コンサドーレ戦術解析6(コンサの攻撃と守備)(1997年版)

攻撃のパターン

JFL前半戦を見て、コンサドーレの攻撃は、この二人に集約されていることがわかりました。中盤からキラーパスを出すためのマラドーナ。オープン攻撃のためのバルデス。コンサドーレのセットプレー以外の攻撃の大半は、これです。何だかんだ言っても、攻撃の際のこの二人のシステムに対する貢献度は抜群です。

一般に、ツートップのFWの場合、前線にいる選手は二人です(コンサもこれです)。このFWが作るラインを一列目。そして、攻撃的MFであり、ゲームメーカーであるマラドーナはどこにいるかというと、その後ろの位置にいます。ここを二列目といいます。相手が4バックス(4人のDF)システムの場合、相手DFの四人は横に真っ直ぐなラインを形成して守ります(”フラットなラインをひく”、”ラインディフェンスをひく”とも言う)。マラドーナは、二列目の位置から、このラインディフェンスの裏側(DFとGK間のスペース)に、パスを出します。地面を這うスルーパスや、フワッと相手DFの上を越えるループパスなど、いろんなパスがあります。このスペースに出たパスに対して、コンサFW陣は反応して、ゴール前に迫るわけです。

”マラドーナ-バルデスのホットライン”、こんな言葉を聞いたことがあるでしょう。これは、このような縦のパスがマラドーナからバルデスにつながったときに使われる言葉です。バルデスは背が高くジャンプ力があるが、ボールのキープ力もあるため、パスを出す方のマラドーナ選手は、ボールを浮かしても良し、下を通しても良し、で、その点では楽だと思います。

マラドーナのすごい所は、相手チームの選手がマークについても、一瞬の動きで、とにかくパスを出すところです。だから、パスだす瞬間に、チャージを受けて地面にこかされるなんてことは良くあります。とにかく、一瞬の動きがすごい。マラドーナは体も小さいし(だからよくこかされる)、終始走り回って運動量で勝負する選手でもありません。マラドーナは、ボールタッチで勝負する選手です。フェイントやトラップ、ドリブルなど、その柔らかいボールタッチをもって、相手を翻弄しプレーする選手です。マラドーナがボールを持ったら、目を離しては行けません。

このような、ディフェンス陣の裏を直接つく攻撃の他に、マラドーナなど二列目の選手が飛び出して攻撃する場合もあります。この場合は、ドリブルで突破したり、あるいは、前線の二人のFWとかををポストプレーヤーにして、ワンツー等で、このディフェンスラインの突破をはかります。

さて、もう一つ、コンサドーレの攻撃を性格付けているものに、バルデスの存在があります。コンサドーレは村田や田渕のサイド攻撃も攻撃のレパートリの一つですが、このサイド攻撃(WBのオーバーラップなど)の攻撃が行われる場合、ターゲットとなるのはバルデスです。また、山橋や鳥居塚が突破した場合、目がけてケリ込む相手はバルデスです。逆に言うと、バルデスがいるおかげで、サイドをかけあがって、センタリングをほうり込む、といった攻撃が可能なのです。どういうことかというと、コンサドーレのFWが、バルデスでなくJリーグで得点王争いしている柏のエジウソンだったと想像してみてください。コンサドーレの誇るサイド攻撃からの、ほうり込むようなセンタリングは、ことごとく背の高い相手DFのヘティングではねかえされてしまうことでしょう。そう、エジウソンには身長がないのです。

バルデスには、その高い身長と鳥人と呼ばれるほどのジャンプ力があります。昨年の厚別での鳥栖戦で敵として見たジャンプしたバルデスは(バルちゃんはこのとき鳥栖の選手でした)、まさに大きな脅威でした。このおかげで、サイドを駆け上がる選手達からのセンタリング攻撃が、コンサドーレの場合、すごく有効なのです。とにかく、こまったら、バルデスめがけて蹴ればいいといっても過言じゃないと思います。バルデスにマークがついていようがいなかろうがバルデスあとはまかした、といった感じです。

もし、コンサドーレのFWがエジウソンだったら、サイド攻撃よりも、マラドーナなどからのDF陣の裏のスペースへのスルーパス攻撃を多用した方が有効です。おそらくチーム全体の攻撃パターンもそうなるでしょうし、サイドからの攻撃も低く速いボールを中へ入れるように変わるでしょう。エジウソンには、身長とジャンプ力がない変わりに、スペースにでるボールへの読みの良さと、出たボールに誰よりも速く追いつける足の速さがあります。川崎Fのムタイルも、このタイプの選手です。コンサでは、吉原が、スルーパスに対する読みと、スペースへの抜けだしの速さで勝負する選手だといえるでしょう(個人的には、もっと体を作ってあたり負けしない様になれば、さらに前線で勝負できるようになると思うのですが)。

コンサドーレの攻撃は、これらの二つが大きな形です。中央からはマラドーナのパスで、前線のFWへキラーパスをだし、サイドからは、両サイドをかけがったボールが、センタリングで中央へ、でも何故か、すべてのボールはバルデスに収束し、最後は、バルデスがどんとゴールネットを揺らすか、あるいは、ポストとなって、他の選手へパスするかどっちかです。やっぱり、バルデスとマラドーナはチームの柱です。

コンサドーレの攻撃パターンには、もう一つ、セットプレーからの攻撃がありますが、これは、下の方で改めて説明します。

守備のパターン

コンサドーレの守備は、3-5-2フォーメーションの基本に忠実です。ほぼセオリーどうりに機能しています。CB(センターバック)にはいる二人が、相手ツートップFW(フォワード)の二人をマンツーマンでマークします。そして、ボランチの位置に入っている太田選手が、相手チームのゲームメーカーになる選手をマークします。両サイドのWB(ウイングバック)は、攻撃参加すると共に、空いたスペースをついてくる相手チームの、サイド攻撃を防ぎます。リベロのペレイラは、これらの選手のフォーローに回ります。

3-5-2の場合、最終ラインを形成する五人の選手が、V字型にポジショニングすることが多いです。もちろん、このV字型は、相手の攻撃の形の応じて、開いたり閉じたり、あるいは、右によったり左によったりします。ボールをこのV字型の中に挟み込んでおく限り、まず安全というところでしょう。当然、相手チームは、この中からでようとします。V字型の両サイドに空く大きなスペースは、相手からみれば、おいしいスペースで、コンサから見れば非常に危険エリアです。このスペースに、FWが走り込めば、マークについたCBがつぶし、両サイドからオーバーラップを仕掛けてくれば、WBがつぶします。また、中盤からスルーパスがでれば、時と場合に応じて、ペレイラがカットします。

それでも、これらを突破されることもあるでしょう。サイドを抜かれ、センタリングをあげられてしまったら。FWについているCBが、きっちりマークしている限り大丈夫です。FWにマークについているCBが振り切られてしまったら、あるいは、二列目以降の選手が切り込んできたら。大丈夫、リベロのペレイラがフォローにいきます。それでも、シュートを打たれてしまったら、コンサには、守護神ディドがいます。

どうしても、両サイドにスペースのできてしまう3-5-2システムにおいて、非常に重要な働きを求められているのが、ボランチにはいっている太田です。コンサドーレの中盤では、攻撃の要がマラドーナなら、守備の要は太田です。この太田が、相手ゲームメーカーをどれだけ抑えられるかで、ゲームの主導権を握れるかどうかが変わってきます。相手ゲームメーカーが、ねらうパスは、大きく空いた両サイドのスペース。あるいは、自ら切り込んでくるかも知れません。これらの攻撃がされ放題になってしまったら、コンサドーレの両サイド、村田、田渕は、自陣に押し込まれたままになってしまい、ペレイラも攻撃参加はできなくなってしまいます。このようなことにならないためにも、太田が相手のゲームメーカーにマークについて、仕事をさせないようにすることが大切なのです。

この仕事がいかに大切かというのは、今年のJリーグの広島vsG大阪戦で見ることができます。1stステージの始まったばかりのころ、G大阪はエムボマ効果で、快進撃の真最中。これを抑えるために、広島が取った戦術は、中盤のゲームメーカーを徹底的に抑える作戦でした。エムボマを抑えらないなら、エムボマにパスを渡さなければいい。と考えた広島は、中盤のクルプニを徹底的にマークして、仕事をさせませんでした。この結果、G大阪は前線に効果的なボールがでず、負けてしまいました。このことは、どんなにすごいFWでも、パスがでなければ如何ともしようがないということと、いかにDFが相手FWをマークしても、中盤からパスを出されては、90分間抑え込むのは難しいということを示しています。村田や田渕がペレイラがオーバーラップできるのも太田が相手ゲームーメーカーを抑えているからです。

上に述べたことは、逆にコンサにも当てはまることで、コンサドーレのパスの供給源マラドーナを抑え込まれると、バルデスも苦しいということになります。それでも、こちらのゲームメーカー(マラドーナ)に仕事をさせないように、相手のゲームメーカーにも太田が頑張って仕事をさせなければ、村田や田渕はサイド攻撃を仕掛けることができます。その結果、コンサドーレはマラドーナに頼らず、バルデスにボールをつなげ、最後は頭頼みといった戦い方もできるのです。ボランチのポジションは、目立たないですが非常に重要なポジションです。

セットプレー

コンサドーレのフォーメーションを語る上で、見逃してはならないのが、セットプレー時のフォーメーションです。ゲームを良く見ていると、セットプレーの時、選手のポジションが通常のときと変わっている事に気がつきます。

<コーナーキック>

まず、CK(コーナーキック)のときですが、キッカーは、コンサドーレの場合、マラドーナ選手か後藤選手です。コンサドーレがCKを得た場合、DFの3人、ペレイラ、渡辺、中吉(冨樫)が、するすると相手ゴール前まで、上がっていくのにお気づきでしょうか。最近のサッカーでは、セットプレーの重要性は非常に高いです。全得点の中でも、かなりの比率を占めています。コーナーキックの場合、通常、浮いたボールがゴール前まで飛んできますから、これに触るには、背が高い選手の方が有利なのは容易に想像がつくでしょう。そのため、コンサドーレの場合、コーナーキックのときは、長身のバルデスに加え、DFの真ん中の三人が相手ゴール前まで上がるわけです。バルデス、ペレイラ、渡辺、中吉、冨樫は、みな180cm以上の身長があるのです。

このように、CKは、コンサドーレの得点源になるはずだったのですが、JFLシーズン初めの頃は、いまいち期待された結果が見られませんでした。得点に結びつきにくかったわけです。前半戦も中ぐらいから終盤にかけては、かなり効果的に、得点に結びつくようになり、コンサドーレの貴重な得点源になっています。

コンサドーレの場合、DF三人が背が高いので上がるわけで、CKの時かならずDFが上がるのがセオリーというわけではありません。でも、最近では、CBには大型選手を配することが多いので、大抵のチームではCKのときDFが相手ゴール前に、上がってきます。コンサには、ゴール前に三人の背高ノッポがいるわけで、大抵はこれで相手選手のマークは足りますが、相手チームが大型チームで、数で足りなかったり、失点が許されないときなど、攻撃するときとは逆に、バルデスが自陣ゴール前まで戻ってきて守備をすることがあります。

DFの真ん中の三人が、相手ゴール前まで上がっていくと、カウンターとかを食らったら誰が守るんだ。と、心配になるでしょう。でも、ぬかりはありません。ボランチの太田がリベロの位置に、ペレイラの代わりに入り、村田と田渕がCBの位置で、前線に残っている相手FWにマークにつきます。この三人がする仕事は、カウンター攻撃を防ぐことです。カウンターを食らった場合、一番いいことは、ボールを取り返すことですが、それが出来ない場合は、無理にボールを奪おうとせず、攻撃の時間を送らせることです。大抵、センターサークル付近にいますから、相手にプレスをかけながら、ゆっくりラインを下げていきます。その時間稼ぎの間に、相手ゴール前に上がっていたDFが急いで戻ってきます。CKを蹴ったあと、相手ボールになったら、一目散に自陣ゴール前まで走って戻るペレイラ、渡辺、中吉(冨樫)を見たことありませんか。

<フリーキック>

CKに比べ、FK(フリーキック)は得点につながる可能性がはるかに高いです。それは、コンサには、マラドーナという名キッカーがいるからです。今シーズン、マラドーナは6得点あげていますが、そのうち5点はFKから直接ゴールにたたき込んでいます。マラドーナは右足で蹴るため、ボールが左回りの弧を描きます。ゴール正面から左サイドにかけてペナルティエリアのちょっと外という辺りが、マラドーナの得意なエリアです。直接ゴールにつながる可能性の高いこのゾーンは、独断で、マラドーナゾーンと呼ばせてもらいます。このエリアでFKを得たら、マラドーナから目を離してはいけません。
(著者注:マラドーナの足は右利きなので、FKも右足だけで蹴ると思っていたのですが、その後の調べで、実は両足で、FKが蹴れるということが判明しました。前半戦決めた四本のFKには、左足で決めたものもあるようです。従って、この章の内容は、若干おかしいところがでてきますが、それでもマラドーナの得意なのは右足なので、そのつもりで読まれて差し支えありません。97.8.18)

マラドーナゾーン以外からのFKは期待できないかというと、そういうことはありません。直接ゴールのつながらないだけで、今度は、アシストが期待できます。マラドーナゾーン以外からのFKの場合、CKのときと同様に、DFがゴール前に上がることが良くあります。すなわち、この時、マラドーナのターゲットは、ゴールネットではなく、誰かの頭。FKが、見事に頭にあえば、その次の瞬間には、ボールがゴールネットを揺らしていることでしょう。

相手ゴール前のFKを蹴るのは、マラドーナだけかというと、そんなことはありません。マラドーナがFKがうまいというのは確かでしょうが、そのことと必ず蹴るということはつながりません。何故かというと、マラドーナばかりだと、GKに読まれてしまうからです。マラドーナのFKは、右足で蹴るので、曲げる場合、大抵の場合、マラドーナから見て、左回りに弧を描きます(右図:青いプレーヤー)。これが左利きのキッカーが蹴ると逆に曲がるわけです(右図:赤いプレーヤー)。GKは、ある程度、ボールの軌跡を予想しますから、片方にしか曲がらないことがわかっていると守りやすいわけです。そういうわけで、通常、FKのとき、性質の違うキックのできるキッカーが二人以上、ボールの周りにたちます。

コンサドーレの場合、左足のキッカーは村田です。CKをマラドーナ同様蹴ることの多い、後藤は右ききですし、強烈なボールを蹴るペレイラも右ききです。コンサには、左足のキッカーが先発陣の中には少ないのです。ですから、ボールの周りには、左側にマラドーナ、右側に村田が立ちます。そしてその間に、ペレイラが立つといった感じで構えます。ペレイラは右利きですが、曲がるボールと共に、強烈なまっすぐなボールが蹴れるので、結果、性質の違うボールを蹴れるキッカーが三人、ボールの傍らにいることになります。マラドーナが蹴ることは多いですが、そうじゃない場合もあるので、GKは、一つに絞ることができず、動きが制限されます。

例えば、マラドーナゾーンからのキックの場合、マラドーナが蹴るのなら、直接ゴールをねらってくる可能性が高いので、GKはゴールライン上で守ることにウエイトをかけて守ればいいわけです。ところがキッカーに村田が加わると、左利きの村田のキックは右に曲がるので、直接ゴールをねらうというよりは、ゴール前の選手にあわせる可能性が高くなります。そうすれば、GKは前に出てきてパンチングなどで防がなくてはいけないわけです。これにペレイラの真っ直ぐくる弾丸キックも可能性と加わってくれば、GKが考えなければならない選択肢は、さらに増えます。また、これが、逆サイドからのキックでは、可能性が逆になります。マラドーナのキックは味方選手の頭にあわせる可能性が高いですが、村田のキックは、直接ゴールに飛んでくる可能性があります。

実際には、マラドーナが蹴ることが多いのですが、それでも、選択肢を多くしていることで、GKの動きは制限されます。制限されるといっても、ほんの数cmの動きだったり、コンマ数秒の判断遅れだったりするのでしょうが、これで差がでるのがプロの世界です。左足のキッカーの村田に、もう少しFKからの得点力があれば、FKからの得点シーンは、さらに増えることでしょう。現在、三人いるとは言え、ほとんどマラドーナが蹴っていますから。この三人のキッカーが立つという作戦が、本当の意味を持つのは、村田がFKから一点を取ったときからでしょう。

その点で、惜しいのが、吉成です。吉成は、左利きのキッカーです。また、南米仕込みのボールコントロール力は非常に高いです。マラドーナの代わりにピッチに立ったときは、FKやCKを吉成がけっていました。だから、マラドーナと吉成が、ボールの傍らに立って、FKに備えたら、相手GKは非常にいやだろうな、と思います。 まったく、逆に曲がるボール両方に備えなければならないのですから。

まとめ

ここまでのことをまとめると、コンサドーレの強さは、その時その時の状況に応じた戦い方ができる事でしょう(元々地力があるとも言えますが)。選手個々の能力高いチームの一番の問題は、それをいつも100%出せるかどうかです。そして11人の選手が集まってチームとしてプレーしたときに1100%に、あるいはそれ以上にできるかどうかです(昨年はよく言われたことです。選手個々の能力は高いのにチーム力に繋がっていないということを)。当然、相手チームは、そうできないように、キーになるプレーヤを働けないように戦術を練ってくるわけで、その方法も様々です。例えば、マラドーナのキラーパスは、ディフェンスラインとGKの間にある程度スペースがあったときに生きるわけで、相手チーム全員が引き気味にポジショニングをとれば、役に立ちません。また、自慢のサイド攻撃も、最後はバルデスに来るわけで、バルデスを徹底的にマークされれば有効ではありません(チームによっては3人もマークにつけていたこともあります)。

それでも、コンサドーレは、相手チームの様々なコンサ対策をはねかえす事ができました。相手が攻めてきたら、マラドーナからの縦のスルーパスやサイドからのカウンター攻撃で、また守備的なられたら、その高さを利用して、バルデスへのポストプレーを多用し(場合によっては、リベロのペレイラもゴール前に上がり)、攻撃をしかけます。それでもダメなときは、ペナルティエリアの周りでボールをまわし、FKをもらい、マラドーナのキックにかける。相手の攻撃力がすごい場合は、DFを5人してじっくり守るし、捨て身の攻撃をしかけるときは、3-5-2を4-4-2へ、システムをゲーム中に変更し対処します。

これらすべての戦い方が、相手がこうしてきたから、仕方無しにコンサドーレがさせられたのではなく、最初から計算されていたところがすごいところです。こういう場合には、こうするという一つのルールが、チーム全体に戦術的に浸透しており、おそらくは練習もみっちりしてあるのでしょう。ですから、それぞれの状況での各自の仕事内容が明確にはっきりしており、チームとしての力が落ちることはありませんでした。だから、ナビ杯の予選からJFL前半戦を通して、力が出し切れずに負けてしまったとか、何で負けたかわからないといった試合はなかったように思います。力はだし切った上で、相手がそれ以上できたため、負けたというのは、ある意味で負け方の一番いい形です(これは仕方がないですから)。原因が一番はっきりするし、さらに力を向上させようという、選手の意識にもチームにも、いい影響を与えることでしょう。PK戦で負けた東京ガス戦にしても、コンサドーレはその時の戦力の持てる力を充分出し切ったと思います。マラドーナと田渕を欠き、攻撃力の低下はやむを得なかったものの、引き気味にカウンターねらいに来る東ガスに積極的に攻撃をしかけましたし、DFは途中で、渡辺を退場で欠くという状況になりながら0点に抑えました。

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