J2寸評 第35節:対浦和シーズン負けなしで終える 

 コンサ一番のライバル浦和レッズとの今季最後の試合。ここまで対浦和戦三試合は負けなしで来ているので、最後の一試合くらい負けても、なんて当然思うわけなく、アウェイ駒場でありながら勝ちを狙いに行く。首位と二位の直接対決だけあって、最悪でも引き分けに持ち込み、勝ち点差を縮めさせなければJ1昇格に大きく近づく。二位の浦和は当然、首位を引きづりおろすために、勝ちに来た。
 札幌はほぼベストメンバー。対する浦和は中盤の要、小野伸二選手が復活。室蘭で引き分けた試合以来の対札幌戦出場。平日のナイターのせいか、駒場にしては少ない16068人のサポーター。それでも、双方負けられない試合は、選手とサポーターの意地がぶつかる。
 がっぷり四つになるかと思われた試合は、予想に反し、開始早々から動いた。開始わずか5分。エメルソン選手のヘッドが決まり先制点がコンサにはいる。堅い守備からカウンターのように仕掛けるコンサにとって、早い時間帯での得点は相手が前に出てきてくれるため、自分たちのスタイルで戦えることを意味する。そのため前半は札幌ペースで試合が進む。試合が動きだしたのは、後半になってから10分に右サイドの田渕龍二選手が負傷退場すると、コンサドーレは替わりの選手がいない事態に。ビジュ選手を右サイド、リベロの位置の名塚善寛選手をボランチにあげ、リベロの位置に古川毅選手を投入し何とかやりくりする。リズムが悪くなった後半26分。クビッツァ選手のヘッドで同点にされる。今季ここまで対浦和戦でコンサドーレは通算三失点しているが、全てクビッツァ選手に決められた。要注意選手としてマークはしているのだがなぜか決められる。そして、この同点劇に当然意気上がる駒場スタジアム。しかし、今季の札幌はここからがしぶとい。ゲームプランが崩れようが、劣勢になろうが、選手の集中力は落ちない。むしろ、そんな時ほど、チームが一丸になるのが今年のコンサ。傘にかかる浦和に決定的なチャンスを作られるも何とかかわし、延長戦へ。そして延長8分、アウミール選手がシュート、キーパーがはじいたところを、エメルソン選手がシュート、これがポストにはじき返されたのを、最後はビジュ選手が蹴り込み、Vゴール。助っ人三人衆の見事な連続攻撃で、試合を決めた。前回の駒場では、圧倒的な劣勢をビジュ選手の一蹴りで、うっちゃったコンサ、この日も、最後はビジュ選手がとどめを刺した。
 この日の勝利は、二位浦和との勝ち点差を8から11に広げる大きな勝利。逆転するには、4試合最低必要で、残り試合は8試合だから、1勝1敗のペースでOKということになる。ホントに大きな勝利であった。結局、対浦和戦は3勝1分けで負けなし。勝ち点で9稼がせてもらった勘定になる。札幌と浦和の下位チームへの負け数は3試合と4試合でほぼ同じ。結局、順位表における4試合分もの勝ち点差は浦和が直接対決を落とし続けたためということになる。岡田監督が、シーズン開幕前に五分の星でホントに充分(ということはとれない可能性もあると読んでいたわけだ)と考えていたことからも、この成績が予想以上のものであることがわかる。五分の成績だったら、お互い勝ち点70あたりで並んでいたはずである。いずれにしても、この日の勝利で、J1昇格に大きく前進した。
 今節他会場の結果は、三位大分が甲府を下し、浦和との勝ち点差を2に詰めてきた。浦和大分は直接対決が残っているだけに、今後の大きな見所の一つになった。
 次節は、3位大分をホーム厚別に迎えての試合。昇格争いの当該チームとの直接対決だけに負けられない。また、今季ここまで1勝1敗1分ながら延長勝ちなので、勝ち点で負け越している唯一のチーム。昨年から大分相手では、アウェイでは一度も勝てていない嫌らしいチームだが、ホーム厚別では負けてもいない。J1昇格に向けて、圧倒的に有利な状態になったが、気を抜けば、それがきっかけとなって、昨年のFC東京のように5連敗する可能性もある。いずれにしても、難しい試合になるに違いない。