[第10節]in室蘭:ヴェルディ川崎戦

『二上英樹の観戦記』

雨だ。ものすごい雨だ。週間天気予報では、この日は雨の予報、しかもかなり降るとのこと。前回の室蘭での平塚戦でも雨の予想だったが、なんとかもってくれたので、それを期待したのだが、朝起きてみると雨。それもずごい雨だ。それでももしかしたら室蘭に着くころには、やんでくれているかもと淡い期待を抱きながら室蘭へ向かった(もちろん、完全雨天観戦用の準備だけはバッチしして)。
室蘭に着いても相変わらず。雨はやんでくれない。覚悟を決めて雨用のウエアに身をかため、観戦することにした。それにしてもよく降る。この日は、ゴールデンウィークの真っ最中。ホントなら、スタジアムも満員に近い観客で満たされるはずだったのだろうが、雨のせいもあって、6000人あまり。平塚戦に比べると、スタンドに空席が目立つ。

札幌の先発は以下の通り。前節磐田に完敗したコンサドーレは、3-5-2のフォーメーションから、4-4-2へ変更。果たして功を奏すのか。DFは、真ん中をペレイラ、梶野、両サイドを村田、村主が固めます。前節途中出場した村田がそのまま左に定着。
中盤はマラドーナ、古川、時岡、後藤の四人。古川、時岡の二人がボランチにはいるダブルボランチシステム。時岡は初先発。ゲームメイクはもちろんマラドーナ。
オフェンス陣は、バルデス、吉原のツートップ。控えは、加藤、田渕、木山、鳥居塚、深川の五人。怪我の田渕が復帰。控えに登録されています。

  • FW:吉原、バルデス
  • MF:マラドーナ、古川、時岡、後藤
  • DF:村田、ペレイラ、梶野、村主
  • GK:ディド

対するはヴェルディ。今期絶好調のヴェルディは連勝街道爆進中。カズ、高木、北沢、菊地、ラモス、柱谷、中村など代表や経験者がずらり。前園は出場停止中。
さて、試合開始。何と雨がやんだ。と思ったらわずか数分だけだった。試合途中には、みぞれも降ってくれて、さすが北海道の試合といったところか。前半は、意外にもコンサドーレのペース。川崎ゴール前に良い形で攻め込む。試合開始しばらくはお互いに様子見のジャブの打ち合い。前半10分、ペナルティエリア外から古川がミドルシュート。GK菊地の前でバウンドしたボールを菊地がファンブルして後ろにそらすも、ポストにはじきかえされてしまう。雨の日には効果的な惜しいシュートだった。
前半20分、マラドーナが右からセンタリング。そこにドンピシャのタイミングでバルデスが走り込み、右足でシュート。GK菊地がはじいた球が、再びバルデスの前へ。これをヘディングシュートするが左に外れる。惜しいシーンにスタジアムがどよめく。
前半25分には、先ほどの古川と同じ辺りから、今度は時岡がシュート。GK菊地の前で弾んだボールを、菊地キャッチできず、前へこぼしてしまうが詰めるコンサドーレの選手なし。
さらに前半30分、吉原が見事なドリブルで、川崎DFをかわして右サイドに切れ込む。ライン際まで持ち込んで、そこから見事なセンタリングを中へ(勢いを完全殺したふわっとしたボール)。DFの頭でクリアも小さく、これがバルデスに。バルデスこれをオーバーヘッドシュート。スタジアムが再びどよめくも、残念ながら左へきれてしまう。
前半終了間際、コンサ川崎ゴールへ分厚い攻撃を仕掛ける。ゴール前に何回も持ち込むが、川崎DF陣のねちっこい守備にあって、決められず。前半は、惜しいチャンスがたびたびあり、どちらかと言えば、コンサペース。でも、先制点は奪えず、ハーフタイムへ入った。

後半開始早々、ラモスにやられる。キックオフ直後、コンサ右サイドにこぼれたボールを村主とラモスが奪いあう。これを奪ったラモス、ゴール前の高木にきれいなパスを通す。高木ゴール正面からきっちり決める。立ち上がり50秒の失点だった。
続いて、後半5分。CKからゴール前に上がったボールをクリア。これを拾った北沢がペナルティエリア外からミドルシュート。これが、ゴール左隅に見事に決まってしまう。0-2。この失点は痛かった。この後のコンサドーレは、ガタガタ。
さらに、後半15分。ラモスから見事なスルーパスがエウレルにでる。マークについたペレイラ、見事に置いてけぼり。エウレル、ディドの股間を抜くシュートで、川崎三点目。これで、コンサ完全に切れた。システムやフォーメーションがばらばらになり、個人プレーが目立つ。ボールをもつとパスせずドリブルする、あるいは、フォローが全然なくなって選手が孤立する。ボールをもってからパスする先を探しているからスピーディな展開ができず。見てて目を覆いたくなるような、試合展開。それでも、ピンチになると、声がいちだんと大きくなるコンサドーレの応援が、いちだんと大きくスタジアムに響く。これに答えてくれ、コンサドーレの選手達!!
コンサベンチはここで動く。後半20分、後藤と村主を下げて、鳥居塚と田渕を投入。鳥居塚の投入は攻撃的に。田渕の投入は、出来の今一だった村主に代えて、と行ったところか。村主、もともと二列目の選手なだけに、4バックスのシステムでのサイドバックでは、少し負担が大きかったか。前半の途中から、フェルナンデス監督にたびたび指示を受けていたし、後半開始早々の失点でラモスに競り負けた辺りから、自信をなくしてしまったか、なんか動きがぎくしゃくしてきていた。田渕は怪我がなおっての復帰出場。さらに交代が続く。後半25分。センターサークル付近で倒れたマラドーナが、ベンチへ交代を要求。足がだめみたい。代わって深川を投入。でも、事態は好転しない。
それでも、後半40分に、一矢報いる。右からのCK、こぼれたところを、梶野があわせてシュート。ゴール左隅に決まる。これで、1-3となるも、ペースが代わるに至らず。後半はずたずたのまま、試合終了。前半検討するも、後半は完敗の今日の試合でした。川崎に後半いいようにやられて、降り続く雨が、コンササポーターの涙のようだった。

今日の試合、見てて、川崎には思ったほど迫力はなく、そんなに強いとは思わなかった。でも、やられた。川崎の熟練した試合運びにしてやられたといったところか。後半15分間だけ、川崎が本気を出したという試合だったように感じる。カズがボールをもっても、そんなに迫力は感じなかったし、ゴール前に上がった高木のポストプレーも怖くはなかった(すなわち、コンサ選手達はちゃんと押さえていたということ)。ラモスも前半は押さえていた。そんなに運動量はなかったし、ラモスも年かと思っていたんだが、やはりラモスはラモスだった。後半、一瞬フリーになると、見事なスルーパス。まさにやられた、といった感じだった。あの、15分間の後は、もうすでにラモスに動く元気はなし、後半途中でベンチに下がってしまった。
でも、試合を決めたのは、二点目の北沢のゴールだったように思う。これで、コンサドーレの選手が完全に舞い上がってしまった。一点目と三点目は決める人が決めるべき形で決めたゴールだったが、二点目の北沢のシュートは、予想外のシュートが悪い時間帯に決まってしまった。失点は、誰に喫しても失点で、痛いものだが、要注意の選手に決められた場合は、対処方法はまだある。試合前にミーティングをチームとしてしているだろうから、言われたことをさらにきっちりやるようにすればいい。ところが、予想外の失点の場合はそうはいかない。北沢の場合、あの位置からのシュートは、いつもはふかしているのに、この日は、きれいに決まった。これは、コンサドーレの選手を舞い上がらすのに十分だった。後半開始早々の失点は、コンサを浮き足だたせた。それでも、何とかこらえていたが、北沢のシュートがとどめを刺した。コンサドーレの選手は動き方がわからなくなったのか、動きばらばらになり、あとはどうしようもない試合展開が続くだけだった。半分、名前負けしていたようなところも感じられた。
以前のような、怖いくらいの攻撃力が影を潜めた川崎だったが、今年の好調は守備陣にあるようだ。ねちっこい守備できっちり守ってくる、今日のGK菊地には、コンサドーレのシュートをことごとく跳ね返されてしまったし、柱谷を中心とするDFラインを最後まで崩せなかった(崩せてはいたんだけど、点は入れられなかった)。しぶとい守備、そんな感じの川崎DF陣だった。こういう守備がコンサもできれば、かなり勝ち星が増やせるんだけどな、と思いつつ、スタジアムを後にした。

(以上記事:二上英樹)