[第11節]in神戸ユ:ヴィッセル神戸戦

『二上英樹の観戦記』

連敗が続くコンサだが、上位陣との試合はひととおり終えて、この日からは下位グループとの試合が続く。今季、中位の成績を収め、来期J一部に残るためにも、今後の試合は星を落とせない大事な試合が続く。今日は、神戸ユニバ競技場でヴィッセル神戸との試合。観戦記を書きますが、神戸まで見に行ったわけではありません。この日、有志が札幌市大通にオーロラビジョンを持ち込み、コンサドーレの試合の中継を行った。内容は、この日HTBが 生中継するテレビ放送を受信してスクリーンに映すといったもので、テレビ観戦しているのと変わらないのだが、オーロラヴィジョン中継という、おもしろい経験をしたので、それと絡めながら、今日は観戦記を書きたい。
会場となったのは、札幌市中心部の大通公園。ゴールデンウイーク中ということもあり、公園には、かなりの人出があった。移動式オーロラヴィジョンは思っていたより大きい。その前に椅子が設置され、観客の数は数百人といったところか。コンササポーターがかなり来ていて、いろいろなイベントも開けれていた(こちらの様子は『小話の部屋』でそのうち紹介)。

札幌の先発は以下の通り。前節川崎に負けたコンサドーレは、4-4-2から再び3-5-2のフォーメーションに戻した。DFは、ペレイラがリベロの位置に入り、梶野、渡辺がストッパーの位置に入る。MFを見てみると、右ウィングバックに田渕が先発復帰。一方、前節怪我で途中退場したマラドーナが欠場。変わってバウテルが攻撃的MFの位置に入りゲームメイクを担当。古川、時岡がダブルボランチを構成するのは前節と一緒。ツートップはバルデス、吉原のコンビ。
オフェンス陣は、バルデス、吉原のツートップ。控えは、加藤、村主、鳥居塚、後藤、深川の五人。

  • FW:吉原、バルデス
  • MF:村田、バウテル、古川、時岡、田渕
  • DF:梶野、ペレイラ、渡辺
  • GK:ディド

対するヴィッセルは、FWに永島と韓国代表の金度勲がいるものの、ビングリーは怪我で欠場。昨年JFLで死闘を繰り広げた川崎Fから、今季神戸に移籍した長谷部は控えにはいっていた。
神戸と言えば、二年前のJFLも終盤、場所は同じく、ユニバ競技場。これ以上負けられないという厳しい状態にあったコンサドーレが1-5で大敗し、引導を渡された地でもある。その時とは、コンサドーレのメンバーもかなり変わったが、因縁の地で因縁の相手であることに変わりない。今日は、是非とも雪辱を果たしてほしいものである。
ユニバは雨のようで、滑るボールに気をつけつつプレーしている様。時々選手がこけている。試合開始しばらくは、ジャブの打ち合い。様子見の展開が続く。前半10分頃、左サイドの村田が前方のDFの裏に出るボールを放り込む。ここに走りこんだ吉原がダイレクトにシュート。後ろから来る難しいボールにダイレクトであわせる、うまいシュート。コンサ先制に、オーロラヴィジョンを見ている人達も、立ち上がって大喜び。この感じは、スタジアムと一緒。
さらに前半12分、左サイドからのスローインを受け取ったバウテルが吉原とワンツー、これで、DFをかわしたバウテルはGKと一対一。フェイントを入れつつしっかりと決めた。これで、2-0。前半早々のゴールラッシュに沸き立つ会場。
連続得点に、気が緩んだわけではないが、今度は、神戸のチャンス。ゴール前に放り込まれたボールが前線にはる金度勲にわたる。ワントラップしたボールを、渡辺を背中にしょいながら、ゴールを背にしたまま体をひねりつつボレーシュート。ディドの伸ばす手の上を抜け、ゴールに突き刺さってしまう。2-1、一点返されてしまう。これで、気が引き締まったか、その後は、一進一退。
オーロラヴィジョンの前はといえば、画面から漏れ聞こえてくる、コンサドーレダダンタダンダの音に合わせて、手拍子とメガホンの音が大通公園に響く。試合中継が始まって、人が増えてきたようで、用意した椅子に座れない人が後ろの方で、立ち見の状態。チャンスのときには歓声が上がり、これを逃すとため息が、そしてピンチのときには、声援が上がるのは、スタジアムと一緒。聞こえるはずがないのに、こ~た行け!!、そこだバルデス!!なんかの声がかかるのも、スタジアムと一緒。テレビで見るよりおもしろい。
試合の方はといえば、前半開始早々は、前へ前への気概が全員にあったのが、だんだんつかれてきたのか、中盤が間延びしてきた。解説の人は、神戸の地元サンテレビが用意した人なんだけど、試合はコンサドーレのペースと言い、結構ほめていた。試合の方は、このまま前半終了。前半終了前に梶野が、永島へファウルでイエロー。その前にも、注意を受けていたが、繰り返しということで、今度はイエローがでてしまった。梶野これで、累積三枚目、次節市原戦は出場停止。

後半は、何かお互いミスが多く、間延びした試合展開。それも、ゴール前の決定的な場面でのミスが多く目に付くだけに、会場はため息が続く。とりわけ、バルデスのゴール前でのミスが目立った。思い切りのないプレー、といった感じのバルデスに、会場からも、どうしたバルデス!!という声が上がる。それでも、コンサドーレがリードしているので、まだ見ていられるが、そのリードが一点だけというのが、はらはらさせてくれる要因。試合は、6:4でコンサドーレのペースだが、神戸の鋭いカウンターが時々出るだけに、どうなるかはわからない。ディフェンスがあっさり点を取られるシーンをたびたび見てきているだけに、安心はできない。どうして、前半2-0で折り返せないかなあ。勝ち点3をゲットするためにも、早く追加点を、または早く終われ、と思いつつ試合を見る。
先に動いたのは神戸ベンチ。後半20分ごろ、一気に三人交代。局面の打開を図ります。コンサDF陣、マークだけはずらすなよ、という心配をしたが、幸い、それほど大きな変化は起きず。後半35分。神戸DFが、GK石末にバックパス。これを石末、クリアミス。後ろにこぼれたところに走り込んだのは、詰めていたバルデス。ゴールに向かってシュート。神戸DFが、クリアに走り込むも、そのまま、神戸ゴールに転がり込んだ。3-1。神戸を突き放す得点をバルデスが上げた。石末、痛恨のミスにピッチに仰向けになったまま顔を覆って動かじ。ベンチのフローロ監督が映ったが、何やっとんじゃ信じられん、という顔をしていた。
これで、このままコンサにペースが傾かないのが、今のコンサドーレの悪いところ。後半40分。今度も金にやられる。右からのセンタリングに頭でドンピシャで合わせられ、3-2。また一点差に。どうして、良いペースになってから、点を守れないかなあ。点を取っては、取られるの繰り返し。コンサドーレは、中盤を厚くしてゲームを支配するために、FWの吉原を下げてMFの鳥居塚を投入。1点返された後の選手交代で、ベンチワークが後手に回ってしまっている。

その後も、ひやっとするシーンが何回か見られたものの、何とか試合終了。ホントに何とか、という感じの辛勝だった。連敗を止めた勝利はほめられる。また、初のアウェイの勝利を上げたことや、しっかり勝ち点3をゲットしたことも。でも、このアップアップしながらの勝利は何とかならんものかいなとおもう。今日も後半は、フォーメーションが破綻していた。最終ラインは何とか、相手FWを押さえているものの、2列目から飛び込んでくる神戸の選手へのマークをが甘い。3バックで中盤が、4バックスに比べ手薄になっているのが響いていているのか知らないが、二列目の選手の押さえが効いていない。攻撃も薄く、二次三次といった厚い攻撃が少なかった。相手が神戸だから助かった、という感じがしないでもない。これを改めないと、ジャイアントキリングは無理だろうなと思ってしまう。
今日の勝利で、勝ち点は9、神戸などと並んだが、得失点差で、神戸に続いて16位。もしもこの日の試合、二点差で勝っていたら、得失点差で神戸をかわして15位になっていた。年間順位が決まるのはまだまだ先だが、このような細かいところには、こだわってもらいたい。きっと、順位決定は、ぎりぎりの所になるだろうから、最初から貪欲にガツガツ行ってもらいたい。
それでも、試合後のオーロラビジョンの前は、万歳の声が起こり、みんなにこやかに握手したり、よろこびを分かち合っていた。神戸からはるか離れた札幌の空のもと、メガホンをたたき、コンサドーレコールをしつつ、勝利の念を送り続けたコンサドーレのサポーター達。こんな風に、青空の元、みんなで観戦するのも結構いいもんやね。
(以上記事:二上英樹)