ナビスコカップ準々決勝[第1戦]in厚別:鹿島アントラーズ戦(写真付)

『二上英樹の観戦記』

今日は、JFLシーズン観戦記番外編として、ナビ杯準々決勝対鹿島戦(第1戦:厚別競技場)の観戦記を書きたいと思います。札幌は、春先に行われたナビスコカップ予選リーグを勝ち抜いたおかげで、JFLシーズン中ながら、今回、同大会決勝トーナメントに進むことができました。JFLシーズンと重なって、この大会の日程が組まれている所は、Jリーグの偉いさん達は、JFLのチームなんかが決勝トーナメントに出れるはずがない、とたかをくくっていたことがわかります。そんな思わくを打ち破り、決勝トーナメントに進んだコンサドーレ。この時期、幸いなことにJ昇格が秒読みに入り、来年のJ昇格はほぼ確実なところです。となれば、今日のこの試合、昇格前の腕試しに丁度いいところ。Jのチャンピオンチームの強さを肌で感じるまたとないチャンス。内心は、一泡ふかせてほしいと願ってスタジアムへ向かいました。
この日の札幌は、雨が今にも降らんばかりのどよんとした天気。そのため湿度か高かったせいか、あまり寒くない。先日行われたデンソー戦のときの方が寒かった。

札幌の先発は以下の通り。先に行われた徳島戦で、けがをしたペレイラは欠場。また腰の具合が思わしくない田渕も欠場。それぞれのポジションに古川、岡田が入ります。岡田はルーキーで、先発が初めてなら厚別も初めてで、動きが注目されます。フォーメーションの方は3-5-2で、従来どうり。戦術面での変更は無いようです。

  • FW:新村、バルデス
  • MF:村田、マラドーナ、朝倉、後藤、岡田
  • DF:冨樫、古川、渡辺
  • GK:森

控えには、吉原、鳥居塚、浅沼、石塚、森の五人。
一方、鹿島は、代表組みを含まぬものの、有名選手をずらり。
さて、あっ鹿島だ、相手はJのチームだ、来年はこのようなシーンがいつも見られるのかとわくわくしながら、見ていた選手入場。七時になって鹿島ボールで試合開始。注目された立ち上がり、一気に押し込まれるわけでなく、結構札幌も攻めている。むしろ、開始10分ほどは札幌ペース。なかなかやるわいと見ていたら、だんだん鹿島ペースになってきた。そうこうしているうちに、前半15分。ペナルティエリア内右側にビスマルクがドリブルで切り込んでくる。セービングに突っ込んだディド、これを倒してしまい、PK。ディド抗議するも認められず、逆にイエローをもらってしまう。ちょっと厳しい判定だなあと思ったものの、一度下された判定は覆らない。PKを蹴るのは、ジョルジーニョ。右にきっちり決められてしまい、0-1、先制点を許す。
その後、10分ほどは、気落ちしたせいもあるのか、鹿島ペースで試合が続くが、なんとか追加点を許さず、だんだん持ち直してくる。さて、注目のルーキー岡田だが、結構いい。若さゆえの怖い物知らずか、鹿島相手に臆することなく、右サイドを積極的に前にでて攻撃参加を繰り返す。プレーの一つ一つには、まだ荒い面も見られたが、将来が楽しみなルーキーである。
前半30分ごろには、五分のペースに持ち込み、何回か良いチャンスを作り出す。一進一退のペースで進んでいた試合が盛り上がったのは、前半終了間際の44分。鹿島陣内ゴール正面でFKを得る。蹴るのはマラドーナ。ボールはゴール前左側にいたバルデスの頭にどんぴしゃり、地面に叩きつけられたボールは、鹿島ゴールの中に。これで、1-1の同点。ここまで、攻めたり攻め込まれたりのはらはらジリジリする試合展開だったので、スタンドは大騒ぎ。一気にボルテージが上がるも試合の方は、このまま前半終了。

後半開始後も、一進一退の展開は変わらず。コンサゴール前から、鹿島ゴール前まで、ボールはよく動く。はらはらとドキドキが交互にやってくるので、見ていておもしろいが、札幌ゴール側にボールが来る時は、心臓に良くない。札幌のチャンスも何回かあったが、それと同じくらいピンチもあった。
後半20分頃、マラドーナからのスルーパスに、バルデスがうまく反応し、バックスのラインの裏側にうまく抜け出す。角度はないものの、ペナルティエリアの中に入り、突っ込んで来かけたGKを見て、頭を越えるループシュートを放つ。決まったか、と思った瞬間、鹿島ゴールの左ポストに当たって跳ね返ってしまう。コンサ選手もゴール前に詰めていたが反応できず。スタンドの歓声はため息に変わってしまった。
札幌は、展開打開に新村に換えて石塚を投入。バルデス、マラドーナがツートップになり、石塚がゲームメイクを担当するフォーメーション。それでも、試合の流れは変わらず、一進一退。後半25分頃には、ゴール前で、ヘッドの際に肩から落ちたためか、冨樫が負傷してピッチの外に出るシーンも見られたが、無事復帰。
1-1で動かない展開を見て、鹿島ベンチも動く。後半35分、MFの熊谷に変えてスーパーサブのFW柳沢を投入。柳沢のワントップあるいは、変則スリートップのようなフォーメーションに変えて点を取りに来る。いやなやつがでてきたなと思って試合を見ていたら、その3分後、サイドからゴール前に上がったボールを柳沢に頭で落とされ、走り込んだビスマルクに追加点を奪われてしまう。1-2。
これで、シュンとするわけない札幌サポーターは、むしろこれまで以上の応援を繰り返す。札幌ベンチも冨樫に換えて浅沼を投入。DFを4バックスにして、攻撃重視のフォーメーションに変え、同点をねらう。でも、ここからの鹿島は強かった。あの川崎Fを飲み込んだ応援を繰り返しても、自分を見失うことなく、鹿島は、中盤で落ち着いてボールを回す。コンサドーレの選手もボールを追っかけるが、なかなか奪えない。憎いくらいに横パスをつなげ、時間稼ぎと、コンサドーレのいらいらを誘う。試合の方は、このまま終了。結局、1-2で負けてしまい、厚別での公式戦連勝は19でストップしてしまいました。

この日の試合、残念ながら負けてしまったが、試合後のサポーターの拍手は暖かかった。試合の方は、結構おもしろかったし、Jのチャンピオンチーム相手によくやったという、気持ちの表れであろう。これで、来年からの試合もなんとかなりそうな手ごたえを感じたと思う。JFLシーズン中の厳しい日程のなか、よくやったと思う。
見ている方も、この時はJでやれそうだという感じを受けた。鹿島は思っていたよりは、弱かった(この時は)。Jのチャンピオンチームってこんなもんと思ったのだが、これは後で思い知らされる破目になる(この日の試合は、もしかしたら初対戦でアウェイということで、様子見していたのかも)。
(この観戦記は、二戦目が終わってから書いています)。

(以上記事:二上英樹)


選手入場:札幌の選手(赤黒のユニ)と鹿島の選手(白のユニ)が、並んで入場してきます。鹿島のとっては初めての北海道での公式戦です。Jリーグが始まってから、鹿島はこれまで、一度も北海道に来たことはありませんでした。
HUDSONの胸のロゴ:この日のコンサドーレの選手の胸には、いつもの『HUDSON』の文字の代わりに、先日発売開始になった、HUDSON社制作のN64用ゲーム『Jリーグイレブンビート1997』の文字がはいっていました。写真を拡大したので、ピントが合ってなくてすいません。
ドリブルする新村:ボールを持って、ジョルジーニョ選手をかわす新村選手。フォローするのはマラドーナ選手。
マラドーナ:二人がかりでチェックを受けるマラドーナ選手。この日のマラドーナ選手は、何本も良いパスをだし、コンサドーレの攻撃に勢いを与えていました。
岡田:この日、ケガの田渕に代わって右ウィングバックに入った岡田選手。ルーキーながら積極的な攻撃参加を見せ、観客をわかせました。
バルデス:この日、鹿島から初めて得点をあげたバルデス選手。マークには、鹿島の奥野、室井が交互に当たりました。
守備陣1:鹿島の攻撃を防ぐ、コンサ守備陣。ヘティングするのは、冨樫選手。左から、古川選手、朝倉選手。右端は、鹿島のマジーニョ選手。
守備陣2:鹿島の攻撃を防ぐ、コンサ守備陣。左から、マジーニョ選手にマークする冨樫選手。内藤選手のマークにつく後藤選手。黒崎選手のマークにつく渡辺選手と古川選手。ビスマルク選手にマークに着く朝倉選手。
守備陣3:鹿島の誇る二人の攻撃屋、マジーニョ選手(左)とビスマルク選手(右)。マークするのは、マジーニョ選手に、古川選手と朝倉選手。ビスマルク選手に岡田選手がマークにつきます。ゴールを守るのはディド選手。
ディド:ゴール前にほうり込まれるボールをジャンプしてキャッチするディド選手。