[第5節]in札幌ドーム:浦和レッズ戦

文・写真/ワナダン本舗・中村智嗣

未だにセカンドステージ勝ち星なしで連敗中のコンサドーレ。目下の敵・神戸にも破れて勝ち点差が更に広がってしまった。「崖っぷち」から少し落ちた所にいる感じがする(まだ崖の途中にいる)。いまさら言うまでも無いが「勝つしかない!」のだ。勝利こそ「残留」への道なのだから。そんな中で迎える事になってしまったのが最凶球団・浦和レッズ。強力FWの一角(トゥット)を欠きつつもエメルソン・永井の2TOPは「要警戒」だ。(そういえば去年の駒場での試合で永井にやられ、今年の国立ではエメルソンに・・・)

今日のスタメンは次の通り・・・・
<札幌>
GK:佐藤
DF:佐藤(尽)・ビジュ・大森
MF:酒井・今野・森下・和波
FW:堀井・ジャディウソン・小倉
*SUB*
GK:藤ヶ谷 DF:曽田 MF:西田 FW:森山・バーヤック

<浦和>
GK:山岸
DF:井原・坪井・室井
MF:山田・内舘・鈴木・平川・福田
FW:永井・エメルソン
*SUB*
GK:西部 MF:路木・石井 FW:田中・千島

14:04キックオフ。浦和サポーターの「WE ARE REDS!」コールがまるで怒号のように聞こえ、ものすごいプレッシャーを感じる。近くで見ていても全体的にまとまっている印象を受ける。

前半15分間は両チームともサイドからの展開を主眼においているようだが札幌は引きすぎて攻撃に人数を掛けられずに、浦和は札幌の守備人数の多さに攻め入る隙を見出せずに得点する事が出来ない。

いつもの事だが明らかに札幌は守備に人数を掛けすぎている。6~7人がほぼフラットに並んで懸命に守っているがこのままでは後半戦に入ってから疲れから来る動きの悪さを見抜かれて一気呵成に攻められた時に致命傷を負う危険性がある。それを克服するためには「休める時間帯」を作り事が大切になってくる。その時間帯とは「攻めの時間」である。昔から「攻撃は最大防御」と言うではないか。攻め込んでいれば相手は守備に時間と人数をかける事になりように札幌陣内に攻め込む回数も少なくなるのは自明の理であろう。その為には中盤でのボールの支配率向上が課題の一つとして挙がっている。ボランチ・両ウィンガーまでもが下がって守備をしなくてはいけない今の状況はまずい。その後も小倉・堀井・酒井・和波などが再三絡んで攻撃を仕掛けるが「あと一歩」及ばない。明らかに攻撃の人数が足りない。

29分には今野が通算3枚目のイエローカードをもらい、次節・磐田戦に出場できなくなった。今野・藤ヶ谷・山瀬が今後、年代代表に招集されて欠場を余儀なくされる事態が今後増えるだろう。その時にチーム全体の戦力低下を最小限に抑えなくてはいけないのだが、サテライトに参戦していない札幌には後進の育成と言う点では問題があると言えるのだがフロントはどのように考えているのだろうか?

浦和の再三の空中戦も人数に任せた札幌の守備の前にゴールを取る事が出来ない。今の所、守備陣はよく頑張っていると思う。和波・酒井の両WBもまずまずの守備だ。

前半は0-0で行けるかな?と思い始めていた42分、試合は動いた。札幌の右サイドからの攻撃をしのいだ直後、最終ラインから左サイドを直線的にパスを出しDF佐藤尽のクリアミスのボールを永井が受けて駆け上がり、最後はエメルソンが軽く当てて方向を変えて流し込んで無人の札幌ゴールに流し込んだ。0-1浦和に先制点を与えてしまった。

その直後チャンスがめぐってきた。縦のロングボールに小倉が合わせて右の空きスペースに落とす。そのこぼれ玉を今野が走りこんでワントラップしてループ気味にシュートするが大きく外れてしまう。今野も残念そうに顔を両手で覆いながらピッチに横たわる。その後も「同点にして終わりたい」と言う気持ちがプレーに出るようになり積極的に仕掛けるが、「1-0でOK」と言う浦和の堅い守備に阻まれてそのまま前半を終える。

だが前半を見ると精神的な部分では負けていないし失点の部分を除けば概ね良い形も、何度か作れていたので如何に高い位置でボールを奪い(キープ)攻撃基点を作っていくのか。これが後半に向けての課題のように思う。

前半のデータによるとシュートは札幌5本・浦和6本とほぼ互角。FK・CKもお互い3本ずつと同じ本数を打っている。にもかかわらず得点は0-1と1点のビハインド。

後半、コンサドーレのキックオフで試合開始。開始早々、ボールの奪い合いからFKをとりセンタリングを入れるものの走りこんだビジュがオフサイドを取られる。しかし良い形が一つできた。ビジュの上がりと飛び上がりのタイミングがいい感じだ。彼の動きからすると少し待ったほうが良いような気もする。

3分には小倉から和波にダイレクトでパスが出てそのまま突進を図るが手厚い浦和の守備の前に ボールを奪われてしまう。(*_*)。本当に浦和は連携の取れたいい守備を見せる。去年はあれくらいの守備能力はあったはずなのに。小倉も最終ラインまで下がって守備をしている。

しかしそんな淡い期待も一瞬にして壊されてしまった。早く同点に追いつきたい焦りからか前がかりになった所でボールを奪われ、福田-永井と右サイドを突破されてセンタリング。PKスポット付近の空きスペースの流れたボールをフリーで走りこんできた鈴木にゴール左角に決められ痛恨の追加点を許してしまった。エメルソンに注意を取られてボールウオッチャーになってしまい前線からのプレス も不十分であった。

0-2となりますます攻撃的にならなくては行けなくなったコンサドーレだが詰め が甘く中々得点する事ができない。

後半14分に和波に変えてバーヤック、大森に変えて曽田を投入した。この交代でコンサドーレは曽田・バーヤック・堀井の3TOPでトップ下に小倉を下げて森下の1ボランチにして左サイドにジャディウソン・右サイドは酒井のままで今野を大森の位置に下げる布陣となった。交代早々にバーヤック・曽田のラインでの攻撃があったが惜しくも逸れてしまう。曽田本人インタビューでいわく、ヘディングが一番得意だそうだが初ゴールは確か左足では?

攻撃陣が4~5人でフラットになって攻めあがるコンサドーレ。反撃ののろしを上げたのは27分だった。右サイドからのロングボールに対してDF坪井が頭で合わせきれず、流れてきた所を堀井が頭で押し込んでDFとGKの間のわずかなスペースを突いてJ1通算2点目のゴールを挙げる!

1-2だ。後15分あれば1点は取れる。そんな気持ちで頑張って欲しい。

この時間になると浦和の堅い守備が生きてくる。無理に攻めようとはしないで慎重にボールをまわしてくるし、最終ラインに6人も並べて懸命に守る。コンサドーレも攻めようとはするものの全体的な動きに遅れが生じていたり、ボールを送ってもクリアされてしまいセカンドボールを取る事が出来ない。 札幌の攻撃が単発になるものこれが要因なのだ。張監督も「曽田を狙え!」と指示を送るがその曽田が回りをよく確認しないでただ落としているのと周りのフォローが無いのでそこまでの攻撃に終わってしまう。前述した「全体的な動き」とはそういうことなのだ。

攻撃陣の疲れを察知した張監督は3枚目のカードを切ってきた。残り5分と言うところでジャディウソンに変えて森山を投入して必死に「あと1点」を取りに行く。聞くところによると本人の体調はあまり良いとは言えず「時間限定」での起用との事だ。これは攻撃時のターゲットが増える事を狙ったものだろう。

42分にはCKから今野-堀井と頭でつないだものの惜しくもゴールマウスを捉えることが出来ない。その後も懸命に縦パスを主体とした攻撃を仕掛けるものの追いつく事が出来ないままタイムアップ!1-2でまたしても負けてしまった。

試合前は「J2札幌!」とコールしていたレッズサポーター(一部)、今度は「グッバイ札幌!」と執拗に何回もコールしていた。ゴール裏においでの皆さんにも聞こえただろうか?少しは反応して欲しかった気もするがあえて反応しなかったのかな?まあ、彼らならやるだろうと言うのが大方の見方ではあったのだが・・・

段々崖から落ちていっている感があるコンサドーレだが選手は現時点で最大限に努力し90分を戦い抜いたと思いたい。いくら良い試合をしてもプロの世界は「勝たなければ意味が無い」のだ。選手の皆さんはこのまま成績が悪いと来季の契約が消滅するかもしれない、「人生の崖っぷち」に追い込まれかねないことは十分にわかっていると思う。

だからこそ残り試合を「1戦必勝」の気持ちで「一つ一つのプレーを丁寧に」戦って欲しい。

頑張れ!コンサドーレ札幌!


今日の必勝弁当のおかずはさいたま市にうなぎ屋が多いという事でうなぎが入っていました 何かと有名な浦和サポーターの皆さんです。一糸乱れぬ見事な声援でした。
先制された直後のカウンターも得点ならず 堀井の頭で追撃体制になりつつも・・・
終わってみれば1-2で「惜敗」