[第4節]in厚別:京都サンガ戦(写真付) 

『二上英樹の観戦記』

試合日程の関係で、序盤戦は、1stステージの下位チームとの試合が続くコンサドーレは、前節福岡相手に痛い一敗を喫し、2勝1敗。勝ち点6で5位。もちろんコンサドーレの場合、勝ち星の計算できる相手は現在のJリーグにはいないとは言え、1stステージ負けているだけに連敗は避けて欲しかったところ。その意味では、今日の京都戦も1stステージ勝ち星を落としているから、ホームに迎えるこの日の試合は落とせない。
しかも次節から、上位チームとの戦いが始まり、また、ここ二週間で5試合という過密日程をこなさなければならない状態では、リズムというかムードが大切。いいムードで上位陣との対戦に向かい、一気に乗り越えたい。というわけで、非常に大切な京都戦であった。
今日の試合は、JALサンクスマッチ。スタジアムへの先着50名はスチュワーデスとツーショットが取れたり、JALからのプレゼントがあったり、また、この日、デビューしたコンサドールズユースの背中にもJALのマーク。他には、この日、今季ホームゲーム入場者数が10万人を越えるのが確実とあって、10万人目の方には記念品が。

札幌の先発は以下の通り。4-4-2のフォーメーションは前節と一緒。DFは、村田、梶野、大野、田渕の四人。中盤は、太田、後藤、マラドーナ、バウテルの四人。オフェンス陣は、深川、バルデスのツートップ。控えは、加藤、木山、時岡、村主、吉原の五人。バルデスと前節復帰したマラドーナが先発にカムバック。

  • FW:バルデス、深川
  • MF:太田、後藤、マラドーナ、バウテル
  • DF:村田、梶野、大野、田渕
  • GK:ディド

一方、18億円補強をした京都の方は、元代表など著名選手がずらり。キーパーは松永(元仙台)。松永は一昨年鳥栖フューチャーズで札幌に来て以来、二度目。コンサドーレの記念すべき札幌での初試合だったが、その時は、バルデスも鳥栖にいたんだよね。う~ん、時の流れを感じる。DFには、大嶽(元横浜F)やジュニオール。ボランチに森保(元広島)、左サイドには岩元(元平塚)、ゲームメイクは、元ブラジル代表のシーラス。フォワードにはエジミウソン。山田(元横浜M)と黒崎(元鹿島)は怪我ででなかったようだ。
試合の方は、京都ペースで始まる。前節の悪い流れを引きずっているのか、コンサドーレは押し込まれる。前半10分にはゴール前に上がったボールを京都の選手がヘティングシュート。完璧に、決められた!!と思ったボールにディドが反応。なんとか難を逃れる。このシュートを決められなっかったのは、非常にコンサにとってはラッキーだった。それにしても、2節の広島戦で見た時といい、ここんとこのディドの動きはいい。
試合は、前半15分に動く。カウンターで左サイドを攻めるコンサ。マラドーナがキープするも一度は京都の選手にカットされる。マラドーナこれを強引に取り返し、大外をまわって、ライン際を駆け上がる村田へパス。村田これをダイレクトに中へ折り返す。ゴール前に待っていたバルデスは、突っかけられてこかされるも、ボールは、その外側にいた後藤の胸へ。後藤前へトラップしてシュート。ボールは、松永の左をかすめて、ゴール左隅につきささった。コンサ先制!!。押しこまれていただけに、大きな先制点。後藤は、ジェフ時代に決めて以来、三年ぶりのJリーグゴール。また、この時の村田のあがりはすばらしかった。村田これで気をよくしたか、その後たびたびオーバーラップを見せる。センタリングの精度がまだまかなあと思うが、積極的なあがりで、同じサイドにいる京都の光岡とかの動きを抑えていたので、その点は充分評価できる。いつも、これくらいオーバーラップしてくれるといいんだが。
試合は、コンサドーレの先制点で、コンサペースに変わる。何回か京都ゴール前へボールがいき、シュートが放たれるも決められず。そのため、前半30分ごろから、ジリジリと京都ペースに試合の流れが変わる。終了間際は、コンサドーレの選手の足が止まって、完全な京都ペース。この日、コンサにとってラッキーだったのは、前半10分の決定的場面以降は、京都のシュートがゴールの枠にいかなかったこと。枠にいっても、ほとんどディドの正面とかで、シュートの雨の中でもなんとかコンサゴールを死守することができた。試合は、猛攻しのいで、何とか、前半終了。押し込まれるも、隙を突いて、ゴールを奪う、多分ねらい通りの展開。後半は、どうなることやら。

後半は逆転を狙う京都ペース。コンサドーレのDF陣は、4バックのラインディフェンスで対応。今日も、センターバックの大野は、相手FWに密着マーク。エジミウソン相手に仕事をしていた。また、中盤、ゲームメイクを担当するシーラスには、二人の選手が対応。コンサゴール前に上がってきた時は太田が、自陣まで戻ったり下がったときは、バウテルがマークについていた。
試合の方は、マラドーナが完全にガス欠の状態で、いなければならない1.5列目にいない。3列目まで下がってきてディフェンスをやっている。そのため、二人のFWの後ろのスペースがぽっかり開いてしまった。DF陣がクリアしても、そのスペースですぐ京都ボールになってしまう。そのため、コンサ自陣に縛りつけ。四人いるMFのうち、代わりに誰かが上がればいいのだが、なかなか思うようにいかず。バウテルは、調子が悪いのか、怪我が完調でないのか、はたまたマークがついていたのか知らないけれど、あまり目立たず。一方、今日の後藤は、良かった。ボールのあるところ積極的にからんで、相手ボールになっても、激しいチェックでボールを奪う。その後、パスがうまく前に繋がらないのは、いつもの通りだったが、最後まで集中力が切れず、イレブンを叱咤激励していた(いや怒鳴っていたという表現の方が正しいかも)。前半のゴールで、気が乗ったか、最後のホイッスルが吹かれるまで走り回り、その姿には、鬼気迫るものがあった。動かなくなったマラドーナのけつ、蹴飛ばしてでも動くようにしてもと良かったのに、と思ったが、そこまではしてなかった。
後半はコンサにいいとこなしで、京都ペース。コーナーキックのときなど、二人のFWが戻るので、コンサゴールを中心に扇状に囲まれているような状態。ディドのファインセーブもあり、なんとか持ちこたえていた。後半25分、深川に代わって吉原投入。マラドーナが動けなくなって、高さのある選手をいかせなくなって、足のある吉原を投入といったところか。吉原投入でも、京都ペースは変わらなかったが、マラドーナは、コンサボールになった時に、センターサークル付近から(少々コンサ陣よりかな)、ラインをあげている京都DF陣の後ろにボールを出すだけで良くなったので、ちょっと元気がでてきた。そのため、時々、コンサドーレのカウンターが見られるようになり、ボールの動きが終盤に向けて激しくなってきた。
それにしても今日の京都のシュートは精度が悪い。一回だけ、ゴール直前で相手FWとディドが接触する危ない場面があったきり、シュートの数は多かったがディドの堅実なプレーで、切り抜けている状態。この日のディドのプレーぶりはまさに堅実。はでなプレーはそれほどなかったが、何本と飛んで来るシュートをこぼさず、しっかりキャッチ、判断よく飛び出しパンチング、コンサドーレのゴールをわらせなかった。

試合は、終了間際再び動く。ディドが蹴ったボール、前線に張っている吉原やバルデスのところへ。ヘッドでクリアしようとした京都ディフェンスがクリアミス。ボールは斜め後ろ(京都のDFから見て)にころころと転がっていき、バルデスの足もとへ。これをバルデス持ち込んで、前へ出てくる松永をしっかり見て、ゴール右隅に蹴りこんだ。これで、2-0。長い間、苦しい試合展開を見せられていた厚別のスタンドにいた観客は、一斉に立ちあがった。フェルナンデス監督もベンチから飛び出して、ジャンプしながらガッツポーズ。よっしゃー、てな感じ。バルデス、2ndリーグ初ゴール。怪我で出遅れてただけに、うれしいゴール。この日のバルデスのゴール後のパフォーマンスは、電話ではなく、お祓い。右腕左腕についた悪霊を祓って、これで悪い流れはサイナラ、ってな感じ。
終了間際に2-0と突き放す得点で、コンサ選手の動きがよくなった。相変わらず京都に押し込まれるも、なんか跳ね返し方に自信が見られる。いくらでも来てみやがれ、てな感じ。時計は既にロスタイム。この日のロスタイムは3分。でもなかなか終わらない。5分くらい、プレーしてたんじゃないかなあ。だんだんコンサベンチも審判に時間だ時間だってアピールするようなシーンが。で、試合はこのまま終了。広島戦に続いて厚別二連続完封勝利。勝ち点をに伸ばし、2ndステージ4位に順位をあげた。

二週間で五試合をこなすといったサッカー週間の初戦を完封勝利で良いスタートを切ったコンサドーレ。攻め込まれながらも、カウンターで奪った得点を守って、勝ちを納めるといった狙い通り(多分)の展開で、戦術的にもうまくいっているみたいだ。試合後の監督の会見では、「高いお金を使って選手を集めた京都に勝ったことは、コンサにとって非常に意味のあることだ」と言っていた。選手補強をして欲しくてもお金のないHFCの現状ではできない、苦しい監督の胸の内を聞くような言葉だった。監督は、最後にこうも言っていた。「最後に、12番目の選手としてスタンドで応援してくれたサポーターのみんなには、ホントに感謝したい」。他のチームのスタジアムと異なり、厚別では、ゴール裏からだけではなく、メインスタンドからもバックスタンドからも応援の声が上がる。メガホンの音だけという声も聞かれるが、それでも、ゴール裏からしか声があがらない他のスタジアムに比べれば、厚別の応援はぐるっとまわりから音がするわけで、選手にとっては、やはり心強い。ここんところ、ず~と押し込まれる苦しい展開が続くだけに、ともすれば切れそうになる集中力を維持するためにも、サポーターの応援は大切だ。コンサドーレの選手達が試合後に、バックスタンドからグルっとまわってゴール裏、メインスタンドに挨拶するのも、その様な意味でも、いいことだと思う(応援してくれたことに対するお礼の行為なのだから)。ここん所、勝っているからかもしれないが、他のチームは、ホームでもゴール裏にしか挨拶をしないチームは多い。できればコンサには、長く続けて欲しい行いである。
次節の相手は清水エスパルス。守備に定評のあるチームだが、選手交代によって攻撃的なフォーメーションへ変化したときは、すごい攻撃力のあるチームへ生まれ変わる。いつも立ち上がりが悪い清水なので、前半のうちに先制点を奪いたい。ただ、先制点を奪えば奪ったで、コンサ守備陣は、その攻撃力に今度はさらされることになるので、どこまで耐えしのげるか。とにもかくにも開幕戦痛い目にあい、コンサドーレの自信喪失に繋がった因縁の相手だけに、ホーム厚別では、苦しい試合でも、PK戦になったとしても勝ちを納めてもらいたい。

(以上記事:二上英樹)


アルメイダコーチ:試合前、アップをするコンサドーレの選手達と、2ndステージに新しく来たアルメイダ・フィジカルコーチ(Yシャツにスラックス)。スタンドまで聞こえる大きな声で、アップを指示していました。  
コンサドールズユース:この日、コンサドールズのユースチームがデビュー。総勢24名。JALサンクスデーのためか、背中には、JALのロゴが。ドールズのダンスの後に、登場。ドールズ、ドールズユース全員で、ダンスを披露した。
フリーキック:前半、京都ゴール前の絶好の位置で、フリーキックを得る。蹴るのはマラドーナ選手。GKは、京都の松永選手。壁に入るのは、左から京都の光岡、シーラス、岩元の各選手。壁の中に入ろうとしているのは、村田選手。
ゴールを死守するディド選手:ゴール前に上がったボールに反応するディド選手。この日は、何本も打ち込まれた京都のシュートを、ことごとく跳ね返しました。
攻めるコンサ:京都ゴール前に攻め込むコンサ攻撃陣。ボールを出すのは、バウテル選手。それに反応するのはマラドーナ選手(10番)。京都の選手は、左から、野口、シーラス(10番)、小川、松永(GK)の各選手。
ボールを持ち込む後藤選手:この日、絶好調だった後藤選手。右サイドをボールを持って上がります。
ヒーローインタビュー:この日のヒーローインタビューは後藤選手(左)と大野選手(右)。先制点を叩き出し三年ぶりのゴールを決め、また、90分間動きまわり、怖いくらい怒鳴っていた後藤選手。また相手FWをしっかり密着マークし、仕事をさせなかった大野選手。個人的には、大野選手は広島戦の時の方が活躍していたと思うのだが、このような地味でも、仕事人のようなプレーをする選手をしっかり評価することは非常にいいことなので、良しとしよう。二人とも、この調子で清水戦頑張って欲しいものである。