[第2節]in仙台:鹿島アントラーズ戦

『永井謙一郎さんの観戦記』

 ただいま帰還しました。朝イチに食った牛たん麦めし駅弁はうめぇ。 しかしアレですね、コンサドーレの攻めが手詰まりになると現場レポートもつくづく 手詰まりになるもんですな。言葉をムギュ~ッと絞り出すのに難儀しますわ。

 今回の札幌は「まず守ること」を第一に考えていたようで、両SBが無闇に 上がらず、後方で踏ん張って自陣のゾーンをケアすることを心がけていました。 鹿島はご存知の通り、中盤、SB、FWとどこからでも前に飛び出せるので それを防ぐためスペースを潰し、飛び出す選手がいたらきっちり詰めていくよう 田渕や村田は立っていたわけです。
 そして木山、渡辺と共に4人のラインを作り、それを一段前の古川が誘導。 鹿島に短くつながれても自分のエリアを滅多には放棄せず、自らの守備範囲に 入ってきた鹿島選手に向かってアタックするという動きは、まあだいたい できてたと思います。
 この「だいたい」ってのがクセモノで、やはり、ちょっと棒立ちになった時に シュートまでもっていかれてディドのセーブに助けられたり、 あるいは点を失うわけで、このあたりはJの試合は油断できないところですね。 鹿島の2点目。遠め右からの大きなFKを柳沢が当てて前の熊谷へ。 このへん、ボクも「あの距離じゃまさかワンチャンスはないでしょー」と タカをくくっていたのですが、ポン、ポンと渡ってアッという間にディドの 真ん前まで。そしシュートを止めきれず熊谷に押し込まれましたが、この一瞬は 選手もそして多分観客も皆ボールを見てるだけ状態になってました。

 ただ前向きに考えると、相手DFがたるんでる時間帯に点を取れるのは札幌も できてたわけで。
 後半のバウテルのゴールは斜め右からのミドルでしたが、後半開始早々の 鹿島はちょっと落ち着きすぎていたんですね。立ったまま、パスコースや シュートコースを消しきれてない鹿島DFを見て、思いっきり打った。 それがドンピシャリの勢いとコースでゴールネットに吸い込まれたわけです。 こういう、わずかなスキをちゃんと見つけて1点ものにしたという結果に ついては満足していいでしょう。とはいえ、先も言ったように「まず守る」が この日の戦術ですから、言い換えると「カウンター」ですね。 どんなにキツくてもボールを奪った後の展開を一撃必殺でバルデスに 託すところまでもっていけるかどうか、でしょう。
 この日のバルデスのシュートは1本のみ。いかに彼までラストパスが 渡っていないかの証拠です。

 攻め手としての札幌は「手詰まり」のキーワードに集約されます。
 ニッカンによるとボール支配率、札幌が57%なんですね。でもこれの正体は 鹿島の球離れがいいことと、札幌は(ウーゴあたり)、まずドリブルキープで 持ってるんだけど、その次の手が見つからないということです。 ウーゴは結局バルデスしか見えてないので、ボールをバルデスに渡す頃には すでに鹿島DFが予想してきっちり詰めているわけです。
 後半にウーゴが退場しましたが、正直そのことが原因で劣勢にはなってません。 それほど、1、2戦のウーゴは状況を打開する任務をチーム内で 果たしていなかったわけです。で、打開しようとしていたのは、近ごろ株が急上昇のバウテル&村主。ウーゴがいなくなってから顕著になりますが、中盤まで下がってボールを受けたバルデスが右サイドを走る村主へ出すという、 「バルデス・村主」新ラインが、鹿島陣営へと入り込むチャンスを作りました。 ギリギリまで村主が深いところに突っ込んでくれるので、その間だけ札幌の ラインがググッと上げられて、そこにうまいことバウテルや途中INの後藤が サポートできればチャンスの芽はあるわけです。
 これ、当然ながら攻めに守りにという中盤の運動量にオンブにダッコなのが キツいんですが、この日の村主は90分間よく走ってました。 さらに、コースがあけばシュートも2本打つなど、「前へ」のプレイを 始終続けてくれてました。まったく、今の札幌は中盤が面白いです。 で、バウテルも底の方からよく上がってボールをつないでくれてました。 終了間際に得たフリーキックもバウテルですからねえ。すっかりチームの柱です。 ただバウテルが上がったあとのカウンターが一番怖かった。真ん中にどうしても ポッカリ空くスペースを相手にくれてやるわけですからね。ここを誰が カバーするかがゲームをリメイクするための鍵でしょう。そこはポジション的に 古川ですが、彼は最終ラインの誘導に頭をフル回転させねばならないし・・・。

ただ、村主にしても、彼が突破した後に誰かがそばに寄ってあげるなどの 「次の手」がなかなか作れず、結局DFに囲まれてしまうので、 それこそ「村主やバウテルがもう一人欲しい」って気分ですね。 途中INの後藤はそういう役割を果たしていたと思うので 次回はスタメンで再度期待です。柏戦では村主やバウテルからの 「次の手」が見られるよう、攻めが手詰まりにならない札幌を観たいです。

ところで柏戦は自動的にウーゴは出られませんが、そうなると ペレイラでしょうか?肉離れ情報のその後ってどうなってるんでしょうねえ。 足の調子次第ですが、意外とペレイラが組み入れられた時点で札幌は突如 「完成」を迎えるのかもしれません。中盤はイケてるし、バルデスも 動きは決して悪くない。ディドも相変わらず頼りになります。 え、いや、これ暗に「ウーゴはこのままじゃ要らない」って 言ってるようなもんですが・・・。 ではでは、次の試合も、ひたすら前を向いていきましょう。

(以上記事:永井謙一郎さん)