[第10節]in磐田スタ:ジュビロ磐田戦

文・写真/中原裕之

“静岡では勝てないのか!ちくしょう!”

ジュビロ磐田 2vs1 コンサドーレ札幌
2001年5月19日(土) ジュビロ磐田スタジアム

●ジュビロ磐田との過去リーグ戦成績(ヤマハvs東芝時代は割愛^^)
この観戦記に入る前に3年前のリーグ戦成績をおさらいする。

  • 第1戦 1998年4月29日 ジュビロ磐田スタジアム
    • 磐田 4-0 札幌
    • ※中山 4試合連続ハットトリックの世界新記録
  • 第2戦 1998年10月3日 厚別公園競技場
    • 磐田 6-1 札幌
    • ※当日券なし。当時の最高観客19739人の前で恥をさらす。

簡単に言えば、ぼこぼこにされた。それだけだ。札幌が日本代表なら、磐田はフランス代表。2試合とも札幌には何もサッカーをさせてもらえず。惨敗という事実しか残っていない。

●静岡の厚い壁→静岡県内の観戦は全敗!
さらにきついことを書くと、清水にもリーグ戦では勝っていない。5月3日の日本平決戦も5点も取られる敗北。対静岡県チーム全敗である。もっと書くと1997年JFL時代、磐田の近くの浜松・都田で本田技研にも負けている。当時の本田のMF 村主のロングシュートどかんで終わり。それ以外でも札幌サッカーをやらせてもらえない惨敗だった。簡単に言えば、静岡県内で、いや静岡県民にコンサドーレは大した姿を見せてないのだ。

●静岡のメインスタンド
静岡県はサッカーに対する目がきつい。生活の一部となっているサッカーであるから下手な野次を飛ばそうものなら冷たい目。いやひどいものなら罵倒される。さすが静岡はサッカーどころ。先日の日本平(清水戦)でのメインスタンドの態度は、表面的には“ようこそコンサドーレ”と歓迎してくれた。しかし本音は“コンサドーレ?よく札幌から来たのぉ!まあがんばってや。(なんでここで関西弁を使うと言わないでくれ。イマイチ静岡弁がわからへんから)”という感じ。試合に行くに従って、「どうせアレックスの一撃で終わりさ」「札幌のサポーターなに応援している?よく聞こえない」 簡単に言えば、まだ相手としては認められていないのが現状だったのだ。(もっとひどく書こう。見下しているのさ^^)静岡=サッカー王国のプライド。北海道から見れば、アイスホッケーで静岡県選抜と戦う心境に近いと思う。多分私がその立場になったら、やはり「よう来たね」と見下すだろう。サッカー王国のプライドから来る見下す態度。当然その時のメインスタンドでの気分は悪かったですな。そして「その態度をいつか、いやいますぐ覆してやる」その一心で今日の観戦となる。
※なお、先日のメインスタンドで聞こえた話をそのまま書いています。だから、今日の私の思いは、“静岡で静岡のチームに勝つ。そして静岡県民にコンサドーレ札幌を認知させてやる!”だけ。認知=勝つ!惜しい試合なぞごめんという気分だった。

●今日の試合前のポイント
ジュビロは奥が出場停止。そして名波の欠場。しかし、ターンオーバーをしけるチーム。層はさすがに厚い。コンサドーレは前試合欠場の播戸が復活!しかし得点王ウィルは鹿島との対戦のけがで欠場。ということで両チームとも飛車抜きの戦いとなる。で、代わりのFWは...いないのか??山瀬、アウミールの2人のトップ下に播戸の1トップ(いや3トップか)。そして左サイドには“韋駄天”和波が入る。やっとあの湘南サポから完全移籍した弾幕が役に立ったね。
最後に(これは試合後にわかった話であるが)、試合直前に知らされた世界クラブ選手権中止の影響をジュビロはどれだけ受けるか?あんましその影響で試合どうこうというのは好きでないが、今年の大目標を失うショックは大きいと思う。
※サッカーファンとして世界クラブ選手権中止は非常にくやしい。ジュビロに本当にがんばってほしかった。スペインの読売(いやサッカー界の借金王か) レアル・マドリードにどれだけ戦えるか本当に見たかった。
※(ぼそっ)FIFAはとんでもない国際組織ですな。いつか崩壊するぞ。あいつらサッカー愛しているのか。

●試合は?
予想通り攻められる。(今日のシュート数 磐田:18、札幌:9)
しかしこれは今の実力差を考えれば、仕方ないこと。けど今年の札幌はボールキープ率が低いほど勝っているのだ。週間プレイボーイのサッカーのコラムで柱谷哲二氏が、「札幌が磐田に攻められるほど、戦いやすく有利だろう」と断言しているのだ。(事実ボールキープ率が高く、シュート数も上回ったFC東京戦、大分戦は敗北を食らっている)だから、ディフェンスを固めてカウンター一発の展開を私も狙っていた。(正直今日の試合に関してはウィルの欠場はあんましハンデとは感じていなかった。名塚がいないほうが今日はぞっとしますな)
ということで試合前の岡田監督の支持はこうなる。「カウンターの徹底。プロレスの悪役のつもりでやれ!」→なんて面白い指示だ。そして選手たちはこの指示を忠実にそして泥臭く実行した。
だから後半10分過ぎのジュビロ田中退場は正直いい気分しなかった。下手にボールキープ率が高くなる危険性があるからである。しかし、そんな心配は6分後和波のゴールで一時であるが吹き飛んだ。
ジュビロはこの日おかしかった。パスミスは限りなし。書くと限りないので省略。1人少ないながらも和波のドフリーのヘディングシュートは目を疑ってしまった。(だから先取点の瞬間はやったー!というより、まじかよという感じだったのだ)
後はいつもの通り守りきれば...岡田監督のシナリオも守備的選手の投入で「悪役プロレス」編完結のつもりだったが...

しかし、試合の終盤、ジュビロはなりふりかまわない態度だった。まるで喧嘩をしかけるように。考えてみれば、泥臭いの代名詞が一番似合うゴン中山がいるチーム。泥臭いことをいつも見てきた彼らに、終盤の攻撃ぶりは当たり前のことだろうと思う。高原のロスタイムのゴールはかっこよくなかった。(本人曰く、ボールが頭に当たったことすらわからなかったそうな)でも、うまいやつらが泥臭いことをやるぐらい、相手から怖いことはない。(いやこれはお手上げに近いかもしれない)これが世界を目標とし戦い、結果を出した集団の集中力。試合前のショックの出来事なぞ彼らにはたいしたことであり、たいしたことでないのであろう。くやしいけど、この力は認めたい。すばらしいスピリットである、ジュビロ磐田。

●静岡の壁は?
観客の雰囲気は試合展開をまともに影響したのか、最後はプライドをかなぐり捨てる応援になっていた。今日の観戦はバックスタンドだったが、試合当初は「札幌さんやるのお。J2から上がった割には。十分J1でやれますな」と余裕の観戦だったのが、田中の退場から「札幌さんやるのう」の言葉がなくなり、和波に先取点が取られた時からは、「中山決めろ!」「DF 簡単にボール取られるな」「川口さっさと出せ!」「ふざけんな!」と罵声を交えたなりふりかまわない応援に変わっていた。つまりごく普通のサッカーの観戦にバックスタンドはなったのである。ジュビロゴール裏に至っては、悲鳴まで聞こえる有様。これは今まで静岡で何度も観戦したが初めて見る光景だ。静岡の観客が慌てふためいて、叫んでいる。
こんな状況まで追い詰めたのだから、今日は勝ってほしかった。いい試合だというコメントをするのは北海道だけだろう。静岡県内、そして全国版はジュビロがなんやかんやで勝ったから、ジュビロが主役で、コンサドーレは脇役となってしまう。(事実 岡田監督のコメントは「悪役が脇役になってしまった」)それではまだ静岡と対等の立場になったとは言い切れない!
今日に限っていえば、一歩は前進しただけ。ジュビロの選手たちを泥臭くさせ、ファンも激怒の応援にさせたことは前進である。今度対戦する時はもう一歩前進だから、やることはひとつ。勝つ!のみだ。エスパルス、ジュビロ!札幌ドーム(厚別?)で覚えてろ!
※私の思いは、厚別で札幌ドームで勝ってもどうってことないです。敵地静岡で勝たないと気がすみません。コンサドーレ札幌を静岡で認知させるため。

●Jリーグ1stステージ前半戦は...
これで6月16日まで1ヶ月間お休み。6月16日の再開の時、その試合には播戸とビジュは累積でスタンド観戦。そして山瀬はワールドユースでアルゼンチン。この厳しい現実に対して岡田監督はどう采配し、選手はどう答えプレーするか?まあ1ヶ月後わかることだから心配しても仕方ないが...まずは2月からの遠征続きで疲れているし、家庭サービスもままならなかっただろう。しばらくリフレッシュしてほしい。

p.s 書いて気づいた。やっぱこの試合の主役はジュビロだったのだ...(またくやしくなってきた)


今日の札幌サポの様子。3年前より1.5倍の人がアウェイゴール裏を占める。遠いところから応援に来てくれてありがとう。 にっくき磐田サポ(うらみは当然なし)。今度は札幌ドーム?でコンササポが勝利の雄たけびをしてやる!ちくしょう!
延長前のコンサドーレの様子 延長前のコンサドーレの様子。ここで注目すべきは途中交代した播戸。ずっと磐田ベンチをにらみつけているのがわかる。
試合後サポーターへ挨拶に向かう選手達。6月16日厚別で勝ってくれ!

【おまけ】

静岡スタジアム・エコパの全景。実はこのスタジアムはジュビロ磐田スタジアムから車で15分(距離10km以内)の場所にある。だから磐田スタジアムに行く前に寄り道をした。周りに何もない丘の上にドーンと立った建物。しかし、ここでは某週刊誌みたく、無駄な建物とは書かない。今後は多分清水vs磐田の静岡ダービーの永久会場となるだろう。静岡ダービーは静岡県民だけでなく、日本サッカー界最高のイベントになりうると思う。これからこのエコパで歴史が刻まれるのだ。駿河vs遠州の名勝負物語を今後とも期待し、静岡の少年たちのあこがれの競技場となってほしいと思う。100年後は静岡の誇りのある威厳ある競技場になってほしい。