[第7節]in厚別:柏レイソル戦(写真付)

『二上英樹の観戦記』

清水、鹿島と連敗し、第二ステージの勝ち星は、3勝3敗の五分に戻ってしまった。借金生活に陥らないためにも、今日の試合は大事。柏とは、第1ステージの試合で、嫌な形の結末で終えているだけに負けられないところ。
日本は、台風の影響で各地で被害が出ている。この台風、台風の直撃を受けるのが珍しい北海道にも上陸。札幌も、前日から大雨。この日の天候が心配されたが、台風は幸い夜中のうちに、大平洋に抜けてくれ、札幌は気持ちよい晴れ晴れとした空になった。
この日は、コンサドーレの梶野選手が、Jリーグ通算100試合出場を達成。試合前に花束の贈呈が行われた。またJリーグはこの日まで、4991ゴールを記録。各地で行われている第7節の試合で、5000ゴールが記録されることが予想されている。厚別でその記念すべきゴールは生まれるのか。

札幌の先発は以下の通り。4-4-2のフォーメーションは前節と一緒。DFは、村田、梶野、大野、田渕の四人。中盤は、太田、後藤、マラドーナ、深川の四人。前節鹿島戦でイエローカードをもらい、通算三枚で今節出場停止のバウテルに代わり、深川が左MFに位置に入った。オフェンス陣は、吉原、バルデスのツートップ。控えは、加藤、木山、時岡、村主、有馬の五人。

  • FW:バルデス、吉原
  • MF:深川、太田、マラドーナ、後藤
  • DF:村田、梶野、大野、田渕
  • GK:ディド

柏の方は、FWに注目のストイチコフがいる。相棒は北嶋。市立船橋高出身の北嶋は、コンサドーレの吉原が初芝橋本高で冬の高校選手権で得点王を記録した翌年に、同大会で得点王に輝いている。今日は、新旧得点王の対決も、見どころの一つ。GKには、ユース世代の日本代表にもなった南。
試合は、5分ほど遅れてキックオフ。さて、注目は、やっぱりストイチコフ。FWにいるので、今日のマークは、エースキラー大野か、と思って見ていたら、どうもちがう。大野は、北島をマーク。ストイチコフには田渕がついていた。よく見ていると、どうやら柏はFWが三人のスリートップ。チームとして、4-3-3のフォーメーションをとっていた。従って、柏のFWは、左からストイチコフ、北嶋、バジーリオの三人。二列目に攻撃的MFが二人とボランチが一人。DFラインは、4バック。
試合の方は、ここんとこ押し込まれる展開が続いているので、今日もそんな感じの試合になると思いきや、意外や意外。五分にわたりあっている。攻めたり守ったりの流れが続いた前半25分。柏陣内左サイドでボールをキープしていた太田が倒され、コンサFKを得る。蹴るのは、マラドーナ。右足で蹴られたボールは、直接柏ゴールへ。バルデスを警戒して前へ出ようとしていた南、反応が少し遅れて、ボールに触れたものの、ゴールに入ってしまった。久しぶりのマラドーナのFKからの得点で、1-0。盛り上がるスタジアム。
さらに前半35分。自陣ペナルティエリア付近の左サイドで、この日左サイドの攻撃的MFの位置に入った深川が柏の選手からボールを奪う。これを右サイドの前線にはっていた吉原へロングボールのパス。ドリブルで持ち込む吉原は、マークに来たDFをフェイントでかわし、強烈なシュートを放った。GK南反応できず。GK南の手に当たったためか、風の所為かわからないが、鋭角に曲がったボールはゴールに付き刺さった。久しぶりの吉原のゴールで2-0。一瞬のスピードで決めた見事なシュートで、さらに盛り上がるスタジアム。
この日、前半のコンサドーレは、いつになく好調だった。原因は、幾つか考えられるが、中盤を支配できたことが大きい。柏は、スリートップのため、中盤は3人。一方、コンサドーレは4人。人数的に多かったのに加え、この日は、村田、田渕の両サイドバックのオーバーラップが頻繁に見られ、かなり柏のサイドを崩していた。この日は、いつになく両サイドバックの攻撃参加が前半は多かった。右の田渕は後藤と組んで、左の村田は深川と組んで、サイドを駆け上っていくことが多かった。柏の中盤が弱かったので、この日のコンサドーレの中盤は結構楽だったに違いない。マラドーナは、後半になっても結構走れていたし、他の選手も後半になっても、足が止まるようなシーンはいつも程は見られなかった。
柏がスリートップにも関わらず、両サイドバックが攻撃参加できたのは、柏のFW陣にそれほど迫力がなかったため。注目のストイチコフは、予想していたほどすごくはなかった。怖い選手というイメージが強かったのに、実際に見たストイチコフは、うまい選手といった感じで、こんなものか?という感じだった。右サイドの田渕がマークに付き、後藤が一緒にプレスをかけるといった感じのディフェンスでほぼ完璧に抑えていた。一度だけ、ディドと一対一になる、決定的なシーンがあったが、ディドのファインセーブで、事なきを得た。
試合の方は、2-0のまま前半終了。いつにないリードで、久しぶりに気持ちのいいハーフタイム。でも、柏の西野監督はきりきりしているに違いない。

ハーフタイムには、ピッチで練習している柏の選手が3人しかいない。ということは、二人交代か?

後半開始。予想通り、柏は選手交代。加藤にかわって下、ストイチコフにかわって酒井を投入。えっ、ストイチコフがアウト?前半、あんなものなのと思っていたのは、怪我の所為だったのか?。酒井の投入で、FWのポジションが変わった。酒井は右に、真ん中は北嶋のまま、左に、右にいたバジーリオが入った。足のある酒井が入ったことで、後半は、このサイドの攻防が見ものとなった。柏も右サイドの酒井にボールを集める。酒井と村田の攻防は面白かったが、村田、後半は攻め上がれなくなってしまいました。
後半10分。この酒井に右サイドを破られる。DFをかわして放った強烈なシュートに、ディド反応して手に当てるも、ゴールの枠の外まではじきだせず、コンサゴールに入ってしまった。これで、2-1。う~ん、後半になると、押されるのは相変わらずだなあ。
はらはらする展開になった、ムードをすぐ吹き払ったのが、吉原。後半15分。センターサークル付近で、ボールを持ったマラドーナが前方を走る吉原に、ドンピシャのタイミングであう素晴らしいボールを放り込んだ。吉原これを胸でトラップしつつ、相手DF二人を、スピードでかわす。でてきたGKを、ワンタッチでさらにかわし、ゴールに蹴りこんだ。これで3-1、再び2点差に突き放した。今日吉原自身二点目となるゴールは、すばらしい、まさにビューティフルゴールといっていいいものだった。
再び、二点差にして、今日は楽勝か、とならないところが今のコンサドーレ。後半20分すぎから、柏の反撃が始まる。結構ゴール前まで押し込まれるシーンが目立つようになった。後半30分、DFライン中央をバジーリオに破られ、シュートを打たれる。ディドこれに反応して、一度は止めるも、こぼれたところを再びバジーリオに蹴り込まれてしまった。3-2。再び一点差に。このゴールが、Jリーグ通算5000点目になった。コンサドーレの選手にも、歴史に名を残すチャンスがあっただけに、惜しいチャンスを逃した。
後半35分。最後の猛攻をかけるために、柏選手交代。DFの入江に代えて、MFブユー投入。DFは、4バックから3バックへ。ブユーは、二列目に入り、3-4-3のフォーメーションへ。このブユー、個人技を生かし、コンサドーレの右サイドを再三突破。コンサ、これに対応するために、攻撃的MFに入っていた深川に代えて、木山投入。太田と二人で、ダブルボランチにしてゴール前を固める。

試合は、この後、攻める柏、守る札幌、で展開するが、何とか追いつかれることなく試合終了。楽勝のような感じになりながら、結局混戦模様になりかけ、最後は何とか勝ちを納める、という札幌らしい?試合展開で、何とか勝利。連敗を2でストップし、再び貯金生活に入った。

(以上記事:二上英樹)


梶野選手100試合出場:この日、Jリーグ通算出場100試合を達成した梶野智選手は、試合前に記念のセレモニーがあり、花束を贈呈されました。写真は、その後、行われたチーム全員の記念撮影。左から大野貴史、深川友貴、梶野智、ディド・ハーフナーの各選手。  
マラドーナのFK:== 一点目の決まる瞬間 ==
 この日、前半25分。マラドーナが決めたフリーキック(FK)。柏陣内左サイド(柏から見て右サイド)で、太田貴光選手が倒され、FKを得る。蹴るのマラドーナ選手。  最初は、放り込むつもりだったのが、柏GK南雄太選手が、バルデスを気にして、前がかりになっているのを見たマラドーナ選手は、直接狙うことにした。右足から放たれたボールは、弧を描いてゴール左隅へ(左下写真)。ゴールへ向かうボールがわかりますか?審判(レスリー・モットナムさん)の右側を飛んでいます。
ストイチコフ選手:W杯アメリカ大会得点王のストイチコフ選手(黄色、31番)。今日の試合は、前半だけ。いまいち調子の上がらなかった同選手。中盤で、ボールをキープする同選手にチェックにいくのは、後藤義一選手(左)。後方奥から深川友貴、マラドーナの各選手。
コンサDF陣:柏の北嶋秀朗選手(左から二人目)にマークにつくのは、大野貴史選手(一番左)。ストイチコフ選手(一番右)をマークする梶野智選手(右から二人目)。中央は、左サイドバックの村田達哉選手。
攻めるコンサ:柏陣内ペナルティティエリア外で得たFKをけるマラドーナ選手(左、10番)。コンサドーレの選手は、全員蹴られたボールに反応して、柏ゴール前に走り込みます。
ヒーローインタビュー:この日のヒーローインタビューは二点を決めた、吉原宏太選手。この日の二点はいずれも、吉原選手の持ち味のスピードに、パワーや個人技が加味された素晴らしい得点。ハットトリックの大きなチャンスがあったのに、それを逃したのは今後の課題だが、久しぶりの得点に、笑顔笑顔の吉原選手。