新聞の取材を受けたときの話2「コンサへの期待」

 この記事は『00.03.26:新聞の取材を受けたときの話1「ホームページへの思い」』から続いています。それでは続編をどうぞ。

「コンサへの期待」

 これは一言“頑張ってほしい”ということのみです。今年のコンサドーレは、シーズン前の風評では、好調が伝えられていますが、実際どうなのかはふたを開けてみなくてはわかりません。シーズン前の評価で結果が決まるのであれば、長いシーズンを戦う必要はないわけです。
 1クラブ25名の契約選手枠、プロサッカー選手とプロクラブの増加、不況下で各クラブ運営費の圧縮など、年々、クラブ間での力の差が無くなってきています。マラソンのゴール手前で、わずか1cmの差で勝敗が決まることもあるように、今年のJ2も最終節最後の1秒まで勝敗がもつれるかもしれません。40試合全てに全力をださないと厳しいかな、という気持ちを持っています。とりわけ、サッカーの場合、少々の力の差があっても、力の劣るチームには、そのようなチームに向いた戦術というのがあって、これをチーム一丸で迷いなしにやられると、そうそう勝てるわけでもありません。三年前のJFLで圧勝した時のような戦いぶりは、今後は無理でしょう。当時は、アマチュア混在で、チーム間で投資できるお金にかなり開きがありましたから、選手のレベルに差を付けることが出来ましたが、J2が完全プロ化されたことで、クラブ間の差が縮まり、このような状況はもう生まれないと思います。

 サポの心理からいえば、圧勝してくれた方が、胃が痛くならずにすみます。ところが、そんな試合ばかりだと、一昔の西武ライオンズが優勝し続けてた時のようにだんだんおもしろくなくなってきます。やはり、胃が痛くなるかもしれないけれど、ぎりぎりのところで、はらはらどきどきさせてもらいたいものです。でも、負けてばっかりだと、おもしろくない、というのはサポのわがままな心理ですかね。

 クラブ間の差が無くなり、選手の技術レベルが均等になってきたということは、裏返すと、うまいへたとか技術的なもの以外のところで勝敗を決するということを意味していると思います。前時代的になってしまいますが、J2もプロ化されたことで、以前より精神力とか集中力とかの占める割合が高くなってきているのではと思います。例えば、負けていても最後のホント最後の1秒まで、よけいなこと考えず集中してプレーできるのか、一人の選手だけではなく11人全員が何の迷いもなく必ず逆転できると考え続けられるのか、選手だけでなく応援しているサポも“負けるかもしれない”なんていう雰囲気をスタジアムにみじんも感じさせることなく応援しつづけられるのか、といったような意味です。実力が伯仲しているクラブ同士での戦いになればなるほど、こういったことが大切になってくるのではと思います。サッカーをよく知る人は劣勢の時、ああ無理かも、と頭でどうしても思ってしまいます。これを精神の力でどれだけ押さえ込めれるか、といったニュアンスなんですが、意味が伝わりますでしょうか。

 シーズン終了後にJ1昇格が決まっていれば文句なしにうれしいですが、J2残留が決まってしまったら、そのときは“また来年”といった気持ちでいると思います。内心は悔しくて仕方がないでしょうが。たしかにクラブは経営的に苦しいですし、昇格した方が収入が増えるし、営業上メリットが大きい、今の経営状況を少しでもよくするためには昇格しかない。といった理屈もわからないではありませんが、元来、昇格はそのような理由で目指すものではありません。また、そんな理由で昇格目指して戦ったり応援しても、全然おもしろくありません。昇格は、長いシーズン、“全力で”精一杯戦って、その結果成績のいいクラブにくれるご褒美のようなものです。これは、負けてもいいやということを意味しているわけではありません。リーグに参加するクラブは、全チーム勝利を、優勝を目指さなければいけないと思います。これは、そのようなルールだからでもなく、また自分が勝利至上主義というわけでもありません。戦うチーム同士が、“共に”勝利を目指さないとゲームが両チームが実力をだしきった真剣勝負にならないからです。どちらかが負けてもいいやと思っているゲームほどおもしろくないものはありません。また勝利したときの喜びも半減します。実際のゲームなんかも、片方のチームの集中力が切れた瞬間から、大抵凡戦になります。

 昨年、コンサドーレの戦いぶりにサポが時々怒っていましたが、これは負けが込んでいたからではなく、その戦いぶりというか、姿勢に、先のような“今自分の持っている力を100%出して必ず勝つ”、といったものが感じられなくなっていたからでしょう。サッカーは、盛り上がりをはじめから用意しているエンターテイメントや興行でなく、筋書きのないスポーツなので、かならずしも見ている人間にはっきりとわかる形で上記のような気持ちが伝わったり、出てくるものではありませんが、あまりにもふがいないところが目立ったのでしょう。

 コンササポが全員同じ考えを持っているとは思いませんが、私が望むコンサドーレは、いつも試合に勝つ圧倒的に“強いコンサ”ではなく、どんな劣勢になってもあきらめず、時には見事に跳ね返してくれる“不屈のコンサ”です。