[第4節]in室蘭:ガンバ大阪戦(写真付)

『二上英樹の観戦記』

開幕から三連敗と、苦しい戦いの続くコンサドーレ札幌。やっとこさホームに帰ってきた。こういう展開だと、二年前のJFLを思いだす。あのときも、開幕から負けが先行する苦しいシーズンだった。その時の道内開幕戦の相手は大分FCだったが、今日と同じく室蘭入江競技場で行われた。今日のスタジアムは、コンサドーレの試合を待ちわびたサポーターで一杯。コンサドーレがJで負け続けているということよりも、Jで戦うコンサドーレの姿が見れることの歓びの方が大きいといったサポーター達。外でいじめられて泣きながら帰ってきたがきんちょを優しくつつむ母のような雰囲気がここにはある。二年前の雰囲気と同じだ。今日は行ける。
ホームアイランドにおける公式戦の勝率は9割以上。負けたのはわずか二試合。帯広での東京ガス戦。ナビスコカップ準々決勝での鹿島戦。コンサを応援する人達の心の中には、北海道でならそう簡単に負けない。開幕三連敗も、北海道での試合がないからだ、という気持ちがある。その気持ちが、外にでたか、今日のゴール裏はいつもにまして元気だ。

札幌の先発は以下の通り。前節の柏戦で、復活した3-5-2のシステム。それなりに機能したので、今日も3-5-2のようです。先発の新顔は左ウイングバックに入る黄川田。攻撃力を買われての起用のようです。また、鹿島戦で退場をくらい前節出場停止だったマラドーナが中盤に復活。形は3-5-2ですが、中盤の攻勢はマラドーナを頂点に、ボランチにバウテル、村主の二人を置く、ダブルボランチ(柏戦はボランチを一人、攻撃MFを二人置くシステムでした)。

  • FW:吉原、バルデス
  • MF:黄川田、マラドーナ、バウテル、村主、田渕
  • DF:木山、古川、渡辺
  • GK:ディド

控えには、深川、後藤、梶野、村田、加藤の五人。対するガンバ大阪は、エムボマ、クルプニの強力な攻撃陣がFWに、代表候補のGK岡中、五輪候補のMF稲本なども見えます。
道内開幕戦とあって、試合の前に、今日はいろいろある。試合前のピッチ練習と、選手紹介はいつも通りだが、その後、まず、堀北海道知事の挨拶。二年前にも同じように堀知事が挨拶したが、結びは『札幌と大分両チームの選手の健闘を期待します』と言っていた。今日は、『札幌の勝利と、G大阪の健闘を期待します』と言ってくれた。二年たって、知事もわかってきてくれたようだ。これこそ、ホームゲームだ。
そしてコンサドールズのパフォーマンス。ドールズも、今季初お目見え。昨年10人のメンバーも今年は増えていたようだし、ダンスの種類も変わっていたような。うけていたのは、一緒に踊っていたドーレ君。今年のドーレ君、ダンスがうまいぞ!!。去年はステップを踏んでいただけなのが、ちゃんと一緒に踊っている。
その後、選手入場。そして始球式が行われた。始球式にやってきたのは、五輪金メダリストの里谷多英選手。胸にはちゃんと金メダルがぶら下がっていた(でも、これ、後でテレビで見て確認したことなんだけど)。この日は、バックスタンドの方で見ていたので、全然、里谷選手見えなかった。なんかやっている?てな感じ。まあ、そうこうしているうちに、試合がはじまった
今日の一番の興味は、今季初めて生で見るコンサドーレの選手達の動き。そして見どころは、今季あまり好調とは言えない守備陣が、エムボマ、クルプニのガンバ強力攻撃陣をいかにおさえるか。序盤は、お互い様子見のような感じで、試合は展開する。エムボマには渡辺が、クルプニには木山がマークについているようだ。全体に一進一退。コンサドーレが相手を圧倒するほど好調ではないが、一方的に押し込まれているわけでもない。チャンスが度々来るわけでもなく、ジリジリとした展開が続く。
前半20分、コンサに大きなチャンスが訪れる。ガンバゴール前に上がったボールにバルデスがせりかつ。落とした所にいたのが吉原、ガンバGK岡中と1対1になって、シュートを放つが、岡中これに反応。体に当てて防いでしまう。スタジアム全体で大きなため息。
前半35分両チーム選手交代。コンサドーレのマラドーナに代わって後藤がIN。マラドーナ、そんなに調子が悪かったわけでもないのに?という疑問符のつく交代だったが、後でわかったところによると、足を痛めての交代とのこと。一方、ガンバ大阪もエムボマに代わって松波がIN。えっ、エムボマがアウト?という雰囲気だったが、そのまえに、ディドと渡辺と絡んだときに、腰から落ちて、たしかに動きは鈍くなっていた。エムボマのアウトで、少しは負担の軽くなったコンサDF陣。それでも、試合展開はかわらず。前半終了。

後半に入って、両チーム勝負にでるようになったか、ボールの動きが前半より激しい。後半10分には、ディドの手をすり抜けたボールがゴールバー直撃の危ない場面も見られ、試合が動き始める気配が。後半15分にはコンサにペースがやってくる。ガンバゴール前で、三本続けてFKが続く。が、決まらない。それ以降は、今度はガンバのペース。ガンバの攻撃がカウンター気味に利き初め、コンサゴール前で危ない場面が何回か見られる。
このペースをひっくり返したのが、やっぱりバルデス。左サイドから切り込んだ黄川田からゴール正面の吉原へパス。吉原からバルデス、バルデスから吉原、そして再びバルデスへ。パスを四つ続けて、ガンバDF陣ラインを中央から突破。最後は、ガンバDF三人に囲まれながらも、バルデスがシュート。ボールに飛びついたGK岡中の手を弾き飛ばし、ゴール左隅につきささった。後半20分コンサ先制。待望の先取点に、スタンドは大騒ぎ。
ここから試合終了までの25分が長い。守備的になるのはよくないのだが、それでも、初勝利いまだかなわずの状態では、このまま早く終わってくれと言うのが正直なところ。これまでの三試合、後半になると、大量失点してる現状では、仕方がない。案の定、ガンバの逆襲に合い、コンサゴールのバーをたたくシュートが何本かあった。それでも、コンサも守備一辺倒になるわけでなく、ガンバゴール前に攻めがる。追加点のチャンスもあったが、結局決まらず。2点以上取ることはコンサドーレの課題の一つであるが、この日も克服することはできなかった。

試合はこのまま終了。待望の初勝利をあげた。ようやくあげたJリーグ初勝利に場内は割れんばかりの拍手の嵐。試合後、選手達がホーム側サポーターの前に来るときも、いつもよりゆっくりそしてうれしそうに場内をまわっていた。

(以上記事:二上英樹)


チームフラッグ:Jリーグの旗と共に、室蘭競技場の空に翻るコンサフラッグ。白地に青のは、ガンバ大阪のフラッグ。
ゴール裏:道内開幕戦とあって、ゴール裏には多くのコンササポーターが陣取りました。
攻めるコンサドーレ:ガンバゴール前での攻防
守るコンサドーレ:コンサゴール前での攻防。右端(青)はGKディド。
勝った:記念すべき、Jリーグ初勝利の結果を示すスコアボード。見た目、ぼろっちいですが、それでもコンサドーレの初勝利を示すスコアボード。
選手達:この日のコンサドーレの選手は、試合後、いつもより、ゆっくりと場内を半周しました。ホーム側ゴール裏を歩くコンサドーレの選手達です。