サッカーFAQ3 -ルール知ってる編-(2002年版)

【このページに載っているFAQ項目】

  1. オフサイドって何?
  2. バックパス禁止?
  3. 6秒ルール?
  4. ロスタイムって?
  5. Vゴール?
  6. PKの時のGK?
  7. アドバンテージとロールバック(巻き戻し)?
  8. サッカールールの第18条?

  1. オフサイドって何?
    • オフサイド、このルールほど難解でややこしく、そしてサッカーをおもしろくしてくれているルールはないでしょう。うんちく好きになサッカーファンにとって、オフサイドをよく知らない人に、このルールを説明する機会は、決して少なくありません。
    • オフサイドの基本は、左下図の様なものです。相手選手の後ろから二人目の選手の位置を、横にのばした物がオフサイドラインです(水色)。通常、一番後ろには、GKがいますから、DFの一番後ろにいる選手の所がオフサイドラインになります。このラインより後ろにいる攻撃側の選手にパスがでた瞬間、オフサイドになります。オフサイドは反則ですから、ボールは守備側のチームのものになります。また、オフサイドは、パスがでた”瞬間”にとりますから、ボールを受け取った時に、選手がオフサイドポジションにいるかは関係ありません。
    • このルール、何回も微妙に変わるので、見ているサッカーファンも新ルールを理解していくのが大変。現在のサッカーでは、オフサイドポジションにいても、プレーに関与していなければ、オフサイドになりません。右下図のように、灰色の選手はオフサイドポジションにいますが、パスがでたとき、プレーに関与せず、黒色の選手が走り込んできてプレーした場合、オフサイドにはなりません。
       
    • おもしろいシーンが見られたのは、97年厚別で行われた本田戦。負けている本田が、最後のプレーとふんで、GKがコンサゴール前まで上がってきて、攻撃参加しました。この状況で、ボールがコンサボールとなり、コンサドーレがカウンタ-攻撃を仕掛けたわけですが、GKが上がっていたため、オフサイドラインが通常のラインと違っていました(右図)。オフサイドラインが引かれるのは、相手選手の後ろから二人目の位置です。通常は、GKが、相手ゴール前にいるため、オフサイドのラインはDFの一番後ろの選手のところにあるのですが(黄色のライン)、この時は、GKが上がっていたため、後ろから二人目のDFの位置(水色のライン)にありました。そのため、カウンターを仕掛けるコンサドーレの選手(FW1)が勘違いしてしまったのか、これに気がつかなかったのかは知りませんが、図のような状態で、味方選手(FW2)にパスを出してしまいました。結果オフサイドを取られてしまいました。まあ、勝ったゲームだったから良かったものの、負けゲームだったら、大チャンスをつぶしてしまっただけに、選手の大チョンボとなるシーンでした。

  2. バックパス禁止?
    • 国際サッカー連盟(FIFA)の中には、サッカー向上委員会のようなものが設置されていて、常々、サッカーをおもしろくするためにはどうしたらいいかということを考えています。そこでは、いろんな新ルールが発案され、議論されるのですが、その中でのヒット作が、このバックパス禁止という物でしょう。このルール、92年にできたものですが、サッカーをおもしろくしたルールとして、概ね歓迎されています。
    • このバックパス禁止ルール、どういう物かというと、味方からのバックパスを、GKは手で扱ってはならないというのが、その骨格です。ゲームも終盤になると、勝っているチームはボールを回し時間稼ぎをしたりします。このようなことをなくそう、また、ゲーム自体をよりスピーディで魅力のあるものにしようというのが、このルールの目的です。最初のルールは、足でのバックパスは禁止という物でした。従って、頭や胸でのパスはOKです(意図的にリフティングで、、ボールを持ち上げ、頭や胸でパスするのはダメです)。ただし、何でもかんでも禁止ではなく、意図的でないと判断された場合は、バックパスとして扱われません。たとえば味方選手のミスキックが後方にそれたボールや、単に味方選手に当ったボールは通常バックパスとはみなされません。これは主審が判断します。
    • 97年のシーズン途中から、若干厳しくなり、スローインからのボールも手で扱うことが禁止されました。将来は、頭や胸のパスもダメになるのでは、といわれていますが、どうなるかはわかっておりません。
    • このルールに反した場合、相手チームに間接FKが与えられます。

  3. 6秒ルール?
    • FIFAが2000年7月から施行したルールです。内容は、“ゴールキーパー(GK)がボールを手で保持しており、リリース可能な状態になってから5〜6秒以内にボールをリリースしない場合には、相手側チームに間接FKが与えられる。”というもの。これには、GKが手以外でボールをキープしているドリブルなどの時間は含まれません。
    • 要は時間稼ぎは許さないぞという目的で設置されたルールです。ちょっと考えてみればわかることで、もしもGKがボールを保持できる時間を制限するルールがなければ、先制したチームのGKはその後、試合が終わるまでボールを抱え続けていれば、勝つことが出来ます。でもそんなサッカーの試合はおもしろくありません。そんなわけで、GKがボールを保持できる時間を制限するルールが存在するのです。
    • このルールが出来るまでは、GKは、ボールを手で持てるのは「4歩まで」あるいは「5〜6秒以内」とされていました。「4歩まで」というのは「4ステップルール(GKがボールを手で掴んだあと4歩までしか歩く事が出来ない)」と呼ばれていたものです。ちなみにこれらは、97年に施行されたルールです。2000年7月からは、この歩数ルールが無くなり全て時間制限のルールに統一されました。
    • さらにその昔は、何秒という時間制限を取り決めたルールはありませんでした。そのような時代には、“ボールをキープしたら一歩も動かなければいいんじゃないか”と考える輩がいたかもしれませんが、そのようないつまでも保持してリリースしない場合は、「遅延行為」として警告が与えられます。
    • このルールは、試合の遅延行為をなくすようにしようという目的で設置されたルールのため、厳密に適用されるわけではありません。すなわち6秒を0.01秒でも越えたら即反則だ、といったわけではなく、「遅延行為」をしているように見えるときに適用されることが多いです。ここら辺は主審の判断にまかされますが、7〜8秒くらいは見ているんじゃないですかね。それでも、時々反則をとられているGKをプロの世界でも見かけますから、なるべく早くリリースするにこしたことはないようですが。

  4. ロスタイムって?
    • サッカーの試合は、JFLやJリーグ、国際試合などは、45分ハーフで行われます。でも、バスケやアメフトと違って、スタジアムの電光掲示板の時計や、グラウンドにある計時板が45分になって、残り時間が0となっても、試合は終わりません。何分かたってから、ゲームは終了します。この余分な時間がロスタイムです。インジュリータイムとも呼ばれ、試合中、怪我やアウトオブプレーで、ゲームが止まっていた時間を勘案して、実際にプレーが続いて行われていた時間が45分になるようにするわけです。
    • サッカーの場合、試合をどう進めるかは、全て主審に任されています。線審がある判定をくだしても、主審がそうだと思わなければ、主審の判定が優先されます。試合時間に関しても同様で、このロスタイムを何分とるかは主審が判断します。

  5. Vゴール?
    • Jリーグが始まった年、様々な流行語が生まれました。サポーター、イエローカード、オフサイド、などなどです。Vゴールもその中の一つです。他の用語はそれまでもあったのですが、単に日本でメジャーでなかっただかなのに対し、Vゴールは、新たに生まれた言葉でした。
    • 当初サドンデス(sudden death;突然の死)方式と呼ばれたこのルールは、どちらかと言えば、Jリーグのローカルルールっぽいものでした。大抵の国のリーグの場合、リーグ戦では、延長などはなく、90分戦って、同点なら、それは引き分けです。このルールは、Jリーグができるとき、リーグをより魅力的なものしようということで、採用されました。日本人は、勝負事は白黒はっきりした物を求める国民性だというのが当時の理由でしたが、ほんとに日本人がその様な国民性かはちょっと疑問が残るところですが。
    • 現在では、外国ではゴールデンゴール方式と呼ばれ、大会によっては採用されることがありますが、メジャーなルールというわけではありません。ただ、フランス杯の本選決勝トーナメントで採用されました。準々決勝、フランス−パラグアイ戦が延長に突入したため、初めて実施され、フランスのVゴールで幕を下ろしました。この大会、決勝トーナメントで延長になったのはこの試合だけ、そのため、この方式もこの一試合だけでした。
    • この方式は、おおむね、ヨーロッパの人には不評です。どうも、延長にはいって一点入った段階で、すぐに終了してしまうのがおもしろくないようです。また従来、リーグ戦では引き分けがあり、トーナメントの際は従来の延長戦に慣れているせいかもしれません。

  6. PKの時のGK?
    • ペナルティキック(PK)のシーンは、サッカーを観戦していると、結構見る機会があります。PKは、ペナルティエリア内で、直接FKに相当する反則を守備側がおかしたときに、攻撃側に与えられます。
    • PKは、ペナルティエリア内にある、ペナルティキックマークにボールを置いて行われます。ここからゴールラインまで、11mです。
    • このPKをする際に、ゴールキーパー(GK)にはいくつかの制限事項があります。まず、GKはゴールライン上にいなければなりません。97年までは、GKはキッカーがボールを蹴るまで動く事は出来ませんでした。
    • 97年から施行されたルールでは、ゴールライン上であれば、キッカーが蹴る前でも動いてもかまいません(サイドステップを踏んでフェイントをかけるなど)。但し前方方向に動く事は出来ないのは、以前と変わりません。
    • PKの際にGKのポジションをゴールライン上と決めているのは、もしもどこでも良いのなら、GKはボールに近い位置に立った方が有利だからです(止める可能性が高いということ)。PKもフリーキックの一つですから、相手選手はボールから9.15m以内には入れませんが、それでもゴールエリアまでは11mありますから、一歩でも近い位置が有利というのは、みんな知っていることです。
    • “でも、PKのシーンをよく見ていると、キッカーが蹴る前にGKが動いているように見える”というあなた、そのとおり。実際は、キッカーが蹴った後ではなく、キッカーが蹴る直前、走り込んできたキッカーがボールの横に軸足を踏み込もうとするあたりで動いているGKは結構います。
    • PKはキッカーに圧倒的に有利ですが、キッカーとGKの心理合戦のような所があり、GKはいろいろとやります。蹴る前にはどちらかに飛ぶぞと飛ぶぞとフェイントをかけたり、ゴール枠の中央ではなく少し偏った方にあえて立ったり、キッカーが走り込んできたときにいきなりステップを踏んだりフェイントをかけたり(右に一歩ステップを踏んで、左に飛んだりと)などなどです。このうち、横にステップを踏んだりするのはルール的に認めようというのが97年のルール改正でした。
    • 以前は、とにかく動くこと自体がダメでしたから、けっこうやり直しとかを主審に命じられることが多かったです。ステップを踏むだけでもダメだったわけです。PKの際にGKが反則を犯した場合、ゴールが決まっていれば、アドバンテージルールによりゴールが認められますが、そうでなければ(はずした場合)やり直しが命じられます。横に動くのではなく前に動くのは、今でもダメですが、よく見ていると、前に一歩ふみだしているGKも結構いたります。

  7. アドバンテージとロールバック(巻き戻し)?
    • サッカーにはアドバンテージルールというものがあります。これは、反則を受けたチームが、反則をとらなかった時の方が有利になると主審が判断した場合に適用されます。アドバンテージを適用した場合、その反則をとらずにゲームを続行します。例えば、危険なプレーで倒されたが、こぼれたボールが味方に繋がり、チャンスになりそうだ。といった場合のことです。
    • ゲーム中に主審がアドバンテージをとったときは、主審を見ていればわかります。アドバンテージの動作というのは決められていまして、主審がアドバンテージを採用する場合、両手を前の方に広げ(大抵手のひらが上を向いています)「プレーオン」と叫んだ時がそうです。
    • このアドバンテージルールは、反則を受けたチームが不利にならないようにという意味合いのルールなのですが、判断が難しいものです。例えば、主審は試合をながした方が有利だと判断してアドバンテージをとったのに、結果的に不利になってしまったとか。逆に、有利になりそうな展開だったのに、反則をとられてゲームを止められてしまったとかです。
    • こういったアドバンテージルールの適用における不備をなるべくなくそうということで、新たに決められたルールが、「ロールバック」のルールです。これは、98年から施行されたルールです。内容は、“アドバンテージ適用後に反則を受けたチームが不利になった場合、プレイを『巻き戻し;ロールバック』して、反則のあった地点からのFKを採用できる。ただし、ロールバックは1プレイ(約2〜3秒程度)に限られる。”というもの。
    • このルールにより、反則を受けた側のチームがアドバンテージの採用によりかえって不利な結果になることをある程度防げるようになりました。
    • ちなみに、反則を犯した選手が警告・退場に値すると主審が判断した場合には、アドバンテージ/ロールバックの採用有無に関わらず(その時点で反則を採用されなかったとしても)、その選手はしかるべきタイミング(次にプレーが中断したとき)で警告・退場が与えられます。これは以前と変わりません。

  8. サッカールールの第18条?
    • サッカーのルールは17条で構成されています。このシンプルさがサッカーの魅力でもあるのですが、実は、文章になっていない第18条というものが密かにあったりします。
    • この第18条は、いわゆる「コモンセンス(良識とか常識)」などといわれています。サッカーのルールは17条でシンプルですが、シンプルすぎるゆえ、時にルールに書いていないようなことがおきることがあります。そんなときは、「良識」で対応するというような意味だそうです。
    • 基本的にサッカーのルールの底辺に流れる思想は、「紳士的であれ」ということです。このため、粗暴な行為やずるい行為を、サッカーでは非紳士的行為などというもったいつけた言葉で呼んだりするのです。
    • ルールに書かれていないことは何をやっても良い、というのは確かに一つの考え方ではありますが、サッカーがサッカーである思想の底辺あるものを常に意識しておきたいものです。