「笠松レポート」でコータについて「来週も出番があるでしょう、1点でも2点でも取って」と書いたら、さてはどっかで読んだな? きっちり2点を決めたコータ。後半開始直後の今期初ゴールは残念ながらサポーターサイドから遠いサイドのゴールだったため、そのプロセスはよく見えませんでした(後の確認でウーゴ経由で左サイドから無人のゴールへドスン!…と判明)。ただしおなじみのゴール後のヒコーキポーズを披露してくれたので「コータだ!」とサポーター席は大フィーバー! その後続いた2-0の膠着状態をブレイクしてくれたのもコータでした。しかもゴール裏で「コータのゴールが見た~い~」の合唱が始まった途端の一発。吉成の「ラテン系」パスに反応してするするっとゲット! 我々の期待に即座に応えてくれたのですよ。これ以上うれしいことがありますか?みなさん!サポーター冥利に尽きますよぉ。
彼は「戦士」になりつつあります。競り合ってボール取られたら「コンチクショーッ!」と、奪い返しに行きますし。先発で、しかもバルデス不在でボールが回ってくる機会が格段に多くなった分マークもキツくなりましたが、ひるんだ様子は微塵もナシ(ただ、シュートを打つ前に一瞬ためらうような仕種を見せることがある。これは何だ?筆者の錯覚ならいいのだが)。
ちょっと苦言を呈すると、シュートを打ってそれがGKやDFに当たって、とにかくゴールできなかった際に、すぐに「あーっ!」という感じで集中を切ってしまう場面がありました。まだボールはピッチの中を転がっていたにもかかわらずです。気持ちはわかるけど、これはいけないね。すぐに追えばセンタリングか、あるいは一度戻して組み立て直しぐらいはできたのにDFに取られてしまいました。決定力という課題ともあわせて、今後の成長の余地として見ておきましょう。
さあ、今度は首を長~くして待ち続けていた地元の皆さんの前でカッコよく(ドロくさくても何でも可!)ゴールキメて、「ヒコーキ」見せてね!(←こう書いておくとまた絶対にキメてくれるよ!)

ディドさんはい~い人だぁ!

試合の中ではこれといって見せ場のなかったディド。守備陣全体が先週の反省を生かした動きで、サポーターをして心臓が飛び出しそうな場面は与えませんでしたし、相手ャトコの詰めの甘さにも救われました。もっとも、いつもの通り最後方からのコーチングには怠りありませんでしたが。
ディドさん、試合後の方がずっと多忙。バスの窓から笑顔でファンの差し出す色紙やシャツに次々とサイン。一段落したら今度はカメラにポーズ。そしてまたサイン。お疲れさまでした。
バスの後ろの方の窓にはコータの顔も。ファンがコータに「今年の目標は何ゴール?」と聞いているのを耳にしたディドさん、すかさず「じゅーご!」。え?15?うーん。僕らの期待としてはもう一声ってトコですかね…と思っていたら「ココだけでじゅーご!」だって。つまり今日、たった今終わった試合で15点決めなきゃダメだったんだよということ。これには周りの人たちもコータくんも大笑い。ディド先生、それはちょっと厳しいんじゃ…。

「ファイト」の代償…

ちょっと残念な話題。
先週の水戸戦後、監督のカミナリが落ちたのか、選手たち自身で大いに反省したのか、その真相はわかりません。しかし少なくとも先週よりピッチ上の選手たちは戦う姿勢を見せていました。ルーズボールの追い方、ボールを持った相手選手へのチェック、味方のサポート。コンサドーレの魅力である熱いハートのサッカーが、あのナビスコ当時の輝きを取り戻しつつあります。
その一方で積極果敢な「ファイト」は、ときにネガティブな結果を招いてしまうこともあります。
まず冨樫。前半も残り少なくなったころ相手選手と交錯し負傷。タッチの外で応急処置を受けました。遠目でしたがどうやら右足首かスネのよう。後半には吉成と交代。試合後バスに乗り込む際も顔は笑っていたものの足は引きずっていました。村田も後半の半ばころに左足をつったようです。こちらも一時はかなり辛そうでしたが最後までプレー。田渕も後半に右足のひざの下を相手に蹴られたようで、顔を歪めていたシーンあり。後者2人は大事には至らないかもしれませんが、冨樫はちょっと心配です。その後の情報は他のページか地元メディアをご参照ください。できれば元気で室蘭に姿を見せてほしいもの。
それから警告者が3人。はっきり確認できたのは後藤のみで、あとは村田と鳥居塚でしたでしょうか。いずれもラフプレーです。相手には失礼ながら「格下」と対戦するときには怪我とカードはNo Thank Youですね。

書き漏らし棚ざらえ

残り10分を切って黄川田登場。ノーゴールでしたがオーバーヘッドキックを披露。ただしジャストミートせず(笑)。
渡辺卓。セットプレーで積極的にゴール前へ上がり、バルデスの代わりにターゲットマンとなりました。制空権は得ていたもののシュートが弱いよぉ。「ゴール内の地面に叩きつけるつもりで」がヘッディングシュートの基本だよぉ。もっとも、相手DFもそうはさせじと体を寄せたり審判に見えないようにつかんだりするのですがね。試合後は知り合いがゴール裏にいたのかな? こっちまで来てくれました。
ペレイラは何かまだ本調子ではないですね。先週よりは安心して見ていられましたが。
中川広報。試合後バスの前で心底からの安堵の表情でした。「今夜、札幌に帰ります」どうぞお気をつけて。
森。サブで今日も出番ナシ。でも人気はさすが。ハーフタイム中のアップの間もサポーターからの声援が途切れることはありませんでした。内心は出たくてウズウズしているでしょうがおくびにも出さず、ファンのサインや握手にも気さくに応えていました。しかしプロは厳しい。乗り込んだバスはBチーム組の方。必ず君の力が必要になる時が来る。頑張れ!
そして御大フェルナンデス監督。試合中はじーっと腕組み。時折りテクニカルエリアまで出て指示を飛ばします。「そろそろキレて吠えまくるぞ…」と期待(不謹慎ですが)していた時間にうまい具合に得点できたためか、先週のような激高した場面はナシ。「ウチのチームはまだまだこんなモンじゃない」と、試合内容そのものには満足はしていないでしょうけれどね。
数少ない関東のサポーターの1人として、内容はともあれ2戦2勝、しかもJFL首位でこの素晴らしいチームをみなさんの元へお返しすることができてホッとしております。
さあ、これから本格的なコンサドーレの季節です!

燃えろ室蘭!
燃えろ厚別!

(以上記事提供:横浜の渡辺さん)


県営愛鷹多目的競技場

(写真&コメント提供:横浜の渡辺さん)

この環境に圧倒!!、山の中の競技場とは思えません!!、メインスタンド後方の照明2機は隣接の野球場のもの。

コータ初ゴール

(写真&コメント提供:横浜の渡辺さん)

電光部拡大

コータの後半開始早々の今季初ゴールを知らせる電光掲示板。目の前で屈伸しているのはディド。向こう側の丘に小さく写っているのは人達は「タダ見」です!!

試合終了

(写真&コメント提供:横浜の渡辺さん)

試合終了後。笠松の写真と比べて下さい。何となく「ほぐれている」でしょ?!。左からごっさん、大、ペレ、卓、ディド、達、貴、トリ、コータ、龍(影になってる)、ウポ。

サポーター席まできた渡辺卓選手

(写真&コメント提供:横浜の渡辺さん)

お知合いですか。いいですね。卓一人だけこっちへ来てくれました。

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