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  • Subject: Re:「侮辱罪」について
  • From: 二上
  • Date: 1998年11月21日 00:09:23
  • Reply-to: Re: NIFTYにおける名誉毀損裁判について By ひなの

    : 匿名性が保たれており、本人が誰かわからない場合は「名誉毀損」が
    : 成り立たないとの解釈の様ですが、しかし「誹謗中傷」が認められれば、
    : 「侮辱罪」で争う事も可能でしょう。

    「侮辱罪」とは、微妙な概念をだしてきましたね。
    たしかに、「誹謗中傷」が認められれば、「侮辱罪」になるでしょう。

    一般に、「名誉毀損」と「侮辱罪」の法律的な違いは、「事実の摘示の有無」
    にあると考えられています。

    すなわち、“誰某は、何々をかつてしたことがある”、“誰某は
    こんなことをしている”などを、述べたとき、事実の摘示したと
    されるわけで、一方、侮辱罪は、公然と「ばかやろう」とか「税金どろぼう」
    などといった抽象的な事実をどなったりすることで成立します。

    このような程度の発言は、頭に血がのぼった人がうっかり言ってし
    まいそうなものですが、いちおう、侮辱罪に問われる可能性があるのです。
    しかしながら、刑法231条の「侮辱罪」が、刑法230条の「名誉毀損」
    と対になって、教えられるように、この二つの違いは、上記に述べた
    「事実の摘示の有無」だけなのではないでしょうか。
    すなわち、その他に達して適用される要件は、「名誉毀損」と同じと
    考え、やはり、「侮辱」されるべき対象が、明らかになっている時に
    成立するのだと考えます。

    この点に関しては、おそらく法律の解釈が分かれることなのでしょうけど、
    「侮辱罪」での判例がないので、なんともいえません。


    : 何よりそういう解釈ですと、匿名やハンドルの人になら「誹謗中傷」
    : 発言をしても大丈夫なんだ、と安易に思い込む人が出てきそうで怖い
    : のですが・・・。

    上記解釈は、法律上の解釈であり、これがすなわち、実社会での
    つきあいに、そのまま当てはまるとは考えていません。

    「侮辱罪」にしても、その程度のことは、普段の生活でも、
    かっとすれば、出てしまうこともあるものですが、
    その都度、「侮辱罪」だ!!と、もめているわけではありません。
    実際、「侮辱罪」で起訴されるのが、年に数件と聞きますから、
    お互いが、気がつかないうちに黙認しているというのが現状でしょう。
    それで、実際の生活に支障がなければ、それはそれでかまわないです。

    だから、
    :匿名やハンドルの人になら「誹謗中傷」発言をしても大丈夫なんだ、

    と言う点は、各自の常識的な判断にまかすしかありません。
    罪にならないから、「誹謗中傷」を繰り返すか、それとも
    常識的に考えて、そんなことはしないと決めるかは個人の考えです。
    というか、罪になる、ならないかは、判例がないので、わからないとい
    うしかありません。訴えられれば、なるかもしれないし、ならないかも
    しれません。

    NHKの受信料支払いと同じようなものです。はらわなくても
    それを罰するものがないから、払わないと決めるのと、
    やはり受信しているのだから、ちゃんと払うべきだと考えるのは、
    個人の良識や信念にまけせるしかありません。

    結局、このようなネット上のBBSは、お互いの良識と節度ある態度に
    よって守られていると言うか、それがあって、順調な運営が出きるのであって、
    悪い考えをする人はいない、という性善説にたって、運用されているわけで、
    法律がこうだから、どうこうというものではないと考えています。



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