[第13節]in厚別:ジュビロ磐田戦(写真付)

『二上英樹の観戦記』

今週は、いきなりフェルナンデス監督電撃解任のニュースで始まった。その所為もあったのか、磐田戦のチケットは、前売りが完売。当日券は発売されなかった。でも、ホントの所は、対戦カードのためだろう。磐田戦は、平塚戦、横浜M戦と同じように、発売開始から、順当にチケットがはけていっていた。横浜M戦も、当日券は発売されたが、ほんの少しで、もう少しで売り切れといった所までいっていた。また、この日は、市内の小中学校が休み(札幌は土曜日が隔週の休みだったような気がする)。家族連れ、少年団の団体などが多かったように思える。もちろん、追っかけの人も多くいたけれど
スタジアムに着いたのは、開始1時間前。事前にアナウンスされていた手荷物検査は、空港でやるみたいにきっちりやるのかと思っていたら、意外とあっさりしていて拍子抜け。スタンドに上がってみると、もうすでにAやB自由席などは一杯。試合開始時には、いつもは空席が残るアウェイ側ゴール裏席もびっしり。スタンドが全て一杯になった。
そういえば、貴賓席には、川淵チェアマンがきていました。この時期、何を見に来たのだろう?

札幌の先発は以下の通り。今日は4-4-2のフォーメーション。DFは、左から黄川田、梶野、大野、田渕の四人。中盤は、古川、太田、棚田、マラドーナの四人。どうやら、磐田の攻撃力を警戒して、古川、太田のダブルボランチでいくようだ。オフェンス陣は、吉原、バルデスのツートップ。控えは、加藤、木山、深川、村主、有馬の五人。バウテルは、足の状態が思わしくなく、入れ換え戦を見越して、完全に完治するまで休ませるようだ。また、棚田に続いて、入団してきた、関、埜下はこの試合には、間に合わず(前日から練習に合流した)。

  • FW:バルデス、吉原
  • MF:古川、太田、棚田、マラドーナ
  • DF:黄川田、梶野、大野、田渕
  • GK:ディド

対する磐田は、コンサと同じく4-4-2。後ろから、GK:大神、DF:デジマール、田中、アジウソン、山西、MF:ドゥンガ、福西、藤田、名波、FW:中山、奥。とにかくスター軍団と言われるだけあって、日本代表が田中、名波、中山、奥の4人。ドゥンガもブラジル代表だし。すごすぎる。
試合開始、いきなり押し込まれるのかと思っていたら、立ち上がりは五分の展開。というよりも、見せ場は最初、札幌に来る。磐田DFラインの裏に出た浮き玉にバルデスが反応。落下地点にバルデスとGK大神が、走り込むも、バルデスが一瞬早くボールにタッチ。浮かしてGKをかわそうとするが、ボールは、大きく左にそれていき、バルデスは大神と交錯して倒された。PKだ!!とスタンドは騒然となるが、PKを取ってくれず。前回の名古屋戦の時も同じ様なシーンがあって、PKにならなかったことを思い出す。
その後、再び札幌にチャンス。左サイドから逆サイドに上がったボールは、ゴール正面にいたバルデスの足下に。DFをかわすために、ボールをこね繰り回している間にカットされてしまった。バルデス~~、ダイレクトだ!!~~~、と心の中で叫んでしまった。思ったより札幌の調子がいい。ところが、この状況が一変してしまう。
前半15分。コンサ左サイドからのコーナーキック。蹴るのはドゥンガ。ゴール前に上がったボールは混戦の末、逆サイドへぽろり。これを中山が蹴り込み、磐田先制。これで、札幌のリズムがまったく崩れてしまった。実際ここまで、シュート数は、札幌3に対し、磐田1。押していたのだが。また、この混戦で、磐田の選手のハンドがあったようで、コンサドーレの選手がアピールするも、受け入れられず。このあと、磐田のゴールラッシュが始まる。
前半25分のシュートは、まったく手も足も出なかった。コンサゴール前で、ワンタッチのパスが5回ほど繋がる。コンサドーレの選手は、右へ左へと降られ、最後は、中山からのセンタリングが、ゴール正面へふわりと上がり、走り込んできた藤田がフリーで、ヘッドをたたき込んだ。あまりにも鮮やかなので、声がでない。
前半30分には、ドゥンガの見事なフリーキックが直接コンサゴールにつき刺さる。コンサ右サイド、ペナルティエリアのすぐ外でのFK。ドゥンガが思いっ切り蹴ったボールは、弧を描いてコンサゴールへ。ディドの伸ばす手をかすめ、直接付き刺さってしまった。先制されてから、ここまでの15分間。コンサドーレは、完全に舞い上がってしまったようだ。試合開始直後の15分とはまったく異なるプレーぶり。
3点とられて、コンサも追撃しなければならず、35分に、ボランチに入っていた太田を深川に交代。これで、古川のシングルボランチに変更。攻撃的MFの数を増やして、追撃をはかる。この後は、何とか踏ん張って、前半終了。磐田相手とは言え、0-3は予想以上に点を足られ過ぎ。にしても、手も足も出なかったコンサでした。

後半開始、さて追撃のサポーターの願いもかなわず、追加点は磐田。点を取りに上がりめになったDFラインの裏をつかれ、絶妙のスルーパスが。藤田が飛び出し、ディドと一対一。きっちりきめられ、0-4。さらに、そのあとすぐに、コンサ左からのボールが逆サイドに流れたのを田中がダイレクトにシュートを放ち、0-5。
あまりにも点を取られすぎのコンサ。吉原に代えて村主、棚田に代えて木山を投入。バルデスのワントップにして、木山をボランチに回し、古川、木山のダブルボランチ気味に。まったく歯が立たない中盤を、少しでも厚くすることで、なんとか状況の打開を図る。磐田も、福西に代えて鈴木、中山に代えて川口を投入。中山は接触で、肩を痛めたようで、試合もほぼ決まったことで大事を取っての交代か。
後半40分。ようやく一矢を報いる。磐田左からのコーナーキック。マラドーナが蹴ったボールに、するすると上がっていた黄川田が、ジャンプ一番、高い打点からのヘッドを磐田ゴールにたたき込んだ。まさに一矢を報いる一発。ゲームの大勢は変わらなかったが、スタジアムに来ていたサポーターに答える一発。磐田の一方的展開に、悔しい思いをしていたサポーターはたった一発であったが、黄川田のゴールにスタンド総立ち。黄川田はJリーグ初ゴール。
それでも、磐田は強かった。その二分後、コンサ左サイドを破った川口からのセンタリングに走り込んだ奥がヘッドで、追加点を決めた。試合はこのまま終了。1-6で完敗した。

今日の磐田、とにかく強かった。コンサドーレがふがいないという見方もできるかもしれないが、見てて手の打ちようが無かった。どこか局所的なポジションが悪いとか言うものではなく、全体的に力の差があって、いかんともしようが無かったという感じ。あそこの選手をだれだれと代えて、こういう風に攻撃を仕掛けたり、守備をしたりといったアイデアがまったく浮かばなかった。中盤のエースが一人か二人なら何とかマークをつけ、あるいはカバーリングをして対処しようがあるのだろうが、磐田の場合、人数が多すぎてどうしようもなかった。さすがJリーグ一の中盤と評価されるだけのことはある。以前からそうであったが、磐田のように、中盤にパスも出せてキープ力もある選手が多いと、コンサドーレの場合、手も足も出ない。結局、選手一人一人の力が上がって、一対一でで負けないようにすることなのだろうが、現状では、これがコンサドーレの限界と言ったところだろう。
サッカーの試合では、勝つこともあれば、負けることもある。コンサドーレの場合、実力から見て、負けることが多いのだろう。サポーターも相手が強いと、今日は厳しい試合になるなあと、ある程度覚悟がしているものであるが、それでも頑張って欲しいと思っているものである。結果的に負けたり、今日のように大敗したりしたりすることもあるだろう。そんなときでも、選手達のがむしゃらなプレーや、一生懸命なプレーを期待している。試合の大勢が決まったからといって、あきらめたり手を抜いたりすることを許したりしない。その様な意味でも、試合も終盤の黄川田の得点や、ロスタイムに入ってからも2点目を取りに攻撃を仕掛ける姿勢というか気持ちに、共感するものである。さすがに1-6で、ロスタイム3分間で同点あるいは逆転できると思っている人はほとんどいない。そんな状況でも、コンサドーレが攻撃に転じると、大歓声わき上がるスタンドが何を意味しているのか。今日、磐田に負けて入れ換え戦出場が決まってしまったが、コンサドーレにはそういうサポーターの純粋な気持ちに答えるチームであり続けて欲しい。

(以上記事:二上英樹)


ビッグフラッグ :今日もビッグフラッグがバックスタンドに翻った。とにかく人が入った今日の試合、最終の発表では観客数19739人。厚別の最高入場者数記録を更新しただけでなく、この日、行われらたJリーグ9試合でも一番の入りでした。  
磐田の代表3人組み:磐田が誇る日本代表の3人の攻撃陣。左から、中山雅史、奥大介、名波浩の三選手。
大野vs名波 :コンサ右サイドで相対する大野貴史選手と、名波浩選手。現日本代表10番と、将来日の丸を背負うことが期待されるコンサドーレの若手DFの戦い。この日のコンサDF陣、磐田攻撃陣にいいようにやられて、さぞかし悔しい思いをしたことでしょう。
中盤の戦い :中盤でボールを巡ってバトルを繰り広げる両チームの選手達。ボールをキープするのはマラドーナ選手。それを挟み込むのが、ドゥンガ選手(左;8番)と名波浩選手(右)。フォローにまわるのは棚田伸選手(右端)。
選手交代 :後半20分、吉原宏太、棚田伸の二選手に代えて、村主博正(右:17番)、木山隆之(左;5番)の二選手を投入。磐田にいいようにやれている中盤をなんとか立て直すために、吉原を下げて、MF村主を投入。フォーメーションを4-5-1にして状況の打開を図ります。
追加点を目指して :試合も大勢が決まった後半も終盤。それでも、追加点を狙って、磐田ゴール前に攻め込むコンサドーレの選手達。黄川田賢司選手(右端)のヘッドは惜しくもゴールバーの上を超えていく。