四度目の正直

コンサドーレ札幌にとって、4年ぶり4度目の1部リーグでのシーズンが開幕した。

コンサドーレ16年のシーズンのうち、1部リーグにいたのは今季も入れて5シーズン。2部リーグにいた期間の方が圧倒的に長い。

これまでの4回の昇格とも、昇格を決めた年とその翌年の1部リーグのシーズンは同じ監督が努めている。そのうち、残留に成功したのは、岡田監督の1回だけ。岡田監督は3年契約の最終年をもって退任となった。その翌年、新人監督を迎えて陥落。

お金がないコンサドーレは、J1に昇格したからといって、J1の平均なみの選手強化費にふやすことができない。その点、昨シーズンの選手をほとんど残留させたのは良い選択だったと思う。

J2ができて10年もたち、以前ほどJ1とJ2に差はないように思う。シーズン終盤では、J1の下位クラブとJ2の上位クラブでは実力は重なっていると思う。それでも実際には昇格組はよく1年で陥落する。このようなことが起きる原因の一つにチーム作りの失敗があげられる。いくつかのクラブでは、J1に昇格したので、J2で一度組み上げたチームを解体して、J1用に作り直そうとする。たいていの場合、作り直したチームの方が、準備期間が少ないので“チーム力”が弱い。強くなっている場合は、チーム力ではなく“選手力”が高いため強くなっていることが多い。ただしこの場合、選手補強に多額のお金がいる。お金があるクラブの場合は、お金をかけて圧倒的な選手力をもつ選手を補強をしてチーム作りするのも選択肢の一つとしてありうるのは事実ではある(昔のコンサドーレは、お金がないのに、このようなチーム作りを目指した(ので、いまその負債に苦しむことになっている))。

チームを解体して基礎選手力がわずかでも高い選手達でチームを作り直した場合、時間が経てばチーム力がこなれてくるので、J2時代より強くなる可能性を持ってはいるかも知れないが、それは他のJ1クラブも同じ。監督を交代させたり、選手を大幅に入れ替えたクラブは、シーズンはじめはうまく機能していないことが多いが、その後強いチームに変貌することがある。シーズン通して強化できるクラブと違って、J1に昇格して潜在的な体力に欠けるクラブの場合、シーズン当初にチーム作りに失敗している先輩クラブが必ずあるので、そういった所から勝ち星を重ねておく必要がある。そうでなくとも、引き出しの少ない昇格組はシーズンがすすむにつれて弱点がばれてしまい、体力のあるクラブには対応策を練られお手上げになってしまう。こうなってしまうと選手補強にお金が使えないクラブは打つ手無し。勝ち星を重ねることは難しくなる。

お金がない昇格クラブの場合、J2で一度組み立てたチームは解体せず維持し、これによりチーム力を維持したままシーズンに突入し、先ほどのチーム作りに失敗した先輩クラブから勝ち星を重ね、シーズン頭にまずチームとしての自信を重ねる。残念ながら、試合数が進むと、選手力の差が明らかになりだんだんJ1で通用しない選手がでてくるから、入れ替えていく。肝要なのは、チーム力を維持したまま選手力を上げていくことと、お金のつぎ込み所を間違えないこと。これを3シーズン繰り返し、選手のレベルをJ1クラスにビルドアップするくらいの時間は定着するためには必要だと思う。

さて、開幕戦はドームで引き分け、11年ぶりのJ1での開幕戦での勝ち点獲得。これって、残留に成功した岡田監督の時、開幕戦でC大阪に勝ったとき以来。これは吉兆だろうか、それとも勝てなかったので凶兆なのだろうか。今季の石崎監督の命運は?

あのときは、山瀬功治や今野泰幸といったルーキーながらきら星のような才能を持った選手が現れた。今回もそんな期待をさせてくれる選手がいる。

四度目の一部リーグの結末はいかに?

いずれにしても、ワクワクドキドキよりハラハラドキドキが続くシーズンになることは間違いない。