[第14節]in札幌厚別:ガンバ大阪戦

文・写真/ワナダン本舗・中村智嗣

勝ちから見放され続けて132日目の今日、8月10日。ここまで悪夢の8連敗。本当に今日勝っておかないと「降格圏」からの脱出はだんだん難しくなってくる。今日の対戦相手はリーグ3位のガンバ大阪。去年はホーム(函館)で1-0で勝ちアウェイで9人で0-0で1勝1分の相性のいい相手だ。しかも会場は勝率7割を越えるHOME中のHOME、聖地・厚別競技場。しかしガンバもステージ優勝の可能性が残っているのでモチベーションの高さは維持されておりマグロン(13得点)吉原(6得点)の2TOPも好調を維持しており苦戦は必死だった。
しかもこの試合GK佐藤・MFシャディウソン・MF今野が欠場と苦しい台所事情。イバンチェビッチ監督はこのようなオーダーを組んできた。

<札幌>
GK:藤ヶ谷
DF:佐藤(尽)・古川・大森
MF:西田・ビジュ・森下・和波・山瀬
FW:バーヤック・小倉

<G大阪>
GK:松代
DF:山口・宮本・木場
MF:新井場・森岡・遠藤・松下・二川
FW:吉原・マグロン

個人的には審判との相性を気にする部分があるのだが、今日の主審は「岡田正義」主審。ちなみに去年の成績は2敗1分と非常に心配なデータが残っている(磐田・市原・浦和戦担当)。しかし、そんなジンクスを気にしている余裕は我々には無い。相手がどこであろうと勝つしかないのだ!

自席から見ているとゴール裏の声援も今までものとはまったく違う力強さを感じれる声だった。「負けることを恐れず勝利のみを信じて力の限り応援するぞ!」と言う峻烈な意思のように見えた。

勝利への扉は早々に見えてきた。前半10分山瀬のフェイントにMF二川がたまらず足を掛けて、岡田主審はこれにPKの判定。清水戦でシミレーションを取られ痛恨の退場処分に甘んじただけに個人的には山瀬に蹴られたかったが監督はキッカーにバーヤックを指名。バーヤックはこの貴重なチャンスを逃す事なく左上隅に確実に蹴りこんで先制弾を見舞う。その瞬間スタンド全体が持ち上がったかのような絶叫と歓声の坩堝と化した。

しかしこのまますんなり行かないのが今の札幌の不調を物語っている。この試合も中盤での守備意識が薄く相手選手へのプレッシャーの掛け方がまったく甘い。ガンバの選手が自由に中盤を走り回り札幌のMF陣は下がりまくり2列目と3列目(最終ライン)の間隔が以上に狭い。6バック・7バックかと思う位だった。
その不安はすぐに露出する。前半20分にマグロンのパスを受けた遠藤が札幌守備陣の空いたスペースを突くようにグラウンダーのシュートを放つ。(ボールへの寄せが甘い)しかし、GK藤ヶ谷のファインセーブに助けられる。前半終了間際には山瀬がリフティングと回転でDFを交わしつつシュートを打つが惜しくも止められる。

1-0で折り返した後半、G大阪はステージ優勝に向けて勝負を掛けてくる。MF・松下を下げてFW・松波を入れ3TOPにして逆転を狙ってくる。G大阪の猛攻に必死の守備で対応するコンサドーレ。後半5分にはDF古川先生が鉄壁の守備を披露して両足で2発のシュートを止めた。まず右足を伸ばして1回目のクリアー(松波のシュート)、すぐさまGK藤ヶ谷の股間を抜くシュートを今度は左足で2回目のクリアー(新井場のシュート)。まさにナイスディフェンス!よく出来ました!

後半18分には縦パスにバーヤックが反応して突進。これを元祖・バットマン宮本が体当たりで止めて1枚目のイエローカード。まあ、あのくらいで出さなくてもいいかな?とも思ったがこれでおとなしくなると良いのだが・・・。
なんて言っている間もなく小倉の出したパスのフォローに行った佐藤の足をすくい取りこれがファールとなり合わせて「退場」処分で宮本は厚別のピッチを去っていった。

今日は正に古川先生の奮闘が光った試合だった。圧巻は後半30分の守備。元・札幌の吉原との競り合いで頭で押し合いまずは吉原とぶつかり、クリアしたのち今度はゴールポストと激突。同時に腰もしたたか打ったようだった。しばらく起き上がれずサポーターも心配そうに見つめつつも「古川コール」で奮起を促す。トレーナーが「○」の合図を両手で示すとスタンドから一斉に拍手と歓声が巻き起こった。

そしていよいよ後半もロスタイムへ突入。時間は4分!この「悪魔の時間」に札幌はやられてきた。多くのサポーターが「このまま終わって欲しい」と願う中、ついに歓喜の瞬間はやってきた。岡田主審が試合終了の笛を吹いた瞬間に地鳴りのような歓声に厚別は包まれた。監督は天を仰いで両手を広げて神に感謝の祈りをささげ、選手はまるで優勝したかのように喜びを熱き抱擁で表した。
そしてサポーターも長い連敗を抜けた喜びで歓声をあげる者・涙を流す者と喜びを表す表情は人それぞれだ。我々はこの時この瞬間をずっと待っていたのだ!。しかし「これから再スタートだ!」と言う気持ちには大差は無いだろう。その気持ちは厚別に響く力強いコール・歓声・そしてサポーターの表情に込められていた。

今日の試合を勝ち連敗を止めたが順位は依然として最下位のままだ。しかし、これで悪い流れを断ち切れたと思う。次の試合を勝っても3勝12敗とJ1残留の「黄信号」は灯ったままだがここから残留へ向けての「札幌の逆襲」は始まったばかりだ!


必勝弁当(今日の名物おかずはイカの下足揚げです) サポーターオリジナル守護札
前半10分、バーヤックのPKで先制! 後半30分、古川先生捨て身のディフェンス
132日ぶりの勝利に沸く歓喜のゴール裏