J2寸評 第8節:今季初黒星

 さて、ナビスコカップで今季初の敗戦を喫したコンサドーレ札幌は、初の公式戦が開催される函館で、山形を迎えての試合となった。昨年、地元選抜との練習試合が開催されたとはいえ、公式戦では初のコンサドーレの試合とあって、天気が悪い中、1万1千を越える観衆が集まった。けがによる戦線離脱の影響を受け、ここ数試合、先発が固定できないコンサドーレは、トップ下司令塔の位置に佐賀選手を抜擢。また、控えに新人の中尾選手が入っている。試合の方はコンサドーレが優勢にすすめるも、守りをがっちり固める山形のゴールをわるにいたらず。突破口を見いだせないまま試合がずるずると進み、前半終了間際、山形のカウンターを続け様に食らい、先制された。後半に入っても状況は変わらず、このまま0-2で完封負けした。新人の中尾選手が後半途中から、交代で出場し、公式戦デビューを果たしたが、勝利で飾れなかった。コンサドーレはこの敗戦で、今季J2初敗戦を記録。消化試合数の違いもあるが、4位に沈んだ。
 山形にリーグ戦初敗戦を喫した札幌だが、山形と札幌の対戦成績はあまりいいものではない。昨年こそ負けなしだが、それまでは五分の星。勝つときはほとんど完勝だが、負けるときは完敗している印象が強い。しかもカウンターでだ。問題は、この敗戦よりも、開幕当初に比べて、コンサドーレの調子がここしばらく落ちてきていること(運も含めて)。試合が抜けたとはいえ、仙台戦後、3週間勝ち星に恵まれていない。そろそろ勝っておかないと勝ち方をチーム(と選手のからだ)が忘れてしまう頃合いだ。そうなると、試合を優勢に進めながら負けたりする。それを繰り返すと、ぎくしゃくしだして、負け癖がついてしまう。まだチームに負け癖がついていないうちに、早く一勝をあげておきたい。札幌は毎シーズン春先は苦しく、この時期チーム状態がきつい。開幕戦2、3試合は良い試合をするも、5月での厚別での開幕に向けて、ジプシー生活が続くため、だんだん落ちてくる。そんな意味では、今年は、ここまで順調に勝ち星は稼いでおけたと思う。シーズン通して、チームの調子に波がでるが、だいたい層の薄いチームほど、良い時期の周期は短い。
 コンサドーレの選手は劣勢になって時間が無くなると悲愴な顔になることが多いが、そんな相手の思惑にはまったような顔をせず、不敵な面構えで最後の笛まで戦って欲しいと思う。まだ一巡目、ここで試合が終わってもまだ三回も同じ相手と戦う。次の対戦につながるように、勝ち点やる替わりに最後まで苦しめておくのが重要である。数巡前の鳥栖-浦和戦は、鳥栖が選手の退場後も攻めの姿勢にでたため、取られも取られたり七失点。でもこれで、このカードは残り3試合に目が離せなくなった。勝っても負けても次の対戦に何かが残る、それが今のJ2。しかも今は、まだ一巡目だ。
 次節は、山形よりも更にカウンターに鋭さがある水戸。しかもアウェイのスタジアムは、地面までカウンター向きだ。この試合、ボールのキープする時間やシュート数でなく、ゴールを割った数だけが見所になる。上位チームはいずれも苦戦した相手。厚別での開幕戦を前に、泥臭くても勝利をあげられるか、チーム状況は苦しいが、コンサドーレの選手の意地が見所になる試合となった。勝てばもちろんうれしいが、苦戦しても水戸の選手に、もうコンサとは試合をしたくない、と思わせるぐらい、しぶとい試合が出来るか、それが次の対戦にもつながり、シーズン終盤に生きてくる。
 さて今節の他の試合、湘南以外は上位陣が順当に勝った。湘南は鳥栖に敗れて、連敗。ナビスコも含めると、四試合勝ちなし。若いチームだけに、負け癖がついてしまうと、なかなか立て直すのが難しい。その前に、前園のリーダーシップがどこまでチームを立て直せるかが鍵。一方、選手層の厚さでは、文句なしにJ2一の浦和は無傷の7連勝。傍目には横綱相撲しているような評価を受けてないが、しっかり勝っているところを見ると、良い流れの方に今はのっているのだろう。今の浦和にはお手上げだが、浦和は潜在的に重度の負け癖を持つチーム。選手層が厚いため、悪い波がいつくるかわからないが、チーム状態が悪くなったときに、それがどこまで顔をみせるのか、他のJ2チームがそこをつけるのか、浦和は長いシーズンを戦ったことがないだけに今後の見所だろう。エースが復帰したとたん、チーム状態が悪くなったりすることもあるから、サッカーはおもしろい。