[第二十節]in札幌:本田技研戦

 今節から上位陣との五連戦。Jに上がるも浪人するもこの五試合で決まるといっていい大事な試合。二位以内に入るためには目の上にいる四チームを力ずくで引き下ろさなければいけない。とりわけ、本田と東京ガスには借りが有るだけに負けるわけにはいかない。良い子は、借りたものは必ず返すんだから。

 さて、サポーターの方もこの天王山の意味を知ってかしらずかウイークデーの夜にも関わらず、入った観衆は7544人。選手ももちろん、この試合の大事な意味は知っている。先発メンバーは以下の通り。

GK:茶木
DF:村田、ペレイラ、中吉、後藤(静)
MF:パベル、後藤(義)、ヨゼフ、木島
FW:金、加藤
控え:白井、冨樫、浅沼、川合、吉原

 GKは後半戦からズーッと一緒の茶木、DFは冨樫の代わりに中吉がCB。MFは初登場のヨゼフが注目、満を持しての登場です。パベルをボランチに、トップを木島、右をヨゼフ、左を後藤(義)の菱形フォーメーション。FWは金と加藤のコンビ。後半戦開幕四試合で1点と、調子のでないルボシュは控えにも入っていません。

 さて試合の方は、開始早々から札幌の攻撃がさえ、加藤、木島の駿足コンビが、右サイドをえぐります。これに、足は結構速い金がからんで、本田陣内で暴れ回ります。そうこうしている内の前半8分、右サイドを駆け上がった木島からセンタリングのパスがゴール正面にいた金に通ります。振り向きざまに左足でシュート。ゴール右隅に決まります。これで札幌、1-0でリード。今日は調子がいいぞ、コンサドーレ。スタジアムがざわざわがさめやらぬ前半10分、右CKをもらいます。蹴るのは木島(今日の試合はCK、全部木島がけっていました。)、木島のCKは一度はバックスにヘッドで右サイドにクリアされるも、そこにいた木島へパスのようになってしまいます。木島はセンタリング、GKの前にするすると入り込んできていた金の頭にどんぴしゃり、金さん今日二点目のゴールで2-0、本田を突き放します。今日の札幌は怖いくらいに調子がいいぞ、と思っている内に、前半15分、今度は本田の逆襲。札幌ペナルティエリア内で後藤(静)か中吉が青島を倒してしまいます。青島の演技がうまくてPK、ロペスが決めて2-1、1点差に詰め寄られます。この15分のPK、一点失ったのは確かに痛いのですが、もっと痛かったのはこのPKの間を利用して、本田DF陣が立ち直ってしまったこと。開始早々から、木島、加藤、金がかき回し、これにヨゼフ、後藤が絡むもんだから、本田DF陣はマークがずれっぱなし。これが、金さんの二点に繋がった一つの原因なのですが、PKの間、1~2分有ったかと思いますが、本田の選手で、ペナルティエリアの周りにいたのはFWの選手だけ。GK、DF、MFの6~7人が本田陣内で円陣を組み、マークの打合せ(何を話していたかはもちろんわかりませんが)をしていました。これで、本田DF陣はすっかり立ち直ってしまい、札幌のリズムだったのが、リスタート後のプレーでは、五分と五分の展開になってしまいました。それでも、今日の加藤、木島の駿足はすごかったもんで、前半35分、右サイドからゴールに向かって加藤がドリブルで切り込みます。これを本田DFが押し倒してしまいます。もらったPKをパベルが決め3-1、パベルはうれしい今季初ゴール。試合の方はそのまま進み、前半終了。

 さて、注目のヨゼフはどうだったかというと、最初はあまり目立ちませんでした(試合が終わるまで目立たなかったと言えば、目立たなかったのですが)。それほど、金や加藤や木島が走り回って目立っていたので。それでも、よく見ていると、地味だけど結構きいているのかもしれないという気がしてきました。ボランチに入ったパベルと木島の間をうまく繋いで、ボールを最終ラインからスムーズに前線へ運ぶためのポジションを取り、右サイドで木島、加藤と三角形を作り、スルーパスを出したり展開したりと、おもしろい役どころをこなしていました。きょうの試合では、左サイドを村田、後藤(義)、金、木島で形を作り、右サイドをパベル(良く右サイドを駆け上がっていきました)、ヨゼフ、加藤、木島で形を作り、積極的な攻撃を仕掛けていました。ルボシュに比べ足は速いようで、右隅にでたボールをDFと追っかけっこしても、いい勝負をしていました。ヨゼフはDFとFWの間を繋ぐタイプの二列目の選手ですね。フリエの前園の様に個人技とスピードでがんがん前に行くタイプではありませんでしたが、なんて言うのかなあ、そう、ポジショニングで勝負するクレバーな選手、そういった感じです。前半のカウンターはすごくて、金や加藤や木島の三人に加え、ヨゼフ、後藤(義)もおもっきり押し上げてました。五人でカウンターをかけるとこなんかははじめてみました。この攻撃は結構迫力ありましたね。ヨゼフの真価はしばらく見てみないと何ともいえませんが、とりあえず本田戦は勝ったので、良かったんではないでしょうか。

 さて、後半ですが、後半も一進一退の攻防が続きます。それでも、15分過ぎ当たりから、金や木島の運動量ががくんと落ちて、分厚い攻撃ができなくなります。時々サイドを突破するも、単発の攻めで、二次、三次攻撃が出来なくなります。ゲームは端々と進みますが、このまま3-1で終わらないのが札幌の試合。後半30分から、ジェットコースターのように試合が動き始めます。運動量の落ちた札幌に対し、本田の反撃が始まり、後半30分、左からゴール前へのパスを青島が体ごと押し込みます。ハンド気味で、コンサドーレの選手はアピールしますが、認められず3-2。さらに、35分、事件は起こります。ロペスとヘティングで競ったペレイラが、その場に倒れてしまいます。ペレイラコールが起こるものの、そのまま担架に乗せられ退場。代わりに富樫が入ります。本田はここぞとばかりに攻めてきます。45分がものすごく長く感じられた終盤でした。これに対し札幌ベンチも動きます。運動量の落ちた金に変わって川合、木島に代わって浅沼を投入します。交代した二人が前線で動き回って、いいチャンスを作りますが得点に至らず、ジリジリと本田ペースになっていきましたが、何とか試合終了。札幌は大事な大事な一勝を手にしました。パベルはよっぽどうれしかったようで、試合後ゴール裏サポーターの前まで行って、サポータの人達と握手をしていました。

 今日の試合は攻めたり守ったりで、ほんとに一進一退でおもしろい試合でした。その上勝ったからいうことなしのはずですが、次節神戸戦、さらに徳島、鳥栖、東ガとの対戦が控えているだけに、よろこび半分といったところ。もう一敗もできないことには変わりないんですから。以上、つらつらと書きました。

(記事:二上英樹)

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