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  • Subject: フランス映画と天皇。
  • From: aki
  • Date: 1999年12月11日 03:08:30
  • Reply-to: Re: コンサを取り巻く環境について By ひみつ


     いいかげんこういうたわいのない意見にはもうカキコもしたくないんだけど、ちょっと自分の専門分野を、公金投入の材料にされているので我慢なりません。


    : 例えば、天皇は国民の税金で食ってる訳。
    : それは全然福祉じゃない訳。
    : それでも、日本の為に必要だと判断されてるから、あのような立派な所で、
    : でっかいうちに住んでいるの。ちなみに私は天皇制あってもなくてもいいんだけど。
    : それと同じだと思うんだよね。


     天皇家はですね、法律によって一般人とか他からの収入を得る事を禁じられてるんですよ。それって戦争前の神権天皇に戻るっていうGHQの配慮からね。でも、戦争終わってからも天皇の権威ってのは国民の生活の改善に必要だって考えられたんだよ。その頃の皇室ってのは明治になっての「士族の商法」じゃないけど、3室(高円宮、三笠宮、もう一つは忘れた。秋篠宮じゃないよ。)以外は皇室とは認知されなくなって、国からの財政援助もなくなっちゃったわけ。それで自分の土地を切り売りとかしてその場は食いつないだりしてたんだ。でも他に収入源がないから、今の堤のオヤジね、康次郎の方(字が間違ってるかもしれない)始め土地成金とかにいいように食いもんにされちゃったの。

     話が長くなっちゃったけど、収入も収入を得る努力をする事も禁じられている代わりに、彼らの持つ「皇室としての権威」に国民が金を払ってるわけ。あなたが必要と考えるかどうかは別問題。小田実さんみたいに完璧な左翼は「要らんわい。そんなもん。」って言ってるけどね。
     だからこれを福祉と一緒くた、またはコンサに対しての公金の導入といっしょにしないほうがいいね。そんなことしたら朝起きたらあなたの家の前に真っ黒いトラックがラウドスピーカーでがなり立てながら、突っ込んでくるよ(笑)。

    : コンサは北海道を象徴する、我々の誇るものであり、
    : かけがえのないものなんだ。


     それは純粋にあなたの考え。別に道民全体のコンセンサスではないよね。日本では欧州や南米の様にサッカ−は文化としては認知されてないけど、クラシックなんかは聴かない人も多いけど、まぁ文化じゃないって言う人はあんまりいないよね。文化っていう風に全体に認知されていくのはものすごく時間がかかるんだよ。その時間の短縮に税金を使おうってのはあまりに身勝手でしょ。誰かが、あなたでもいいよ、パトロンになって北海道にサッカー文化を広めるんならいいけど、「俺には文化だから、金出せ」ってのはとてもじゃないけどいい大人の言う事じゃないよね。日経に何かぬかしてたうちのクラブの社長と一緒。「戦力維持するにはこれだけの金が必要だ」って、収入ないのにむじん君から金下ろしてマツタケ食ってるのと一緒で、普通の感覚なら「お前何考えてんだ」って言われるよね。


    : プロだから駄目だという理由が分かりませんね。
    : 倒産しそうな企業に国や地方自治体が特別立法や財政支援をするのは、
    : おかしい事とは思えないし珍しくも無いのでは。
    : 倒産させる事での社会への影響を判断して、金を投入すべきだと判断されれば、
    : するべきです。経済的のみならず心理的影響も含めてね。


     何度も書くように、リーグの中ってのは自由市場なんだよね。資金力のない、遣り繰り上手ではないクラブは、リーグから淘汰されていくの。

     あなた達の理論、社長の理論でもあるけど、もし戦力維持の為に公金を入れる事を容認してしまったなら、(極論を言えばよ)手持ちの資金がない。でも一部に上がるならロナウドが必要だ。100億かかる。全道のチビッコが「観たい」って言ってる。じゃあ、北海道が出そう。こういうのって他のクラブからすれば納得いかないよね。自分らはアジウソンとかで我慢してるのにさ。不公平でしょ。下手したら他のクラブも真似しそうじゃん。

    : 北海道民に札幌市民が含まれるのでは?
    : それに札幌だけではなく、栗山でキャンプやったり、室蘭で試合やったり、
    : 札幌だけに留まってる話しではないと思いますが。


     まだ言ってんのかいな。

     あのね、ホームタウン以外で巡業するのは日本だけなの。これはプロ野球から来てる悪しき先例だね。クラブってのはまず、都市名を冠する都市の人達のものなんだよね。後はその地にアイデンティティを感じる(僕のような)人達のものね。
     別に他の地域の人が応援したっていいんだよ。でも、他の地域の人は(福岡の人がコンサを)なかなか利用しにくいでしょ。だからこういう発想が出るんだ。クラブってのはコンビニみたいに近くにあるものなんだよね(セルジオも講演で言ってました。)

     セルジオの講演は、もう書く積もりなかったんだけどこういう書きこみが来るから、後で機会があったら書きます。


    : コンサをもってして個人個人の趣味って言うのは暴論ですね。
    : 一万人のサポーターがあり、何億もの金を使う団体とその支援者達を、
    : 捕まえて個人個人の娯楽ですか。


     だって何万人もの「個人の娯楽」なんだもん(笑)。勘違いしないでね、バルサだって
    クラブ会員約12万人の娯楽なんだからね。それがいつしか文化と言われるようになっただけなんだよ。


    : 本州にいる人間の為にではなく、北海道に住んでいる人の為に、
    : 今回の税金の投入があるんだよね。


     上にも書いた通り、悪しき前例にならない事を祈ってます。もう書くのメンドくさい。

    :
    : 文化に金を出すというのは、現在では当たり前の事で、
    : フランスの映画についての国の力の入れ方とか、
    : 歌舞伎とか雅楽とかに対する日本政府の態度知ってるでしょ?
    : 全く独力では立ち行かないくて残しておくべきだと判断されたら、
    : 公共機関が関与するのは、珍しくとも何とも無いんだよね。
    : 分かりましたか?

     ここは僕の専門分野なんで、ちょっと書きこみます。はっきり言っておかんむりです。

     あのねぇ、フランスに限らず世界中の映画産業ってのは、ハリウッドの大量生産の娯楽映画に押されて、絶滅の危機にあるのね。これは本当に絶滅なの。日本なんかも絶滅しちゃってるよね。
     絶滅っていっても、量の絶滅ってのもあるけど、大事なのはその「精神の絶滅の危機」なんだ。
     知ってると思うけど「キネマトグラフ」っていう映画の大本を発明したのはフランス人だよね。イングランドがサッカーの母国っていうのと同じように、彼らは映画の母国であるのね。それに彼らは変にプライドが高いから、他国の文化に対して排他的な所があるの。
     排他的ではあるけど、彼らの映画はある時ゴッホの「ひまわり」とかルノアールの「ムーラン・ドラ・ギャレ」みたいな価値を持つ時があるのね。
     まぁゴダールとかジャン・ルノアールとか、彼らとか彼らの映画が、世界の常識を覆したりする事が歴史上にもあったりするんだよね。まぁ日本でいえば、黒澤とか小津、溝口みたいなの。
     それってなくなるのはまずいでしょ?全世界的にまずいよね。だから、自由市場の映画産業の中にあって「世界的な」文化の認知のもとに政府に保護されてるんだ。文化と共に「映画の母国」っていうプライドも保護してるのね。

     日本の雅楽もそう。今じゃ聴く人は少ないけど、あれって平安時代から(でいいよな)脈々と受け継がれてきたものなのね。誰も聴かないからって無くしていいものとか違うでしょ。歌舞伎だって次の世代はもう誰も観ないかもしれないけど、無くなっていいものとは違うよね?そういう事です。もう少し勉強してくださいね。

     悪いんだけどさぁ、大して勉強もしてないくせにそういう短絡的な結論に導かないでよ。コンサとフランス映画を一緒くたにする議論って、ちょっと恥ずかしいよ。もう100年の間、全世界でみんなの娯楽として認知されて、地球人の喜怒哀楽と共に呼吸してきた
    映画と、産まれて4年の、まだ馬の骨とも分からんものとを一緒に語らないでくれる?重みが違うんだよ重みが。

     大体ねぇ、フランスの映画だって全てを税金に頼ってるわけじゃないんだよ。製作するにはこれだけかかるけどスポンサーが集まらない。国が脚本とかをチェックしたり、監督の実績なんかを鑑みて、じゃあスポンサーになりましょう、ってなもんだからね。税金丸抱えのコンサとは「全然」違うの!!
     黒澤の「乱」だって日本の東宝だって国だって金出してくれないから、フランス政府がその窮状を憂いて援助を申し出てくれたの。あの映画ってフランス人の金使ってんのよ、そういう事知ってるの?フランス人が遥かかなたの「ジャポネ」の映画を正当に評価してるの。
     自国の文化を正当に判断できない国民って悲しいね。


     後は河内さん、お願いします。河内さんが書いてる事は、大体僕が書きたい事と一緒なので省きます。もう一度読まれるのも面倒でしょうからね。


     いいなぁ、河内さん。かっこいい。友達になりたいよ(笑)。


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