J2寸評 第22節:J2前半戦終了、首位で折り返す

 44節と長いJ2リーグも、今節で中日を迎えた。6節の浦和戦が流れているので、次節の新潟戦が試合数上の中日にはなる。しかも実際はリーグ戦の数が偶数なので厳密な意味で、中日は存在しない。でもこういったものは気分的なものだから、どの日が中日と言われれば、やっぱり今節が中日だろう。
 さて、その中日の試合は、コンサドーレが大宮をホーム厚別に迎えての試合となった。現在3位の大宮、前節大分をかわして順位を一つ上げたが、絶好調というわけでもない。ここのところ、ちらほらと勝ち星を落としている。大分がそれ以上の不振に陥っており、相対的に順位が上がったという見方の方があっている。それでも1位、3位対決なわけで、首位固めをねらう札幌にとって、負けるわけにはいかない相手である。
 試合の方は、前節湘南戦は怪我で欠場した播戸選手が先発に復帰。ここにきてコンサFW陣は、黄川田選手、深川選手が怪我で戦線離脱状態。後方でも名塚選手が離脱。今年のコンサドーレは選手が入れ替わり立ち替わりしても何とかなっているところが心強い。それでも前半は、大宮ペース。中盤を支配し攻勢にでた。最終ラインが安定している札幌は動ぜず、きっちり守り、大宮にチャンスを与えない。実際、前半のシュート数、コーナーキック数は共に札幌の方がなぜか多い。夏の暑さのせいか、後半運動量の落ちた大宮に対し、左の伊藤選手を右の前線に上げ、3トップ状態にして、札幌が攻勢にでる。後半12分、アウミール選手からのスルーパスに反応した播戸選手がDFの裏に抜けだし、先制点をたたき込むと、後半30分に伊藤選手からのボールをエメルソン選手がヘッドで追加点。このままきっちり勝ち切るかと思われたが、終了直前ロスタイムに1点返され、結局2-1での勝利となった。
 これで、連勝記録更新の13連勝。現在の札幌はホーム、アウェイの連勝記録も更新中らしい(計算していないんで)。最高潮とはいえないが、絶好調の状態といっていいと思う。ただ、今年は競った状況だとロスタイムにゴールを決めることが多いが、リードすると逆にロスタイムにゴールを決められることの多いコンサ。ここら辺は技術的なものより、精神的なことが問題の様な気がするのが、心配の種でもある。
 今節他会場の結果は浦和は山形に快勝。大宮は札幌に敗れ、大分は休みだったので、上位2チームとの差が開いた。仙台が水戸に、新潟が湘南のそれぞれ難敵に勝利を収め、じりじりと上がってきている。今の仙台と新潟は要注意だ。

 さて、この日でJ2が半分終了。浦和との延期試合を残しているが、前半戦1位通過を決めた。1位、2位が抜け出したので、J1昇格の可能性はかなり高くなったが、そこはJ2。今の時期の5ゲーム差(勝ち点で15)ぐらいは、二部リーグでは毎年マスコミに踊る“驚異的な追い上げ”とか、“どうした○○、思いもしない不振で大失速”とかで、あっさりひっくり返ってしまう可能性が充分ある。とりわけ、J2は4回戦総当たりなので勝ち点差が二回戦総当たりに比べると差があるように見えても、実際は差がなかったりする。ホーム&アウェイの2回戦だけだと、序盤お互いのチーム状況のわからない時期に、こっそり勝ってしまうことが可能で、実は強いチームだったときがついたときには、残り一試合しか残っていないという状況が結構生まれる。例年中位チームが、開幕ダッシュに成功して逃げ切るような感じ。
 今年の場合だと、シーズン開幕当初マークされたのは、浦和・湘南のJ1組と大分。この時期、札幌へのマークが緩い間にこっそり勝ち点を積み上げておくことが可能で、開幕ダッシュに成功して札幌が今年は強いと他チームが気がついたのが一巡目が終了したあたり。もしもJ2が二回総当たりだと中日を迎えたときには残り対戦が1試合しか残っていない。直接対決というのは、1チームが勝てば片方は必ず負けるわけで、直接対決が残っている状態と、残っていない状態では、勝ち点差の持つ意味が倍違う。それでも対戦が1試合しか残っていない状況だと、勝ち点差で4以上離しておけば大丈夫という計算になる。これが、今回のような四回戦制だと、7以上になるわけだ。ようするに安全な感じがする差というのが、J1の雰囲気の倍の差が、J2は必要ということになる。現在昇格レースの渦中にあると思われるのが、札幌、浦和、大分、大宮の4チーム。これらのチームとの対戦が合わせて7試合も残っている状況では、10や15の勝ち点差はないに等しい。
 しかもJ2特有の各チーム状況(調子)が大きく季節変動するという点が話をややこしくしている。今年の場合、例えば仙台。仙台は第1クールの成績はほとんど勝てずブービーだった。ところが第2クールの成績だけだと大分大宮をかわして11チーム中3位に躍進。J2ではこういった調子が上向いたチームとの対戦が時々やってくる。初戦は不調な仙台とアウェイで、二巡目好調な仙台とホームで戦えたことはラッキーだった。昨年では大宮が典型的。シーズン前半は監督辞任するほどチーム状態が悪かったが、後半戦は別のチームように強くなった。第4クールだけでは1位だった。こういったチームの調子の波というのは、J1でもJ2でもどこでも関係なくあるのだが、J2の場合、J1に比べてこの波の振幅が大きい。J1に比べて個々の選手のレベルが落ちるJ2では、日々の活躍具合にムラがあってコンスタントに実力を選手達が出してくれない。悪く言えば、安定していないのだが、そのおかげで、チームの調子のいいときと悪いときの差が大きくなる。上位をねらうチームにとって、これは結構厄介な代物で“思いもしない相手”に“思いもしない敗戦”とかの一因になったりする。
 力と調子の具合を比べれば、負けるべくして負けたのだが、それに気がつかず必要以上に大騒ぎすると、今度は自分のチームの調子が崩れてくるから、長いシーズンを戦うチームスポーツというのはおもしろい。ようは、上位二チームが抜け出しかけているような展開だが、そこはJ2。まだまだわからないぞ、ということ。リーグ戦はシーズン通して、長くないとおもしろくない理由が、ここにある。
 7月の浦和との二試合は非常に大事だが、先のことよりも常にまず今を大事にしなければいけない。次節、新潟戦は第3クールの開幕戦でもあり、後半戦の開幕戦でもある。いつの時も、開幕戦というのは大事である。