[第1節]in広島ビ:サンフレッチェ広島戦

文・写真/大熊洋一

[観戦記] ファーストステージ第1節 vsサンフレッチェ広島
(2002/03/03(sun)15:00 広島ビッグアーチ)

[開幕戦に集結したコンササポ]

■メンバー

(コンサドーレ札幌)GK1佐藤、DF15森下、5マクサンドロ、22吉川、6大森、MF4今野、8ビジュ、10山瀬、13平間、FW9ロブソン、11小島(R:GK21藤ヶ谷、DF26吉瀬、MF7酒井、FW16堀井、17小倉)

(サンフレッチェ広島)GK1下田、DF5駒野、2川島、31ビロング、3沢田、MF16梅田、8森崎和、7森崎浩、11藤本、FW20大木、10久保(R:GK33尾崎、DF6トゥーリオ、18八田、MF32ミロ、FW27中山)

新生・柱谷コンサドーレの第1戦。中盤をスクエアにした4-4-2のフォーメーションは、コンサでは99年以来3年ぶりの採用ということになる。2000年、2001年と、森・名塚(古川)・大森の最終ラインとビジュ・野々村の中盤でしっかり守り、播戸・エメルソン(ウィル)の2トップで得点を奪うというスタイルを見続けてきただけに、今年の布陣にはどうしても不安が拭いきれない。その不安を吹き飛ばしてくれるような試合を見せてほしかったのだが…。

開始早々、札幌がチャンスを作った。2分、右サイドで得たFKを山瀬がゴール前へ入れると、ビジュが競って左へこぼれたボールを左コーナー付近で小島がキープ、ボールを奪おうと体を入れてくる広島の選手をかわして小島が中央へ折り返すと、半身の姿勢になった山瀬がボールを胸に当てて落とし、そこへ走りこんできた森下がシュート。シュートはクロスバーの上にはずれたが、左右の幅を広く使った攻撃は迫力十分だった。

ところが、札幌の攻撃はここまでだった。

4分、広島が左からスローイン、森崎浩がアーリークロスを入れるとゴール前でなぜか梅田がフリー。梅田のヘディングがゴール上へはずれたからよかったが、ゴール前には札幌の選手も何人かいたのだから、梅田にフリーで打たせてはいけない。7分、札幌ゴール前に入ってきたボールに対し、吉川が久保の前に体を入れてクリア…と思ったら、吉川がもたついて久保にボールを奪われてしまい、久保と佐藤洋平が1対1。久保の動きをよく見た佐藤がシュートをはじき、難を逃れる。11分、今度は森崎浩が裏へ抜けて佐藤と1対1、またしても佐藤のスーパーセーブで失点は免れたが、しかし、早くもマクサンドロと吉川のところは危なっかしくて見ていられない状態である。

15分、広島が左サイドからまっすぐに前線へ長いボールを送った。これを追いかけた藤本がマクサンドロの脇をすり抜けて裏へ出る。マクサンドロは最初の一歩が遅れて藤本に置いていかれてしまい、ペナルティエリア深くでようやく藤本に追いつくも藤本のフェイントに簡単に振りきられてしまい、藤本が角度のないところからシュート、広島先制。17分、今度は広島の右サイドバック駒野がフリーで抜けてきてきれいにクロスを入れ、梅田がシュートもゴール上へ。本来ならば大森が駒野をケアしなければならないはずだが、吉川とマクサンドロが不安定なためか、大森は中へ絞りすぎていて、サイドはがら空きだった。

19分、吉川が、自分に向かってくるボールに対し頭を出したつもりがまったく触れず、ボールは佐藤洋平の前の無人のスペースへ。大森が藤本より半歩早くボールに追いついてコーナーキックに逃げる。22分、またしても吉川がクリアすべきボールをヘッドでスルー、あわてて戻ったマクサンドロが胸に当てて佐藤へ戻す。バックスタンドに陣取ったコンサドーレサポーターから「よしかわ!」のコールが起きる。

かように最終ラインが不安定なためか、大森、森下のサイドバックが攻めあがる場面は皆無。それどころか、札幌は、マイボールになっても攻撃の形がまったく作れない。ボールを持っていない選手の動きがないので、ボールを持った選手が孤立してしまう。おまけに選手と選手の間の距離が開きすぎていて、味方へのパスがことごとくカットされてしまう。ほとんど相手ゴール前へ入ることがないまま、30分、左からフリーの大木にきれいなミドルシュートを決められてしまう。マクサンドロも吉川も、なぜか大木に対して詰めていかなかったから、大木も余裕を持ってシュートが打てたのだろう。早くも2-0。

その直後のキックオフから、札幌は左に開いて大森がゴール前へ長いボールを出し、ゴールを背にしたロブソンがビロング(これはいい選手ですねぇ)を腕でブロックしながら逆サイドへちょこんとパスを出し、長い距離を走ってきた山瀬がこれを拾ってシュート、ボールは逆サイドのポストに当たってから内側へ跳ね返った。同行者いわく「テレビ中継なら大木のゴールのVTRをやっていて放送し損ねたであろうゴール」。2-1。

この1点で札幌が俄然元気になった。41分、右コーナーキック(キッカーは山瀬)からファーサイドでマクサンドロがヘッド、これがはじき出されても吉川やビジュが至近距離から次々とシュートを放ち、ゴール前は大混戦(しかし得点ならず)。ロスタイムには、右サイドから中へ入ってきた森下が前方のロブソンに預けると、この試合で初めて右サイドを駆け上がってきたマクサンドロ(これは迫力ありましたよ~)へスルーパス、マクサンドロが折り返して森下がヘディングシュート、わずかにゴール右、惜しい!!

ハーフタイムに入るや、コンサドーレサポーターからは「よしかわ!よしかわ!」の大コールが起きた。

後半8分、この試合初めての、コンサドーレらしい速攻。広島コーナーキックのこぼれ球をロブソンがドリブルで右サイドへ持ち上がり、前方の小島に預けると小島がキープ、ロブソンが小島を追い越すとそこへ小島からのボールが出る-という形で一気に相手ゴール前へボールを運び、ロブソンがシュートもDFに当たりコーナーキック。11分にも広島コーナーキックのこぼれ球を今野-山瀬と縦につないで山瀬がシュート、下田のセーブに阻まれたが、いい形でのカウンターアタックが2度続けて出たことで、これで後半は巻き返せるかなというムードになってきた。

ところが、16分、左サイドのハーフウェイから少し相手陣へ入ったところでドリブルを仕掛けたロブソンがボールを奪われたところから、今度は札幌がカウンターを食らってしまう。広島が裏へ出したボールに対し、吉川がオフサイドトラップをかけるも久保にきれいに裏へ出られてしまう。GKと1対1になった久保のシュートは佐藤がはじいたが、森崎和に詰められて広島3点目。札幌は、17分に小島に代えて堀井を入れると、最終ラインを大森、マクサンドロ、吉川の3バックとし、左サイドに平間、右サイドに森下、トップ下に山瀬を置いた3-5-2へとフォーメーションを変更。しかし、札幌の各選手は、マイボールのときはボールを持ちすぎ(というか、孤立というか)、相手ボールのときはボールばかりを見すぎて体を寄せていかない(寄せていけない?)。

22分、吉川に代えて酒井を入れ、吉川がいた右ストッパーの位置に今野、今野の位置に森下がそれぞれ下がったら、交代から1分もしないうちに、ポジションが変わったばかりの森下がボールを奪われて、やはりまだ新しいポジションに下がりかけだった今野のところへ大木が入ってきて、今野が大木のほうへ動きかけると逆から久保が入ってきてボールは久保へ。久保がフリーで易々とシュート、広島4点目。32分には、広島が最終ラインでボールをまわし、札幌の中盤から後ろがじれったくなって上がりかけたところでロングボールが裏のスペースに入り、きれいに抜け出した森崎浩が「どフリー」で正面から気持ちいいほどの豪快なシュート、ついに5-1。前半から後ろに走らされ続けた札幌の守備陣はもはや完全に足が止まってしまい、どうにもしようがなかった…


広島サポーター 選手入場.新しい色のアウェーユニホームがちょっと新鮮
いよいよ2002年のスタート! 期待の新戦力・ロブソン選手も不発…