J2寸評 第17節:傷だらけの大きな勝利

 今節の注目は、当然札幌浦和の一戦。とにかくこの日の浦和戦は、今シーズンのコンサドーレの出来と未来を占う重要な試合。消化試合数の関係でこの試合勝利しても順位の変動はないので、首位決戦というわけではなかったが、一位二位の対戦になったため、否が応でも盛り上がる試合となった。
 前売りチケットは完売。浦和のホーム駒場は2万人で満杯となった。スタジアムには、約500人のコンササポが決死隊としてのりこみ、数にして40倍の浦和サポーターと相たいした。
 試合はキックオフ直後から、事前の予想通り、浦和が攻め込み、札幌が守る展開。キックオフ直後の怒濤の攻めを何とかかわした札幌は、次第に攻勢に転じるが、浦和ペースはかわらず。仙台戦で練習したとおり、前半は確実に守って、後半勝負をねらう札幌のようだ。前半はこのまま終了。
 両チームイレブン、この試合のもつ意味を知ってか、後半に入って試合が荒れ始める。後半4分には両チーム入り乱れれての小競り合い。これでエメルソン選手に黄札。それでも、集中力の切れない札幌は、後半12分相手陣内左サイドで得たFKを、相手の陣形が整う前に早いリスタート。左サイドから中央に折り返したセンタリングにビジュ選手が飛び込み、コンサ先制。この日のビジュ選手、守備にもかなり貢献しており、キープレイヤーとなった。仙台戦に続いて二戦連発。コンサねらい通りの展開。
 この先制点で、浦和ベンチが激しく動く。後半17分、23分と立て続けに選手を交代し、手札三枚を全部投入した。そしてゲームは、更に動く。後半30分、ふたたび相手選手と小競り合いを起こしたエメルソン選手が、この日二枚目の黄札で、退場。コンサ残り15分で10人となってしまった。
 同点、逆転をねらう浦和がこのチャンスを見逃すわけもなく、圧倒的な攻勢にでる。コンサ陣内に釘付けとなったコンサドーレは、サンドバックのように打たれながらも、必死の防戦。虎の子の1点を10人で、守りきる作戦に完全に入った札幌は、FW播戸選手も自陣に戻りディフェンス。浦和の攻勢は、大分戦の時の比ではなく(この時も、エメルソン選手が退場してた!)、長く苦しい終盤の15分となった。
 そしてロスタイム3分が掲示されると、札幌ベンチは時間稼ぎか、FW黄川田選手を播戸選手の替えて投入。ながいないがいロスタイムの終了の笛が吹かれた瞬間、コンサドーレは、ぼろぼろになりながらも大きな大きな勝利をものにした。スコアこそ1-0の最少得点による勝利だが、当初のプラン通り、虎の子の1点を全員で守った1-0。大勝利といっていいだろう。

 順位の変動はなかったものの、今節の勝利はホントに大きい。コンサドーレは浦和との一戦目が流れているため、今季、これまで浦和とは対戦していない。札幌は試合数も少なく、負け数でも、当面のライバル達である大分大宮湘南らを引き離しているが、これは、全て浦和のおかげである。これらのチームは、浦和との対戦に全敗しており(大分1敗、大宮湘南2敗)、浦和がこれらのチームを全部負かしてくれているおかげで、札幌の順位が上がっているという面があった。札幌が他のチームと同様に浦和に負けたなら、消化試合数は増えども勝ち点が増えず、二位グループに吸収されてされている展開となる。そんなわけで、この試合引き分けでも勝ち点1が入るため御の字であったが(他チームは勝ち点1すら奪えていない)、90分勝ちで勝ち点3をゲット。この上もない結果となった。
 今季のコンサドーレは、半分くらいの試合で試合終了時にピッチに10人しか選手がいない(@_@) 退場の他に怪我というものも含まれているのだが、たたられているように10人になる。今季から12番がサポーターナンバーに割り当てられ、ホームアウェイかかわらず駆けつけてくれるサポーターがいるものの、12番の選手も含めてイレブンというのは、お粗末のような気がする。とはいえ、今のコンサドーレは毎試合毎試合一杯一杯で戦っているのも事実。先のことを考えるほど余裕はない。結局、選手を入れ替え立て替えやりくりしつつシーズンを戦うしかなく、おそらくシーズン終了するまで、サポーターの胃痛の元は消えないだろう。

 今節他会場の結果は、大分大宮がそれぞれ下位チームを下して順当勝ち。湘南は試合がなかった。好調仙台が新潟をくだして6位に浮上。じわりじわりと順位を上げてきている。
 さて、次節は、大分をホーム厚別に迎えての1戦。前回の対戦では、圧倒的に攻められながらもなんとか0-0で引き分けに持ち込んだ。早くも次の7月のホーム浦和戦のチケットのはけ具合のよさが耳に入ってくるが、それより大切な次節大分戦。現在首位を伺える位置にいるコンサだが、当面の敵は眼下にいる大分。なんとしても突き放す必要がある。今日の勝利を生かす意味でも、負けられない大切な試合となった。今節退場となったエメルソン選手は、大分戦には出場できない。この日の駒場の500人の決死隊の心意気に答えるためにも、満員のホーム厚別で大分を迎え撃ちたい。ピッチの選手が何人になろうとも(^^)、12番目の選手をコンサドーレは常に必要としている。