[第10節]in札幌ドーム:ジェフ市原戦

文・写真/ワナダン本舗・中村智嗣

セカンドステージ開幕戦で勝てる試合を勝ちきれなかった事が尾を引いているのか、その後勝てる試合をことごとく落として黒星街道を突き進みこの試合に負けると残り5試合を残して史上最短での降格が決まってしまうコンサドーレ。

総合14位の神戸がこの時点で勝ち点が23、札幌の勝ち点はわずかに7。残り5試合全て勝っても勝ち点は22点で神戸を抜く事が出来ない。まさに「がけっぷち」の一戦となってしまった。今日の対戦相手はジェフ市原。前回の対戦ではチェ・ヨンス一人にやられてしまった。今日のポイントは相手のアウトサイドをいかにして抑えるかと言うところだろう。

今日の先発は以下の通り

<札幌>
GK:佐藤(洋)
DF:大森・古川・佐藤(尽)
MF:和波・吉川・森下・ビジュ・西田
FW:小倉・新居
<市原>
GK:櫛野
DF:斉藤・中西・吉田
MF:村井・武藤・羽生・阿部・坂本
FW:大柴・チェ

市原のキックオフで試合開始。するといきなり市原が右サイドからの攻撃を仕掛けてきた。しかしそこは左サイドの和波がすばやくケアしてボールを奪い速攻を仕掛けるが精度不足でいつものように不発に終わる。どうも仕掛けるタイミングが前線の選手と合わないのだ。それに枚数も足りない。やはり中盤で「溜め」を作れる選手が欲しいものだ。チャン監督は守備のバランスをしきりに気にしているらしく「バランス!」と何度も声を出している。要するに「下がり過ぎないように」と言うことだろう。その間にもサイドを突破されてしまい再三ピンチを迎えてしまう。DFは中央よりなのでサイド勝負に負けると非常に危険になる。

14分に吉川から右サイドへ流れたボールを森下が取りに行ったがジェフの吉田と接触して、前のプレーと合わせてまず吉田にイエロー、続いて森下にも出された。森下はこれで累積3枚となり次節(鹿島)の試合は出る事が出来なくなってしまった。

ジェフのサイド攻撃に対しては危ないシーン(サイドを抜かれる)があったものの ほぼ良い感じだ。

セットプレー時の守備だがクリアーボールがことごとく取られており、それが波状 攻撃につながり動きに翻弄されて疲れた所で失点と言うパターンが続いている。ボールの落下地点を読んですばやく動かなければいけないのだがまだまだ読みが甘いらしい。市原は執拗に左サイドからの攻撃を仕掛けてくる。左利きの選手がいる為だろうか? 最初の15分は市原に押し込まれていたように見える。

ジェフの攻撃を何とかしのぎつつチャンスを待つコンサドーレ。中盤でもボールキープとラインの引き上げが上手く連動していかないのが去年との違いの一つである。そんな中で迎えた前半30分、森下から新居がGKと空中で競ってこぼれた所を押し込もうとすぐが跳ね返されてこぼれた所を右足で軽くボレー気味に打ち込んでGOAL!!! \(^0^)/

絶対に勝たねばならないこの試合で幸先の良い先制点となった。最低限、このまま1-0で、出来れば追加点を上げて2-0になればうれしいのだが・・・

そんな願いを抱きつつ迎えた35分、大森からのパスを小倉がダイレクトで折り返し左サイドの和波へ。和波はそのまま突進してシュートを放つが惜しくもゴールマウスのすぐ右を無情にも通過して行った。小倉のノールックパスはこのようにたまに良いパスになる事があるが、大体は周りが付いていけず失敗に終わっている事の方が多いような感じがする。

今日の大森は2年前を髣髴させるような積極的なオーバーラップを見せている。攻める気持ちがあるのはいいのだが本来攻めるべき選手である和波が動くスペースを奪われてしまうという弊害もあるので程ほどにして欲しいものだ。途中で相手に取られると中盤の守備が弱いコンサドーレにとってはカウンターで失点と言う悪い形ができかねない。もっと前後からプレッシャーを掛けて攻めさせない ことも重要であろう。

チャン監督は90分間、集中して動く事を選手に求めている。ロスタイムに入ったところで前半最大のピンチがあった。チェが右サイドに展開してそこへ羽生が飛び込んでくるがビジュが上手く体を寄せ 何とかクリアして前半を予定通り1-0で折り返した。

後半に入りいきなりピンチを迎える。右サイドからのセンタリングがゴール前にいる阿部の頭に当たるが運良くポストに当たり何とかクリア。和波と吉川がDFの譲り合いをしてしまい相手選手のケアが遅れた為にセンタリングをあげられたのだ。

ハーフタイムでチャン監督は「修正点はない、このまま攻め続けろ」と言えば、ベングロニシュ監督は「全くファイトしていない、不十分だ!」と不満をあらわにした。

10分になぜか(?)先制点を挙げた新居に変えて曽田を投入するがサポーターからは何故変えるのか理解できず(彼の今までの働きからして)ブーイングの中での交代となった。攻める気持ちが希薄で足元のプレーもおぼつかない選手なので「高さ対策」での起用だろう。

15分になってDF陣のバランスの悪いところを突かれ縦パスが途中出場の林に通るがGK佐藤(洋)が上がるか下がるか難しい場面だったが落ち着いてシュートをキャッチした。その後もジェフの再三に渡る攻撃にコンサドーレ選手の足も止まり気味のようだ。前半から走らされていた影響なのだろう。

今日の入場者は14295人と発表された。平日のナイターでこれだけのサポーターが駆けつけるのだからコンサドーレの選手は幸せだと思ってもらいたいものだと思う。ジェフだと週末でもこれくらいしか来ないだろうから。

25分を過ぎて段々「魔の時間帯」に進んでいくのだが、曽田はボールに向かっていくもののキープをする事が出来ずに容易に取られてしまっている。ラインも下がりだし、足も止まっているようだ。ここはボールをキープして回していくしかないのだが・・・ 2列目(MF)と3列目(DF)の間が狭くなりFWがやや孤立気味となっている。

34分に小倉に変わって堀井が入り、裏のスペースにボールを放り込む攻撃を試行 するがここはボールキープがいいような気もする。しかし、堀井を入れてかき回す事で相手の上がりを防ぐオフェンシブな動きが求められているようだ。

その後の攻撃もしのぎつつ吉川に変えてジャディウソンを投入して再び積極的に攻め、そして守った。恐怖のロスタイムは3分。ここから追いつかれて悔しい思いを何回してきただろう? そんな事を思い出しそうになりながらも懸命に走る選手たち、それを支えようと最後の力を振り絞り暖かくそして力強い声援を送るサポーター。

チャン監督も時計をさして「まだおわらないのか?」と言わんばかりのジェスチャーを見せる中、 ついに歓喜の瞬間がやってきた。

1-0でセカンドステージ初勝利!そしてこの時点での降格はなくなった。しかし、「降格がけっぷち」の状況は変わらない。

本当に久しぶりのドームでの勝利、サポーターは若きヒーロー・新居を迎えた。新しい戦力は育ちつつある・・それが数少ない札幌の光明かもしれない。次の相手は強豪・鹿島だがもはやしてはどこであろうと関係ない!我々は勝つしかないのだ。「一戦必勝」の気持ちで全力で戦って欲しい。それが出来たならその後の結果がどうであれ我々サポーターは目の前の現実をしっかりと受け止めるだろう。

新居、MIP賞を受賞しおこずかいをもらう

本日の必勝弁当(インゲンのピーナッツ和え) 前半、あわや!のシーンも何とかしのぐ
ゴール前での競り合い(この直後新居のゴールが決まる) 前半を1-0で終えて笑顔で戻る「札幌王子」こと新居
後半の競り合い(チェVS曽田) 勝利の瞬間、大森のガッツポーズ