HFC1997年分の決算を承認

 この日行われた北海道フットボールクラブ(HFC)の役員会で、1997年分(97/1~97/12)の決算が承認された。それによると、当初10億円を越えると見られていた赤字は、入場料収入などの予想以上の伸びで、10億円を切る見込みとなったとのこと。
 コンサドーレ札幌は、96年度で既に8億円の赤字を出しており、97年度も10億円を越す赤字が見込まれていた。累積赤字額が多少ではあるが減ったのは喜ばしいことである。HFCの経営計画では、J初見参となる98年度は2億円赤字が見込まれている。これらの見込み額の差は、JFLからJリーグへ昇格したことによる。Jリーグでは、JFLに比べ、入場料、広告料が高く設定でき、またJリーグからの分配金などの収入もある。一方、JFLに所属しつつJ昇格を目指すチームは、選手強化費(年棒など)を減らすことができず、Jリーグの年棒総額の少ないチーム並みの額は必要とされる。実際、コンサドーレの赤字の主因は、人件費だと言われている。
 Jリーグを見渡してみても、ほとんどのチームが赤字である。そのため、巨大企業の後ろ盾を持たない市民チームと呼ばれるクラブは、経営的にどこも苦しい(清水や広島など)。昨年、選手年棒総額が10億円を越えていたチームは、3チームあったが、ステージ優勝した鹿島と磐田がその中に含まれていたという事実は、お金がないと強くなれないということを暗に示しているのかもしれない。
 独立法人化したクラブで、各地域に根差したクラブ運営を目標に掲げるJリーグの理想を実現するのが難しくなりつつある、昨今のJリーグであるが、そんな状況のなかだからこそ、市民チームといわれる札幌や清水にかけられるJリーグ機構側の期待は大きい。とりわけ、JFLのチームでありながら、観客動員数で平均1万人をこした実績を持つ、新入りの札幌には、今後のJリーグのクラブのスタイルがかかっているといっても言いすぎではない。観客動員数をあげながら、経営に行きづまるようだと、今後はプロ野球スタイルのクラブしかできなくなってしまう。HFCのフロントには、よりいっそうの経営努力を望むが、サポーターのがんばりや市民の盛上げで、この危機を乗り越えて欲しいと思う。閑古鳥が鳴くようなスタジアムのせいで、運営に息詰まったなんてことは、絶対に起こしたくないものである。
 コンサドーレは今後、毎年、単年度収支がとんとんになる運営を目指し、ドームズタジアムができ、観客動員数の増加を見込める2001年以降、黒字に転換する計画になっている。現在の厚別の倍のキャパシティーがあるドームスタジアムでは、様々な種類のチケットが販売可能となり、思いっ切り値段を下げた家族シートのシーズン券、ブロックシートチケットの販売などが考えられている。