[第9節]in国立:浦和レッズ戦

文/佐藤智哉、写真/ワナダン本舗・中村智嗣

なぜ、札幌イレブンの足が止まっているのか。恥ずかしながら延長戦の途中まで気がつかなかった。試合当日は昼間でこそ、いかにも「夏です!!」という太陽がギラリと照りつけ、「札幌の選手はこの暑さに耐えられるか?」と気を揉んでいたが、キックオフの夜7時ごろにはムッとするような熱気は消え去り、国立競技場には涼風さえ吹いているように感じた。少なくとも観客席には・・。

前節の神戸戦で終始支配したという中盤の戦いを互角以上に進め、まずは札幌が主導権を握る。前半8分、山瀬からのパスに反応して酒井が右サイドを鋭く突破。折り返しを小倉がドンピシャヘッドで流し込みあっけなく先制。さらに左サイドでジャディウソンが再三勝負を仕掛け、チャンスを作る。パスカットから一気にゴール前、という場面も度々出現し「勝てるかも」と期待をもたせた。しかし25分過ぎ、エメルソンがマンガみたいなスピードでセンターサークル付近から独走。この日、臨時でマークについた俊足の和波を引きずり倒し(ファウルではありません)、あっという間にゴール前。右足一閃、ファーサイドポストに当たってネットを揺らす同点ゴール。

このあたりから、浦和に押され始める。前半残り15分ぐらいは時計の進むのがやたら遅かった。後半に入ると浦和の攻撃にますます磨きがかかる。というより札幌がまったく攻撃に出られないのだ。たまにボールを持っても、ミスキックのオンパレードで、スルーパスには誰ぁれも反応しないし、フリーキックは蹴った瞬間に相手ボールになってる。札幌の足が動いていないから浦和は好き放題パス交換が出来る。で、後半はひたすらシュートを打ちまくられる展開。磐田や鹿島だったら7、8点取られてただろうが、浦和の攻めはエメルソンのドリブル一本槍で、ワンパターン。何とか同点のまま延長戦に。

延長戦開始とともに札幌は再び攻め始めた。「もしかしたら・・」と一瞬、希望をもたせた。が、プレイが切れたところで足を引きずりながら水分補給に行く選手たちを見て、ようやく思い当たった。暑さにやられたのだ、と。考えてみれば観客席でいくら涼しく感じても、風の通らないピッチレベルで走り回る選手は・・・。観客席の意外な涼しさに「スタミナ切れはありえない」と思い込んでしまい、動かない札幌イレブンにひたすらイラついていた。で、Vゴール負け。ふがいない戦い振りに、悔しさも感じなかった。

浦和の選手の足は動いていたのに、なぜ札幌だけ止まってしまったのか?なぜ前半の45分すら持たなかったのか? 気候の違いはあるだろう。でもリーグ再開前、御殿場で嫌になるほど走ったはず・・。いったいフィジカルトレってなんだろう?スタミナってなんだろう? いずれにせよ、今日の試合でまた一歩、J1残留から遠のいた。


国立のピッチです 初の国立での試合という事で大勢にサポーターが集結しました
札幌のユニフォーム型ビッグフラッグ。代表チームに続き、浦和にもパクられていますね 小さくて見にくいですが小倉の先制ゴールの瞬間です
この試合はエメルソン対策として4バックシステムを採用し、和波が抑え役にな りましたが・・・・