J2寸評 第39節:あれから二年ついにJ1昇格を決める

 室蘭の地でJ2陥落が決まってから2年。ついに待ちに待った瞬間がやってきた。昇格マジックを勝ち点1にして迎えたこの日の湘南戦(平塚競技場)、札幌はJ1昇格をかける。
 舞台はアウェイ平塚競技場であったが、2000人以上ものコンササポーターが駆けつけ、ホーム湘南サポを上回る気勢とまとまりで、試合前から異様な雰囲気に包まれるスタジアム。昇格を目前にして堅さの見られる札幌イレブンだったが、頼れるキャプテン名塚善寛選手がそれを切り開く。前半16分古巣の湘南から昇格へ一歩近づく二試合連続のゴールで先制点を奪った。その後の、湘南の鋭い攻撃もコンサDF陣が頑張り同点は許さず、逆に後半23分こちらも二試合連続となる播戸竜二選手のゴールで突き放すと、後半ロスタイム、俺を忘れるなとばかりに、エメルソン選手が得点王レース独走となる今季30点目を湘南ゴールに突き刺した。そして長いロスタイムのあと、審判の笛が吹かれた瞬間、コンサドーレの来季J1昇格が決まった。コンササポで埋まったアウェイ側スタジアムは大歓声に包まれ、観客はみな総立ちになり、歓びをグラウンドの選手やサポーターとともに分かち合った。
 寒風吹きつける室蘭で、J2降格が決まってから、この日までの厳しい日々は、サポーターにとってのコンサドーレ札幌をより一層魅力的な存在にしてくれた。昨年不振の原因をとことん改善し、改革して臨んだ今季、シーズン開幕から上位をキープし続け、第20節からは1位の座を一度も譲ることなく、優勝を決めた。結果だけを見れば、圧倒的に勝ち進んできたように見えるが、実際はそうではない。1点差試合は17試合(15勝2敗)、延長戦も8試合(4勝4分)におよび、粘り強くあきらめることなくコツコツと勝ちを拾ってきた結果と言っていい。大勝せずに、このようなゲームを年間続けることがいかに精神的に厳しいことか。
 ちょうど三年前の10/22、JFLで昇格を決めた。あの時は、まだJを知らぬコンサドーレの新しいものへの挑戦の戦いだった。そして今、二年間にわたって繰り広げられたのは、失ったものを取り戻すための戦い。同じに歓喜に包まれた瞬間だったが、今回の戦いの方がより厳しかったように思う。度々のピンチや劣勢を、ある時は選手の力で、またある時はベンチの力で、そしてある時はサポーターの力で、跳ね返し、蹴散らし、接戦をものにし、地道な積み重ねがこの日の歓喜のときにつながった。解決すべき問題はまだまだたくさんあるが、今日は、この勝利を素直に喜ぼう。そして、来季のコンサドーレの活躍に夢をはせ、より一層の応援を誓おうではないか。
 さて今節、平塚の地で札幌の歓喜の声が鳴り響いたが、残り一枠を巡っての競争は熾烈をきわめている。消化試合が1試合少ないものの、浦和に勝ち点2リードしている大分、その両者の今季最後の直接対決が翌日行われた。もしも浦和が負ければ、コンサドーレのJ2優勝も決まる。この試合、勝った方がJ昇格に大きく近づくとあって、両者大一番の位置づけで迎えた。試合は復活した小野の活躍などで浦和が快勝。勝ち点で1リードする展開となった。
 これで、今節の札幌のJ2優勝はなし。札幌は次節J2優勝をかけて大宮とホーム厚別で対戦する。