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  • Subject: 天才の苦悩
  • From: 中年MF
  • Date: 2000年1月30日 21:45:53

     日本の至宝、ローマの中田英寿が苦悩している。彼は今、プレースタイルの変更を余儀なくされている。考えてみれば、確かに、セリエAの中でもペルージャは格下。当然速攻型チームであり、自陣深くから中田にボールを集め、彼の類い稀なるキープ力とスピード溢れ強いドリブルの間に、少ない人数がスペースに飛び込み得点するパターンが出来ていた。しかし、ローマはまったく違う。スクデッドを狙うチーム。ベローナやピアチャンツァごときが相手であればなおさら、殆ど相手陣地深くでやるサッカーだ。全員の上がりも極めて速い。中田にドリブルしている暇などない。返って、ユベントス、ラツィオ、ミラン、インテル、パルマなどの力の拮抗するチームとの方が、中田はやりやすく感じるはずだろう。思うに、玉離れの早さと密集でのパスの正確性、それとボールを持っていない時ガンガン動き出す運動量が必要なのだと思う。それとボールをよこせと言うアピールも。こうして考えると当然の変化なのだが、こうなることを予想したものがどれほどいただろう?中田本人も予想できていただろうか?この世界最高レベルでのシーズン途中の移籍の難しさがしみじみ解った今日この頃だが、これについても何も今始まったことではなく、パウロ・ソウザのドルトムントからインテル移籍の例を思えば、気付いてもおかしくはない。
     ことはハイレベル故に深刻だが、案外私は心配していない。サムライは、何もなかったかのようにいつの間にかチームにマッチしてしまうことだろう。そして何食わぬ顔で「ああ、あの時はちょっと疲れましたね。」天才のした努力を知る人が何人いることだろうか?

     2002年、彼のパスを受ける青いジャージの背中の「YOSHIHARA」と「TAKAGI」を夢見ずにはいられない。



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