ナビスコカップ[GroupA第4節]in函館:ベガルタ仙台戦 

文・写真/ワナダン本舗・中村智嗣

ここまでナビスコ杯・リーグ戦通じて1勝7敗2分と開幕前の予想を悪い意味で大きく裏切る形となっているコンサドーレ。前節・磐田戦は後半の終盤に攻めかかる場面も見られ王者・磐田に0-0と健闘して「勝ちに等しい引き分け」だったと思う。開幕当初から見ると監督のコメントにあるように「徐々に良くなっている」状態なのかもしれない。しかし、中盤を作れずシュートで終われない攻撃では試合を見ていて「得点の匂い」がしないし勝てる予感もしない。選手・サポーター共に願うのは「勝利」これだけである。勝利の為には当然の事として「点」を取らなくてはいけない。

この試合は今野・山瀬を年代代表で招集され、ビジュと森は故障中と苦しい台所事情に変わりは無いがその分、若手の吉瀬・新居・相川などの若手の出番を与えて伸びるきっかけにしてほしいものだ。今日の函館での相手は今季2戦2敗の仙台。ちょうど連休中で帰省ラッシュピークの日の試合で移動手段に苦労したサポーターも多かったことだろう。ほとんどのサポーターは昨年10月17日VS広島(厚別)以来、7ヵ月勝利の感動を味わっていない。

入場直後にピッチを見ると少し変わった光景があった。普通、AWAYチームのサポーターはAWAYゴール裏に陣取るものだが仙台サポーターはSAゾーンのAWAY寄りに集結していた。その為AWAYゴール裏が空っぽのようになっていた。その上仙台スタジアムでおなじみの仙台カラーの長い弾幕がSAゾーンの後部フェンスに付けられていた。それに対抗したわけではないが「ワナダン」をAWAYゴール裏につけるという行動に出ることになった。それにつられるように次々と札幌サイドの応援弾幕が数枚付けられた。

さて、いよいよ試合が定刻通りに札幌ボールでキックオフ。スタメンは以下の通り。

<札幌>3-5-2
GK:佐藤 DF:吉川・古川・曽田
MF:田渕・吉瀬・森下・大森・平間
FW:堀井・小倉

<仙台>4-4-2
GK:高橋 DF:森・リカルド・小村・村田
MF:森保・村上・シルビーニョ・岩本
FW:財前・藤吉

試合は仙台のサイド攻撃に対して札幌は中央突破とサイド攻撃の並行型。サイドの切り替えも再三見られて田渕の上がりも再三見られた。監督からの指示としては「積極的な攻撃を」・「シュートで終わるように」などの攻撃を前面に押し出す支持があった。具体的数値目標としてシュート数を10本以上 打つことを求めた。

前半はシュートを5本・CK1本・FK9本放ち、攻撃は磐田戦の後半で見せた良い動きを見せていた。前半20分に平間が足を痛めて新居を投入してから小倉が下がってトップ下に。このシステムが功を奏して29分に堀井の突破を仙台DFの小村がエリア内でバックチャージの販促を犯してレッドカードで一発退場。このPKのチャンスを確実に決めて1-0と先制。今年からPKの際、GKはシュート前に動いても良くなったのでGK・高橋が左右に体を揺らしてプレッシャーをかけたが落ち着いて決めた。

待望の先制点で気が緩んだわけではないだろうが中盤でのプレスが甘くPKの2分後に森保にミドルシュートを決められてあっさり同点に追いつかれてしまった。その後、一進一退の攻防を展開して1-1で前半を終えた。

後半に入る前に柱谷監督は「相手が10人だからと言って勝った気になるな!」と選手に檄を飛ばし、「やるべき事をやらないと相手が9人でも勝てない」と選手に集中してプレーすることを求めた。後半に入り札幌のちぐはぐした攻撃は相変わらずだった。山瀬がいないために攻撃を仕上げる選手がいないので前線への攻撃力が劣る。前半の失点もそうだが去年の基本である「全員守備・全員攻撃」がまだまだできているとはいえない。特に中盤でのプレスが甘くその後のラインの押し上げ(ラインコントロール)が十分にできていないのでせっかくの数的有利の状況を生かしきれない。反対に仙台の方がコンパクトに攻守を組み立ててシュートで終わろうとする姿勢が見られた。(数的不利の状況なので)

札幌も前半から攻める姿勢が見られ、攻撃の意図のわかるプレーの随所に見られ、場内が沸くこともあった。あとは精度を上げる事と動いてスペースを作る努力をしてほしい。小倉はトップ下に入ってから動きがよくなったような気がする。やはり小倉はFWとしての動きよりはトップ下でのプレーが光ると思う。(そうなると山瀬をどこで使うのか?)

仙台の早いプレッシングに札幌はなかなか攻撃の形を作れず苦戦を強いられる。後半33分に堀井に変えて相川を起用する。吉川のオーバーラップが目立つが曽田を上げるなりパワープレーを仕掛けるなりのアクションを起こしてほしい。後半も残り10分となったあたりからスタンドから「早く点を取ってほしい」と言うじりじりとした雰囲気になってきている。私はメインスタンドで観戦していたが「早くあがれ!」とか「早く動け」などサポーターもイライラしているようだった。このイライラした雰囲気がこの後ものすごい事の前ぶれになるとはこの時誰も思わなかっただろう。

監督は一際イライラしていたようで、何回も絶叫しオーバーアクションで指示を出したりと「闘将」にふさわしい熱い戦いをしているようだった。終了間際に新居がこぼれ玉に対応してシュートしたり、酒井が1対1になる場面もあったが最後までゴールネットを揺らすシーンは無かった。サポーターの懸命な応援もむなしくこのまま1-1で終了した。

前節の磐田戦と違い数的有利の状況中でありながら勝ちきれなかったせいか仙台の選手とは対照的にまるで負けたかのように落胆していた。正に「負けに等しい引き分け」と言えるだろう。このシーンを去年見た記憶がある。9月8日に厚別で行われた福岡戦、2点リードで残り10分となった後追いつかれて最後はVゴール負け。この時の光景に非常に酷似していた。

監督の言う通り徐々に形ができているようにも見えるが最終ラインの裏を取られる・ルーズボールやクリアボールを取られる・空きスペースに味方の選手がいない等の問題点も今回見て取れた。選手たちは90分間(+ロスタイム)を懸命に戦った。サポーターも懸命に応援した。それでもお互いが望む結果を出せない苦悩の日々はまだまだ続くかもしれない。しかし、我々サポーターはこんな時にこそ一体となって選手を応援していかなくてはいけないと思う。監督や選手だってこの状況はつらいはず。選手とサポーターが対立するような雰囲気では誰が見てもまずいと思う。ゴール裏に挨拶に行った時に森下主将がなんだか激高していたようでスタッフや洋平・古川らに脇を固められて控え室に戻っていった。 なぜあのような事になったのかメインスタンドからは判らないが。

次は天敵・磐田と対戦する。勝ち目は薄いかもしれないが何がおきるかわからないのがプロスポーツ。平日のナイターで現地へ行く事のできる人は少ないかもしれないが勝利の念を送りたいと思う。そして12日には再び北海道へ戻ってくる。その時は選手が頑張れるように暖かくも時には厳しく応援しよう。

俺たちの誇り「赤黒の勇者」に。


函館行きのJR車内から撮った駒ケ岳 コンサユースVS函館高校選抜(この時仙台サポーターは函館コールをしていました)
ユースを応援する「ユースサポーターズ」の皆さん 試合前の練習風景
選手入場時のゴール裏